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1-5 ダンジョンへ行こう

「それで、商売の話は結局どうなったのさ?」

 ジェンカが話を引き戻したので、その話題に戻る事にした。


「ああ、それなんだがな。いくつか確認したいことがあるんだ」

「確認?」

 クラウスが首を傾げながら聞いてきた。


「ああ、さっきこのスキルには制約があるって言っただろ」

「ああ、それで?」


「第一に魔力消費が激し過ぎて、物品そのものを召喚できない。召喚魔法とは名ばかりのスキルだ。第二に対価として魔力だけを使うと激しく消耗して、あまり物を召喚できない。第三に原料になる物を用意できるなら多く作れるが、その原料コストがどうかだな」


「それで、どうしようと思うの?」

「ダンジョンに潜りたい。ダンジョンの中は魔力が溢れているんだよな。そいつをスキルの対価の根源にできないかなと思って。そうなると商売が凄く楽になる」


 みんなも顔を見合わせたが、結論は出たようだ。

「じゃあ、明日にでも潜ってみる?」


「うん。そこで、深さによっても魔力が違うのか試してみたいんだ。あと、魔石狩りをしなくちゃいけない可能性もある。戦闘スキルも安全に確認したい。あと、魔石を原料にした場合の時の召喚も確認したいんだ」


 ジーンは少し考えて、流れるような銀髪を手櫛で梳くと、ゆっくりと口を開いた。

「あなたのスキルって、一体どういう物なの? 召喚スキルって言っていたわね。原料が要るのだとも」


「本来なら召喚も可能だし、なんていうのかな。そのスキルで物を作ったり、作り方を召喚したりもできるという事さ。だが、物自体を呼び寄せるのは半端でない魔力がいるから、今のところ俺には無理だ」


 この世界の人間に、データのダウンロードと言っても理解してもらえない。ネットで文章や写真をダウンロードするのなら無料だが、物を買って送ってもらうのは物の価格と送料がかかるんだよな。


「とにかく莫大な魔力があれば解決するんだけど、ダンジョンがそれを補ってくれる物なのかどうか確認したいというわけさ。それができればダンジョンで割のいい店が開ける」


 今日は、俺もまだ大事をとって休んだほうがいいのと、各々準備をするという事で俺達は別れた。


 気がつくとジーンが俺を見つめていた。

「本当にあなたはシャルなの?」


「少なくとも、君達がずっとシャルと呼んでいた人物には違いないし。この俺ソーイチローが死んで転生、生まれ変わったのがシャルだ。これは違う人間なのか、それとも同一人物なのだろうか。俺にもわからないな。少なくとも、俺には君とシャルが過ごした15年間の記憶はあるぜ。若干朧げな部分はあるけれども。少なくとも、君と初めてキスをしたのは」


 彼女は、キスで俺を黙らせた。しばらくそうしていたが、彼女は唇を俺から離した。

「もういいわ。あなたは、やっぱりシャルなのよ。商売の話も私のためなんでしょう?」


「ああ、あの村で百姓のまま終わりたくなかった。でも冒険者はいつも死と隣り合わせだ。それに君にもっといい暮らしをさせてやりたい。俺達4人で一生懸命に頑張ろうぜ」


 俺はジーンをギュッと抱きしめた。まったくシャルの奴め、こんなに可愛い子をほったらかしにして。さっさと戻ってこいよ。


「そうだ、ジーンは収納袋を持っていたよね」

「うん、これ。中身はあんまり入っていないけれど」


 貧乏パーティの俺達はまだ碌な装備も無いし、持ち物も禄にない。この中古の収納袋だって、分不相応な物だ。


 教会の信者さんで、元冒険者の方が神父様に拠出してもらったものを、ジーンが餞別にもらってきたものなのだ。


 無限収納ではなくて、これは低容量の物だ。だがベルトに装備できるポシェットのような感じであるのに、かなりの物を収納できる優れものだ。


 大体、2KLくらいは入るんだ。話に訊くアイテムボックスのようなスキルと同じような使い方ができるらしい。クラウスが使う予備の装備とかを運ぶのに都合はいい代物だ。今はそんな物は無いけどな。


「今回は深く潜る予定はないんだが、念のために水と多少の食い物は入れておこうか。今から物品を作ってみて、時間で回復するのか試してみたいんだ」


 そうして、俺は水を出してみたが、よく冷えたペットボトルが20本も出せた。

「おー、今回は一気にこれだけ作れたぜ。魔力が上がっている気がするなあ」


 まだ魔力は余っているので、エネルギーバーを出してみたら50個は出来た。これはいい感じだな。別の物も買い物していたが。


「これって昨日よりもかなり多いよね」

「ああ、なんだかスキルを使うと魔力が増えていく感じなんだよ。なんていうかな、限界まで鍛えたら筋肉が増えるような感じで。そのうちに、もう鍛えられない限界が来るんじゃないのかな」


 まだ朝方だ。いつ頃魔力が戻るのだろうか。戦闘になった時のために、絶対に確認しておきたい事だ。

 俺達は、それぞれ迷宮に潜る際に背負うリュックを準備した。


 ジーンが収納袋を持ってはいるが、それぞれ最低限の荷物は持つ事にしている。どうしようもなくて、収納袋を失ってしまう場合もあるからだ。


 この袋を提供してくれた元冒険者の人も、収納袋を過信しないようにと念を押していた。奪われる可能性すらあるのだ。


 俺達のような新米はそう深く潜ったりはしない。あのダンジョンは深く潜れば潜るほどに、広くなっていく。新米の装備では奥までは潜れない。


 最低でも低容量の収納袋を持っていないとそれなりのところには潜れない。それ以前に、この前のような事になるのであるが。


 俺は昨日出した懐中電灯と、もう一つの物を自分のリュックに仕舞っておいた。そして水を1本。俺は魔法剣士だ。メインは腰に吊るす軽めの長剣で、サブに短刀を用いる。


 一般に長剣といっても色んなタイプがあるわけだが、俺は軽さで機動力を発揮する物だ。逆に重さで大剣に近いものを使うのがクラウスだ。


 魔法剣士は各種魔法を剣で発動できるので、大仰な剣を振り回す必要はない。その中でも全属性の魔法剣士だから、最強ともいえる。


 昔から小器用だったからな。それでいて、それらが器用貧乏にはなっていない。性格も前衛向きだ。だから、こういうスキルが発現したんだろう。俺達は4人とも、大体性格が滲み出たスキルを受けとったみたいだ。


 究極な事を言えば、俺は剣など無くても手刀に魔法を纏わせることすら可能だ。リーチや魔力切れの問題もあるので徒手空拳というわけにはいかないが、万が一剣を失っても戦える。予備に短刀でもあれば心強い。


本日2話目です。

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