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1-31 対決

 俺は12.7ミリ対物ライフルを構えた。渾身のパワーを込めて目の前のヤツに向けて撃った、周りに衝撃波が走る。


 連射、連射、連射、マッハ30以上で全弾残らず叩き込んだ。計6発。地面に衝撃波の跡がいくつも放射状に抉れている。


 Bランクか。なんてでかいんだよ。巨大な紅蓮の大蜥蜴。優に全長20mはある。この出入り口は幅2m、高さ3mほど。洞窟内よりも狭い。


 こいつは入ってこれないはずだぜ。ダンジョン魔物にダンジョンは破壊できない。口の中に魔法ブーストの連弾を叩き込まれたそいつの脳天は完全に大穴が空いて向こう側が丸見えだ。


 だが、その眼がギョロっとこっちを睨んだ。まだ飛びかかろうとしている。くっそ、これがBランクの生命力か。


 弾倉は空だ。慌てて装填済みの物を取り出そうとしたが、間に合わない。しかし、アイカの魔法矢がジーンの支援を受けて、やつの心臓目掛けて放たれた。


 見事な連携だ。死角のはずの部位に矢は回りこんで撃ちこまれた。奴は左側に向かって転がり落ちていく。収納してやったぜ。初のBランク魔物をゲット。


 後ろから、ヤバイ咆哮が聞こえてきた。振り向いたら『7匹のBランク』が迫っていた。まさに地獄のような光景だった。一瞬、体が硬直する。自分に対応できる限界を越えたからだ。


「ヤバイわ。スキル、いえ魔法の攻撃がきます!」

 アイカが真っ青になって報告してきた。


「何だと~」

 見える! 火炎、氷、風、光、毒。何かこう周りの景色が歪みまくっている。強力な魔法の集団が空気を歪ませているのだ。


 そして、次の瞬間にはそれが怒涛の嵐となって俺達を襲うのだ。その結末を予想して俺は思わず叫んでしまった。

「伏せろ」と。


 アイカは蹲って頭を庇う防御の姿勢を取っていた。俺はジーンを押し倒し、上に覆い被さって庇ったが、ただの馬鹿だ。でも走って逃げても絶対に間に合わない。詰んだ!


「シャル!」

「ジーン!」

 俺達は互いの名を呼び合った。


 これが最後か。思い切って、もっと前にジーンを違う意味で押し倒しておけば。最後にそんな馬鹿な事を考えていたが、何故か衝撃は襲ってこなかった。


 それは突然にかき消えたかのようだ。間抜けに頭を抱えて蹲っていた俺達の後ろから頼もしい声がかかる。


「よくやった、小僧。奴等の魔法は俺のスキルで抑えておくから、後はやれるだけやっておけ」

「イ、イエッサー」


 助かった~。これがギルマスのスキルかよ! 地獄に仏だ。登場の仕方が男前過ぎるぜ、ギルマス。そうか、まだジェンカが向こうにいたんだっけな。それで確認を取って、駆けつけてきてくれたわけか。


 あ、盾魔法のジェファーソンさんも来てくれた。ありがてえ、勇気百倍だぜ。俺は20ミリ対物ライフルを3丁並べて次々と撃っていく。


 俺達は、さっき支給したイヤプロテクターをつけているし、ジーンの支援魔法で音を弱めてもらってあるから周りに被害はない。


 ブーストされた後の衝撃波は凄いが、前方に向かうのでまだマシだ。今はそんなことに構ってはいられない。


 実に面白かった。なんとも爽快だぜ。何が面白いって? 


 何故だか知らないが、一発撃つごとに力が増していくのが感じられるのだ。味方の頼もしい支援の中で俺は優雅に敵を打ち倒していく。


 最初のヤツは弾倉の中の分を全弾撃ち込んで倒した。図体がでかいヤツだったのだ。まるで岩のように硬いし。


 だが、次の多足のヤツは3発で倒した。そいつも最後は2つに千切れ飛んでいった。その次のサイケな色合いの斑蛇は目前まで迫っていたが、ジェファーソンさんが盾魔法でしっかりと抑えてくれている。


「小僧、いけるか?」

「盾を格子型にして光らせられませんか?」


「またこんな時に無理を言う奴だな。そんな事は考えてみたこともない。うーむ。よし、これでどうだ」

 注文通りにいい感じになった。やるなあ。


 そのまま連射でぶっぱなして、2発であっさりと体が3つに別れた。次は近寄らせずに1発で脳天を吹き飛ばしてフィニッシュした。


 残りは3匹だ。ずんぐりした厚い鱗の鰐っぽい奴、チラノっぽい奴、そして二本足で直立しているがなんだかよくわからない奴だ。


 続けて2発をぶち込んで、2匹までは1発ずつの攻撃で大穴を空けて倒れた。それで装填されていた20ミリ弾は全て使いきった。


 だが最後の1匹は羽根を持っていたのだ。飛び上がろうとしている。二本足でなんだかよたよたしていたので後回しにしておいたのだ。


 弾倉の交換をしようとしたが、逃げられそうだ。どの道20ミリライフルでは狙えない角度だ。


 俺達の頭の上を越えてダンジョン洞窟ゾーンへと抜ける岩山の上を経由して飛び上がろうとしている。意外と賢いな。射線の死角を理解しているようだ。


 だがここまでパワーが増した俺の力なら問題はない。

「逃がさないぜ。ジーン、命中補正」

「任せて」


 そして、予備の12.7ミリ対物ライフルを手に取ると、立ち姿勢からの射撃を試みる。このでかい銃で対空射撃は難しい。


 だから、肩に担いでヘリを狙う対空ライフルのバージョンがあるくらいだ。だがジーンの命中補正の支援魔法は実に素晴らしかった。


 精密には狙えなかったが、弾丸は見事にそいつの脳天を撃ちぬいて、一発で仕留めた。強化された俺の力は、最早12.7ミリの1撃でBランクさえ仕留めることを可能にしていた。


 こいつは、地上に落ちる前に収納袋に収める事ができた。収納袋の使い方に慣れると、こういう芸当もできるようにもなったんだ。


「小僧……」

 気がつくと呆れたような顔をしているロビンソンさんが俺を見ていた。他の人も雁首揃えて同じような顔をしていた。


 あはははは。ちょっとやり過ぎちゃったかしら。だがギルマスは言ってくれた。

「おい、今日からお前はBランクでいいからな。約束だから、残りのヤツも全員Dランクだ。みんなも、よく頑張った」


 やったぜー! 高ランク冒険者の仲間入りだー。

「おめでとう、シャル」

 ジーンが駆け寄って抱きしめてくれた。俺も抱きしめ返した。


「おー、おー。やってるわねえ」

「相変わらずだな。でも」

「「Bランク昇格おめでとう、シャル」」



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