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風魔法の実情

「さすがにアレにはビックリしたよ」

夕飯に支給されていた、すっかり冷めてしまったスープをみんなで飲みながらアランさんが、話しかけてきた。


「あの流れから、高速移動を見せると思っていたんだ。

実際、それだけでも索敵範囲が広がるから有要性としては申し分ないからね。

だから言葉を準備していたのだけど」


と、言葉を止めて。


「まぁそれはともかく。マッキーさんは、いつから魔法を使えるようになったのかい?」



そう聞かれたので、

「この間の狩りで魔法の話しを聞いたでしょ、やってみたら出来たんだけど」と半分嘘だけど実質は、そんなものだからと、さらっと話した。



「その後、薬草採取の合間に、練習したんだよ」。となんとなく胸をはるポーズをしておいた。



「マッキーちゃんに魔力があるなら、この杖を借りっぱなしにするのは良くないわね」

とキャサリンさんが杖を返そうとするので、慌てて止めた。


「アタシの性にあってないのは本当だから、そのまま借り続けて使用料を払って下さい」と言ったら。


微笑みつつ「ありがとう」と言ってくれた。



ジェニファーさんはあからさまにホッとした表情をしていたが、何やら思い付いたようで。

「風魔法が使えれば誰でも空に浮くことが出来るのかい?」

と、質問してきた。


ちょっと考えてから「アタシのやりかたでは無理だと思うよ」と答えた。


なぜならアタシは異常なくらい体重が軽いからだ。アタシの身長はだいたい百五十センチくらいなのに多分体重は二十キロ無いと思う。元の世界なら平均体重の半分以下だ。


だからと言っても、空を飛べる一番重い鳥よりも、ずっと重たいのだけどね。


更に空中浮遊には、マントが必要になる。

空中移動はお尻の辺りの空気を押し出した時の、反作用によって移動が出来る。

斜め下に出すことによって、落下速度を落としつつ移動することが出来るが、基本的にジャンプの到達点より上には行けない。

無理をすれば行けない事はないけど、押し出す力を上げすぎると、周囲から集まる強烈な空気の流れが身体に沿ってお尻に抜けて行くことによりダメージを受けるらしく。

その結果、包帯水着が消えて裸になってしまう。


でも、やっぱりもっと高い所に行ってみたいと言う、衝動に駆られて考えついたのは、パラグライダーである。上手く上昇気流を捕まえられれば、高く舞い上がることが可能になるからだ。


風魔法で空気の流れを下方から上方に向かわせることによりマントに風をぶつけて浮力を得ることが出来た。当然マントが捲れたら風が逃げてしまうので、ある程度以上捲れないように足先とマントの裾を丈夫な糸で繋ぐ加工をしなければならない。

当然下から見上げればマントの中は丸見えだが、パンツではなく水着なので問題なし。


弱点として、真下が見えない、移動がほとんど出来ないとあるが、空気抵抗を稼ぐことが出来るので、浮いているだけなら移動する為の出力の半分以下で済む。


とは言っても、気を使って高いところまでジャンプ出来る力と、やっぱり体重が軽さがあって出来ることであって。普通の体格の人では無理だ。



細かい話しはしないで、少なくとも高くジャンプ出来る上、極端に体重が軽くないと出来ないと話しておいた。



ケニーさんがアタシの背後に回り「どれっ」とアタシの両腰を掴んで持ち上げた。


突然高くなった視点にビックリして手足をバタバタして暴れてしまったが「おー確かに軽い軽い。姉御は軽いねぇ」とケニーさんは、いつもののんびり顔で話し掛けてきたので抵抗を諦めた。


アランさんが、その後キャサリンさんやジェニファーにまで高い高いされてしまった。


アランさんが言うには、長剣四本分の十二キロ程ではないかと言うことであった。


キャサリンさんもジェニファーさんも、線が細そうだと思っていたけど十二キロを軽々持ち上げるなんて冒険者は凄いなと思った。



体重が軽いから出来る芸当だと納得してもらった所で、明日に備えて眠ることにした。


パーティ単位で準備された仮設テントに寝袋がある。お休みなさいと言う声と共に、四人はあっという間に寝息をたてはじめた。冒険者は眠れるときにすぐに眠れるように訓練しているからだと思うが。


振動感知が百人の反応を伝えてきているので、覚悟はしていたがアタシはやっぱり気になって眠れない。


仕方がないので、『散歩してきます。探さないで下さい。』と書き置きして、テントから外に出た。


花摘みでも良かったけど、アランさんならともかく、ケニーさんあたりが見たら、花はどうした?と素で聞いてきてジェニファーさんにぶっ飛ばされかねない。

アタシは気を使う性格なのよ。


砦兵逹はしっかり巡回の仕事をしてくれているので、切れ目を狙って最速の一歩を踏み出し、森に入った。


これで安心して眠れる。


森の中の方が安心だなんて、何かへんだけど、蜘蛛糸警報装置付き空中ベッドの上で

「おやすみなさい」

横になった。




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