表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/134

♪行こうみんなでオークマン

翌朝、普段通り日の出前に目が覚めたのでウサギを三羽捕らえてから陣地に戻った。


当然、血抜き解体済みである。


たき火の残り火でじっくり焼き、朝食の一品とした。


砦兵達の夜営地の撤去作業中は、周辺警戒をして完了しだい出発となった。


配置は昨日と同じ左翼後方からである。


昨日とは違い、前方は忙しそうだ。ゴブリンとの接敵が多い。


数はそう多くはないから、一戦一戦の時間は非常に短いが、頻度が多いので、なかなか進めないでいる。



そうこうするうちに、アタシ達もゴブリンの襲撃を受けた。


十頭程であったのであっさり戦闘は終わったが、その後も度々襲撃を受け続けた。



襲撃の頻度が昼過ぎにほとんど無くなったことから、この辺りがオークとゴブリンの支配地の境界と考えられる。



ここで休憩をとることになったので、部隊長である守護騎士に上空からの偵察の許可を取った。


上空から見れば先の事までよく見えるが、空中に浮かぶ人間なんて目立つので逆にこちらの存在も見つかってしまう諸刃の剣だ。



黙って使うわけにはいかない。


護衛をかってくれた『青い閃光』と『漆黒の鉄槌』を引き連れて少し前進してから、両足に気を込めて垂直ジャンプ。


風魔法を使ってマントに風を送り込み、安定して空中停止出来た所で、周囲を見渡した。


一番近いオークは前方一キロ程に三頭、かなり近い。


あまりに近いので、すぐに降下することにした。


ざっと見たところ三、四キロの範囲に四、五頭のオークの集団が十箇所はあった。


軟着陸っぽく演出するのも忘れて、アランさんとダンさんに至近距離にオークが居ることと、少し先にオーク集団が多数居ることを伝えた。



『漆黒の鉄槌』は、この場に残り臨戦態勢をとることになり、アランさんの『青い閃光』とアタシの『白い風』のクラン『そよ風』は、オークの位置を報告する為に休憩場所に戻った。



例え強化個体であったとしても三頭のオークに『漆黒の鉄槌』が遅れをとることはないと。

守護騎士は、至近距離のオークの討伐は『漆黒の鉄槌』がするようにと伝令を出した。


各パーティリーダーが集まるまでにアタシは紙にオーク集団のいる方向と規模、おおよその距離を書いておいた。


紙に書いていた時に気が付いたが、右翼の方により多くのオークが居るようだ。


パーティリーダーが集まったところで、討伐隊隊長の守護騎士リカルド隊長が話し出した。

「狩りに関しては口を出すつもりは無かったが、『青く澄み渡る風』クランが早期発見してくれたので、事前協議をしたいと考え集まってもらった。

我々、守護騎士団はこれより当初の予定ポイントまで移動し、そこで野営の準備をする。

予定ポイントまでに居るオークは一部隊三頭だけだ。我々が駆除しても構わないが、冒険者諸君の利益を横取りするわけにもいかない。我々が……」


要するに守護騎士団は、オークとの戦闘をしたくないので、パーティを一つ残して露払いをしろと。討伐が終わったら全員戻って点呼させろ。そうすれば俺の仕事が半分終わる。後は死なないように頑張れと言うことであった。


討伐隊長と言っても、ことなかれ管理職のようだ。どこの世界でも同じ様な存在はいるんだね。



結論として、一戦済んでいる『漆黒の鉄槌』は、守護騎士団と共に野営地に向かう、そして露払いには『漆黒の鉄槌』に何時も追従する『漆黒の斧』が立候補して許可された。

アタシ達『青く澄み渡る風』クラン 通称『そよ風』は、他の集団から離れている、最も左側の集団を立候補して許可を得た。


オークも一頭しか居ないし討伐が終わったら守護騎士団に合流するしかないので、数多く討伐しようと考えると一番不人気となっている。


逆にアタシ達には好都合である。普通のオークなら、物足りないかもしれないが強化個体であったなら特訓の成果を確認する事が出来る。全ては明日の為だ。


残りの九パーティが 六 対 三 に分かれて右側と斜め右前方に向かうことになった。


それからすぐに解散となり、アタシ達は目標に向けて移動を開始した。


歩く事、一時間。

目標を捕捉したので、アタシはオークの強さを確かめるため鑑定を行った。


『オーク・ナイト・リーダー

オーク数頭を引き連れるリーダー』


間違いなく強化個体のオークだ。

単独でもリーダーだなんて、アタシみたいにソロパーティなのかしら?



遮蔽物の少ない草原である。オークもこちらに気が付いたようで、ゆっくりこちらに歩き寄ってきた。


そしてある程度の距離に近付いた時に雄叫びを上げながら猛然と走り出した。


火の玉魔術は離れた相手に効果が薄い。ギリギリまで引き寄せてから放つのがセオリーだ。


敢えて言わなくとも、火の玉魔術で足止め出来ないようなら、強化個体で間違いはない事は分かるはずだ。その事を警戒しているアランさんもケニーさんも慌てる事は無いと信じている。


アタシは予定通り少し後方から周囲の警戒をするが特に異常はみられない。


位置的に森に近い場所だから何かが潜んでいる可能性がある。



後方から森寄りに移動し始めた時に、キャサリンさんとジェニファーさんの火の玉魔術が放たれた。


火の玉は直撃したが、やはり強化個体。怯むこと無く、突っ込んできた。


それを見たアランさんとケニーさんは武器を持ち直し、キャサリンさんとジェニファーさんに後退するように指示をして、本人達は踏み込んだ。


アタシは地面に手を付けて振動感知を行った。


不味いことに森の中にオークが三頭居る。ゴブリンの反応もあることから、リーダーの指示でゴブリン狩りをしていたようだ。


アランさんの長剣の切っ先の片刃は薄くしただけあって、浅くない傷をオークに刻んでいる。ケニーさんの大剣が当たる度にオークはふらつき、痛そうな表情を見せている。


だが倒すには、まだ時間が掛かりそうで、増援がたどり着く方が早く思える。


キャサリンさんとジェニファーさんの所に戻り耳打ちした。


二人は驚いていたが、あの強化個体には、二人は役に立てないと協力に応じて貰えた。



アランさんとケニーさんがオークと戦っている場所から離れ、森に近付いた。


振動感知を行いながら三十数える間にオークが出てくるので、火の玉魔術を放って欲しいとお願いした。


振動感知の反応からすると、後ろでアランさん達と戦っているオークのような力強さが感じられないことから。出てくるのは普通のオークだと思い込む。


思い込まないと、三頭の内一頭でも強化個体であったら、アタシはともかく二人の身が危ない。


何故かオークは火の玉魔術を受けると突っ込んでくるからだ。


そんな事を考えていたら、オークが二頭姿を現した。


お願いしていた通り、間髪入れずに火の玉魔術が放たれ、出て来た二頭に向かって飛んで行く。



二人の魔術はオークを瀕死に出来ると言う事を信じて、アタシはオークに向かって走り出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ