引きこもり=ヲタではない
頭上のハリボテにお尻をを向けて『土魔法』で解体する。
久し振りに浴びる日の光は眩しくて目が眩んでしまった。
引きこもり体質の身としては暗闇の方が合いそうな気がする。
眩しさに慣れてから上空を見渡すが、魔王ことヨミさんの姿は無かった。
ずっと空中に浮いたままの相手だから振動感知に掛かることは無いと思うけど。
潜伏スキルは魔法を使った時点で解除されているのでそのまま反応を探る。
だが、やはり何も感じられなかった。
安心して良いのかどうか分からないが、安心することにした。
まだ居るのなら、アタシが姿をみせた時点でいくら警戒しようがアウトだろう。
穴から這い出ようとしたら目の前にあった物を見て驚いて再び穴に落ちてしまった。
これはどういうことなのか?
アタシは再び穴から這い出てそれを見る。
そこに合ったのはアタシのマントと魔石である。
『台風』『閃光』『土』『心接続自立行動』の四つが大きい順に並べられている。
そして魔石の下には紙が有った。
何やらメッセージのようだ。
『この紙をお前が見ていると言うことは、僕はこの世に居ないのだろう。って言うのは冗談だ。このネタが通じるのならやはりお前は同胞なのだろう……』
その前にヨミさん、この手紙の文字は完全に日本語です。読めた時点で日本人確定ですって。
その後に書かれていたのは。
この世界で自動人形を作るなんてお前はヲタだな。
これは貶しているのではなく褒め称えているのだ。
本気でお前が欲しくなった。
ここで待っていればいずれお前自身か別の自動人形が現れると分かっているが、
いつ来るか分からない相手を待つ程暇では無いので置き手紙と言う形で宣言する。
お前は僕が手に入れる、覚悟しておくのだな。
最後に、このハリボテはなんだ?あからさまに怪しいぞ。調べようとして触ると空からタライでも降ってくるのだろう。
お約束過ぎて思わず触ろうとしてしまったではないか。
人の真相心理を突いた凄い罠だが、僕は引っ掛からないぞ。残念だったな。
宇宙の神秘が互いを引き合わすその日まで壮健あれ。
って、ヨミさんの深読みのお陰で見つからなかったのか。
思わずへたりこむ。
そしてアタシはヲタ判定か。
物凄く嫌なんですけど。
引きこもり=ヲタではありません!
って、ここで言っても虚しいだけか。
ヨミさんの手紙とマントを影魔法で仕舞いこみ。
魔石を回収してこの場を急いで離れた。
もしかしたら気が変わって様子を見に来るかもしれないからだ。
このまま岩砂漠に乗り込むのはあまりにも準備不足なのでアタシは森に戻ることにした。
森側のクレーターの裾野を見て回ると。
良い感じの窪みが有ったので、準備をするための仮初めの家にすることにした。
周りを見ると砕けた岩の破片がある。もしかしたら崩れた跡かもしれないので、土魔法と蜘蛛糸で補強し作業用の机とベッドを作った。
ベッドのフレームは石だけど式布団は久し振りのふわふわ蜘蛛糸だ。
このままでは外から丸見えなので、目隠しを作りたい。
土魔法でレンガっぽいものをたくさん作り。ベタベタ糸で接着しながら積み上げる。最後にアタシがくぐれる木製の扉を取り付けて完成だ。
ちなみにスライドドアである。蝶番なんて持っていないからだ。
鍵も無いから室内に居るときはつっかえ棒をして、出掛けるときはレンガを押し込んで知らなければ開けられないようにした。
長期間住むわけでは無いのだからこれで十分でしょう。
暗くなってきたので六畳一間のアタシの家に入り、『光』の魔道具で明かりを灯す。
先ずはマントの修復からだ。
修復作業は翌日の朝まで掛かってしまった。
何故かと言えば身代わりとして飛ばすときに、硬い糸で凧の骨のように補強をしたからだ。
ベタベタ糸で接着したので綺麗にはがせなかったので
結局その部分は切り取り、新しい包帯をあてて縫うことにしたのである。
元々、包帯を張り合わせているのだから目立たないと思って修復したが、さすがに使用感がある包帯と新品の包帯では生地に違いが有りすぎでツギハギ感が否めない。
こんなでもアタシは女だ。ファッションは気になるのである。こんなときに思う、もっとセンスがあればツギハギもデザインに出来るのにと。
泣く泣く影魔法で仕舞った。
朝から徒労感に苛まれながら狩りに出ることにした。
日持ちする燻製肉を作るためだ。同時に燻す為の木も探す。
木の実や果実も探し炒ったり乾燥させてドライフルーツにしたり。
夜はマント作りをして一週間が経った。
そんな朝、新マントも形になったのでテスト運用をしようと外に出ると。
いつもなら静かな森が朝っぱらから騒がしい。
今日は森に行く積もりは無かったのだけど、さてどうしようか。




