能力の確認
ゲームの潜伏スキルと忍び足ではニ十五マス程しか移動できなかったのだけど、アタシのスキルは見つかるまでいけそうな気がする。
走ったり転けたりしたら解除されそうだけど、その辺りは今のピンチを切り抜けてから実験しよう。
だなんて考えながらゆっくり先に進んで、一時間。一キロ程進んだところで、集中力が切れたらしく、木の根っこに躓いてしまった時に解除された。
疲労を感じてしまうくらい、集中していないといけないのなら使い方は気をつけなければなるまい。
疲れているところだけど、潜伏スキルを再発動する。
今度は忍び足での移動はしない。
スキルを使うだけだ。
元のゲームなら歩かない限り何でも出来るはずだ。
荷物の整理から装備変更。武器防具の修理まで出来たはずである。
『私って恥ずかしがりやな鍛冶なのです』ロールプレイとか、早着替えショウとか色々な楽しみ方があった記憶がある。
今回は完全に休憩をしてみる。
どうやら集中することなく気を抜いていても解除されないみたいだ。
これなら安心してダラけられる。
森の中だと常に警戒していなければいけない為、とても疲れるのだが、これなら完全休憩がとれるから精神衛生上も優しい。
どんどんアサシン系の能力に特化していっているような気がする。
アタシ的には都合が良いから問題無しだけどね。
なんか以前にも同じ様な事を言ったような気がするがまぁいいか。
気を取り直して、袋を確認する。
黒い小石がスキルを与えてくれたのは鑑定のスキル以来だろう。
これで残りは五個だ。
まだ五個もあると言うべきか残り五個になってしまったと言うべきか悩みどころだが、この世界で生き抜く力は石から与えられた物だ。
感謝する他はない。
今更だけど黒い小石がスキルを与えてくれる条件てなんだろう。
一つ目は『気』。
元の世界の架空上であるが最強の力。
あの時は産まれたてだから自分の能力を確認する為にどうせなら最強を想像した時に得られた力だった。
二つ目は『魔法』。
元々は、たき火をしたくて『火』を出せる様に強く願ったのだけどブラン砦で魔術に触れて色々魔法が使えるようになったのね。
お尻からしか出ないのがたまに傷だけど。
三つ目は『回復包帯』。
アタシ命名のドラゴンが通り過ぎた時の風圧に吹き飛ばされて大怪我を負った時に現実逃避からゲームを妄想した時に得られた力だよね。
ゲームをプレイしている頃を懐かしみながらも詳細に設定を思い出していたっけ。
四つ目は『鑑定』。
旅の目的の一つである、バーンさんの荷物が知りたくて得た力だよね。
初めは、みたまんまの事しか分からないダメなスキルかと思ったけど知識を貯めることによって詳細が分かってくると言う学習タイプの能力。
今ではお湯の温度も、魔道具の寿命もわかってしまう優れもの。
しかも性質上絶対記憶のおまけまで付いている。
これもゲームの設定を妄想していたのだけど、ゲームとはまったく違う能力になった。
五つ目は『潜伏』。
これはついさっき得たばかりだから、詳細はこれから検証しないといけないけど。
やっぱりゲームの設定を詳細に妄想したことにより得た力だよね。
他のアタシの能力は『蜘蛛の能力』。
アタシと一緒に魂と肉体構成を移された名前の無い小さな蜘蛛君の自前の能力。
『蜘蛛糸』
お尻から糸をだす。
柔らかいから固いまで。
極細から包帯の幅まで。
ネバネバ糸も出せて接着剤の様に固まる。
精密射撃も出来て放射状にも出来る優れもの。
因みにアタシの武器も防具も何もかもが蜘蛛糸製である。
『振動感知』
地面から伝わる振動でどこにどんな生物がいるか分かる能力。
地面との接触面が増えるほど範囲、精度があがる。
鑑定と合わせることにより、人物の特定まで可能になった。
他は地味だけど良く使っている能力。『夜目』『壁登り』
これはそのままだよね。
『夜目』は暗いところでも見える。
『壁登り』は切り立った垂直の壁どころか天井も関係無く移動できる。
アタシの基本能力は置いといて、黒い小石が与えてくれる能力。
『魔法』以外は詳細な設定を思い浮かべて、その能力を願うと得られたような気がする。
詳細な設定かあ。何か有ったかしら?
考えている間にいつしか寝てしまった。
難しい事を考えていると眠くなるのは自然の摂理だと思う。しかも昨夜はあまり寝ていない上にミーヤとの戦いもあったからと言い訳しながら。
潜伏スキルを使いながら昼寝をしているマッキーであった。




