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国境の街

月明かりの中ふと目が覚めた。


辺りは真っ暗と言うことは昼寝のつもりで目を閉じたが本格的に寝てしまったようである。


久し振りに 何も感じることなく 良く眠れた。



何も感じないだと?


森の中にいて振動感知に何も反応が無いだなんてありえない。


まさかファンタジーでお約束の死の大地とか呼ばれている場所で生物が居ないなんてことでは……


アタシの前をアリが歩いていった。


……無いようだ。



そうすると、潜伏スキルの効果なのか?


そう思うと二人の王から離れるときに、スキルに集中していたから振動を感知していたか覚えていない。


と言うより感知していなかったと考える方が正解だろう。


これでアタシも宿屋のベッドで眠れるかもしれない。


警報装置をわざわざ設置する必要もないしね。


でも潜伏スキルが解除された瞬間が無防備と言うか、状況が分からなくなる可能性があると言うことだから気をつけなければなるまい。


潜伏スキルを解除したら魔物の群れに囲まれていたなんてことだって考えられる。


中途半端に寝てしまったのでアタシは月明かりの中、ひとまず街道に出ようと移動を開始した。


潜伏スキルの実験をしながらだったのでなんだかあっという間に街道に出たような気がする。


潜伏スキルを解除して、そこからは街道を通って進んでいく。


夜が明けた頃に宿場町が見えてきたが、立ち寄る必要もないのでスルーする。


そのまま歩き続け暗くなったら夜営って事もなく、潜伏スキルを使って熟睡。


そして日が昇るとまた歩き出す。


歩きの途中で魔法や魔術の研究。気の研究もした。

人が居る町に立ち寄るときは、調味料や果物、野菜が無くなった時だけだ。


そんな日々を過ごしていたら、いつの間にかマクドの街を離れてから二ヶ月程が過ぎていた。


馬車で向かっていればセントラルシティにもう時期着く頃である。

それなのにブラクソン王国の国境にもたどり着いていない。


急ぐ旅ではないから良いのだ。そう良いのだ。



でもやっと見えてきた、あの川の向こうがセントラル王国との国境になっているはずだ。



川を挟んで両側に街が出来ている。

流石に貿易の中心になる街だ、どちら側も栄えている様に見える。


色々な物がそろっているのだろうと想像できる。


アタシはブラクソン王国側の街に行かずに、深い森に入った。


とうぜんである。


アタシの事を調べている貴族がいるのだから、国境の街に関係者なりが待ち構えているに違いないからだ。


わざわざ狼の口に飛び込むなんてする訳はないのである。



森の中を振動感知を行いながら川に向かって歩く。


予想通り巡回の兵士がいたが振動感知を使えば余裕で兵士の切れ間を縫って進める。


なんの障害も無く川岸に着いた。


川幅は一キロ以上は間違いなくあるだろう。


でもその程度なら飛んで行けば済むことだ。


都合の良いことに白い水鳥がたくさん居る。


よほど近くから見られない限り誤認してくれるだろう。


あらためて振動感知を行いアタシは軽く助走してからジャンプした。


風魔法をお尻から出すことにより推進力を維持する。


水鳥がこちらを見ているが、特に動じた様子はない。


アタシは余裕を持って対岸に着地して、すぐに木々の影に入り、振動感知を行う。


近くに人が居るかもしれないからだ。


だがそれは杞憂だったようで、人間の反応は無かった。


アタシはホッと一息ついた後に、森の中を進むことにした。


川を挟んだ程度では植生はあまり変わりがないようだ。


見慣れた木々が続いている。


ニ日程歩くと森は途切れた。


森を形成していたのは川の周辺だけらしい。


森の先にあったのは遥か先にまで続く岩山であった。


この感じは見たことがあると思ったけど、取り合えず、そこに山があるならと、登ってしまった。


標高は百メートル程だろうか、それほど高くない。

ただほぼ垂直に切り立っているので、普通の動物や人では難儀すると思われる。


だけどアタシにはそんな斜面は関係無い。


あっさり登りてっぺんから周囲を眺めた。


予想通り、この岩山はクレーターのようだ。


アタシが居たあの場所より小さい規模である。


それでも直径ニキロはありそうだ。


国境の街から続く道は森を出た後、岩山の縁に沿って延びていっている。


岩山の内側は湖となっていて青空を映して幻想的な景色だ。


でも草木は見られない。


もしかしたら変なガスでも出ているのだろうか。


触らぬ神に祟りなし、降りない方が身のためだろう。


アタシは岩山の縁を移動して反対側に到着した。


そこからセントラルシティの方角を見たが並び立つ山が見えるだけだ。


馬車で一ヶ月となると、単純計算で三千キロ先であるはずだ、見えなくて当然である。


ここから先は岩砂漠みたいだ。

岩山の縁に沿って延びていた道は小さい岩山を避けるように蛇行しつつも真っ直ぐに延びている。


この岩山の内側は水を湛えているのに、ここから先は岩砂漠?


岩山が高いならば分からないこともないが、精々百メートル程しか無いのにこの違いは何だろう。


ここから先の地域は乾燥しているのかしら。


お肌に良くないなあと、ずれた感想を思いつつ、岩砂漠が夕焼けで赤く染まるのを見ながら夜営の準備をし始めたマッキーであった。



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