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あの子は違う
鉄格子の向こうで、その子はお腹を抱えるように小さくなっていた。
泥にまみれた身体。ボロボロの服。
けれど、その輪郭も、おっとりとした表情も——
5年前に失った弟の奏と、同じだった。
「おねえちゃん?」
心臓が止まる。
息ができない。
「おねえちゃん…だいじょうぶ?」
気遣わし気に獣人の子が話しかけてくる。
——呼び方が、違う
『おねーちゃん』
弟とは少し違う呼びかけ声に、思考が戻ってくる。
(カナデじゃない…)
深く息を吐いて、ぎこちなく笑う。
「ありがとう。大丈夫。」
その時、隣のテントから声がかかった。
「お嬢様。観賞用ならもう少しマシなのがいますよ。」
トカゲのような顔の男がニヤつきながらこちらを値踏みするように歩いてきた。




