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中身はナニワの男子ですけど、婚約破棄されたので北国の氷を全部「金」に変えてやりますわ! 〜絶世の美女、商売魂で極寒の地を制す〜  作者: 星島新吾


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最近王都が大変らしいで、知らんけど。

フロスト卿が「ちょっと蛮族を懲らしめに行って来る!」と、大軍を連れて笑顔で、出陣してから三週間が経った。


手紙では連日、敵陣営に血の雨が降り注いどるらしい。


手紙と一緒に蛮族の大将首が届いたから内容に間違いはないやろうけど、アイツにプレゼントのセンスは「皆無」やということはよぉわかる。


……こんなん普通の令嬢がみたら卒倒するで。


まめに連絡してくるその姿勢は認めんこともないけど……。


プレゼントに生首送ってくる男とか、控えめに言うて前代未聞やぞ。


返品不可の特級呪物やんけ。おもしれー男。


……なので私は手紙に「こっちは順調」とだけ書いて送り返したった。


それと首は兵士に頼んで城下町に一週間飾って貰うことにした。

大将首というだけで領民はとても熱狂して、一時的にデモが解散するぐらい効果があるからや。

みんな食料を奪う領主は嫌いやけど、戦いに毎回勝つ強いリーダーのことは好きらしい。


難儀な奴らやけど、理解できんことはなかった。


「そんで次のお手紙は……と」


 そのほかにも沢山のお便りをいただき、それに返事を書いていると、溢れ返っている手紙の一つに眼が止まった。


「この名前……王宮のメイドやん。どしたんや?」


 手紙には王宮が今混乱の中にあると書かれとった。


どうやら外交で私と仲良かった周辺諸国が今回の婚約破棄で激怒したらしく、嗜好品に軒並み関税をかけたせいで、国庫の金が周辺国にダダ漏れらしい。


……あいつら、経済の蛇口握っただけじゃ飽き足らず、破壊までしよったぞ。

凄いな、なんかこの国に恨みでもあるんちゃう? 

知らんけど。


そんで国内がどえらい荒れてしもうたから、私の風評被害を流すことで、何とかその矛先を私に向けようと画策中とのこと。


しかもそっちの方は難なく成功しているらしく、今や王都では私は比類なき悪女として名を馳せてるみたいなのが納得いかん。


「宮中は怖いな~どこから情報が抜けてしまうか分からんもんな」


おかげで私はしばらく中央が危険だということがわかった。


「ほんで……?『宮中では戒厳令が敷かれて……私のことを話す人間は次々と処罰が下されています……』か。うわ~……ようやるなぁ」


手紙を送ってきたのも処罰された者の一人らしく、彼女はメイド同士で新しい婚約者と私を比べて笑っていたところ、皆まとめてクビになったと乱暴な字で書き殴られている。


数人なら処刑されるところを、今回は数が多すぎて処刑は免れたらしい。

何とも皮肉な話や。


「……いや……というか自業自得ですやん」


とか、余計なことはもちろん書かん。


代わりに「寒いけど来たら仕事あるで?」と宮中でクビになったメイドを労う手紙を出して席を立った。

「王都は色々と凄いみたいですね」


丁度部屋を掃除してくれているミヤハと似た話題になったので、送られてきた手紙を見せると、彼女もそれを見て大笑いした。


「これ額縁に入れて飾りましょうよ、お嬢様。傑作でしょ」


「あんま人の不幸を笑ったら可哀想やでミヤハ」


「あー久しぶりにこんなに笑いました。でも、そんなことで処罰されるなら、これからも沢山メイドが解雇されそうですね」


陰口・悪口はメイドの嗜みです。と笑顔で答えるミヤハに私は少し引いた。


 「戴冠式も間近に迫っとるし、そうなったら忙しさも今の比じゃなくなる。ミヤハの言う通り、王子の横暴に耐え兼ねてけっこう逃げてくる子がおるかも知れんな」


「そこをまとめて雇用するんですね!」


「まあ、できたら最高やな」


金も無限にあるわけやないし、厳しい環境やから雇える子にも限界があった。せやけど、出来る限りは雇用したい気持ちはある。


「……そうだ、私も推薦したい子が何人かいますよ」


「アンタも手紙貰ってたん?」


「はい。サーシャ様がよろしければ、ぜひ検討して頂きたく」


「優秀な子ならええんちゃう?」


着々と顔なじみが北の大地に集結しつつある中で、実は直近の問題が一つあった。

思った以上にシュガーライクが頑固者やったことや。

あれから結構説得したけど、やっぱり内政を分担する気はないらしく、死ぬ気で彼は働き続けとった。それを今日は止めに行かなあかん。


「さてと。今日でやっと説得できる武器も手に入ったし、シュガーライクのとこに行こか。今日こそはあの眼鏡の信用を勝ち取るんや」


「ついに……ですね!」


 私は廊下に出るためにミヤハに着替えを手伝ってもらう。ドレスなんて着てたら凍死してまうから、厚手のモコモコした服に衣装チェンジが必須やった。


 このヨトゥンヘイム公爵領に古くからある伝統衣装に身を包み、変わった模様の青色の装いに袖を通す。羊の毛が使われたフードを被って、紐を結んだら外着の完成や。


「お似合いです。サーシャ様」


「ありがとう。───そういえばミヤハはここでの暮らし、もう慣れた?」


「はい、それはもう。常にシュガーライク様のお近くに入れるだけで私は幸せでございます」


予想外の解答に私は面喰らう。


「アンタよく姿消してると思ってたけど、男見に行ってたんかい」


「すいません……眼鏡男子の誘惑に抗えず……」


「そういや好きやったね」


「……ダイスキです」


恍惚とした表情で語るミヤハは大の眼鏡男子好きやった。

特にその中でも性格悪いハラハラ男が大好物で、毎日そういう男を泣かせることばかり考えて生活しとる。歪んだ愛の持ち主や。


「……とりあえず、涎拭こうか」


「ハイ……」


彼女に狙いをつけられた可哀想なシュガーライク。

日に日にやつれて行く彼を見て、彼女は興奮しとるようやった。

コレが法で裁けない悪ってやつやな。


「シュガーライクのとこ行きたいんやけど、またいつもの場所におるん?」


「補佐官殿なら、執務室で『書類の森の住人』になっておいでです。……心配ございません、まだ生きてますよ」


そうじゃなかったらうちが困んねん。



リアクションされると喜びます。

それではまた、次のお話でお会いしましょう。(´・ω・)ノシ

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