↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中身はナニワの男子ですけど、婚約破棄されたので北国の氷を全部「金」に変えてやりますわ! 〜絶世の美女、商売魂で極寒の地を制す〜  作者: 星島新吾
3章アールヴヘイム編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/156

終決───ナニワの令嬢は選択をするようです。


振り返る必要もない。バナナおじ様の声や。彼はゆっくりと拍手をしながら、獣道から降りてくる。それを見て、フロストは今までに見たことがない歯軋りをしながら、バナナおじ様を睨みつけた。


「おいおい......ここからが楽しい瞬間だろ」


普段聞く彼の声音と違う誰かの声。地獄から響いていそうな恐ろしい魔王の声が、フロストの口からは出ていた。近づいてきたバナナおじの頭を嗤いながら掴み、ミシミシと音を鳴らす。そのまま頭を潰して殺してしまいかねないような殺意が充満している。


「こぉら、勘弁したまえ。正気を失うとは何事か。お前さん、その姿を見せたくなくて、自分の婚約者を戦地には連れてこなかったんじゃないのか。見られているぞ」


バナナおじ様がそう言うと、片目しか開かなくなったフロストの充血した赤い瞳が、私に向けられた。その目に殺意はない。むしろ、何かを怯えるようなビクビクとした目がこっちを見てる。アイツ......私のこと怖がってる......? まさか? えー......?


「お前ら心の整理はついたか? 全く、メスの取り合いぐらいもう少し上品にできんものかねぇ......。見せられるこっちの身にもなってくれたまえ。......まったく。帰るぞ。おい、救護班。治療だ。手早くな。あー......そっちの青年は良い。エルフたちがするだろう。(だな? 君たち)」


両指でエルフ達を指して、バナナおじ様は首を鳴らす。それから溜息をつくと、暴れるフロストを五人がかりで取り押さえ頭に包帯を巻き、パパっと馬車にぶち込んでしまった。


「おぉ......なんという手際のよさ」


「別に今回が初めてではない。これはそう、慣れだ。残念ながら」


バナナおじ様は苦笑しながら、私の肩をポンポンと叩いてくる。それで無意識に震えていた私の肩を抑えてくれてるようやった。


「怖かっただろ」と、バナナおじ様。


「そりゃそう」


どっちも奇跡的に生きてるけど、下手したらどっちも死んでた可能性すらある。ヴィーダルは言わずもがな、フロストやって最後の一撃の当たり所悪かったら、普通に出血死してる可能性があった。ホンマに何を考えてこんな決闘を受けたんか、まるで分からん。


「どうだ、フロストとはもう一緒にはいられないか? 無理だというなら、こちらで手続きをしておこう。ヨトゥンヘイムには残ってもらうことになるが、婚約者という立場は解消できる。んんッ、もちろん命の心配もない。安心して商人ライフを満喫したまえ」


「はい?」


「強がらずともいい。アレは見ての通り、ウチに秘めた獣性を理性で押さえつけているような獣でね。次は君に牙を剥けるかも知れない。そうなる前に、手を引くのも賢い女というものだ。違うかね」


なんとバナナおじ様は私の身を案じて、婚約関係を解消した方がいいと提案してきた。おじ様的には、それが私の幸せだと思ってるみたい。


......ふむ、まぁつまり、お節介な爺やな。


「こんな男同士の喧嘩ぐらいで、芋ひく女やないって。というか、感情でそんな大事な事決められるかい。バナナおじ様はお節介過ぎやで」


そう言ったら、バナナおじ様は口を窄めて、ヒューと口笛を吹いた。それで、笑顔でサムズアップした。


「いいねぇ。合格。フロストと一緒の馬車に乗るといい。これからもよろしくお願い申し上げます。我らが王妃よ」


バナナおじ様はそう言って恭しく頭を下げたら、なんか後ろの軍人さんたちもみんなこっち見て頭を下げ始める。なんか変な光景やと思いながら、怪我したフロストが乗ってる馬車に乗り込んだ。


「アンタ......大丈夫かいな」


包帯でぐるぐる巻きになっているフロスト。片目の包帯は血まみれで、血がダメな人やったら卒倒間違いなしの大けがしてた。


「全然問題ないよ。これは俺たちに必要な儀式だったんだ。後悔はない」


「なにを意味不明なことを......まぁええわ。ヴィーダルも無事っぽかったし。エルフの人達も道開けてくれたし......ちょっと心配やけど、ヴァナヘイムに戻ろうか」


「あぁ。帰ろう」


馬車が動き出すと、窓の外には夕焼けに染まる稜線がゆっくりと流れていった。

あれだけの騒ぎがあったとは思えないほど、山はもう静けさを取り戻していた。


「そういや、あんなにボコボコにしてもうたけど……ヴィーダルは友人代表スピーチやってくれるやろうか」


「鬼畜かな?」


凄く真面目な顔でフロストはこっちを見て来た。


「え?」


そんな私たちの結婚スピーチに選抜するのって罰になるんか? ……確かに言われてみれば、色々準備せなアカンやろうし、スピーチ読むのは割と緊張したりするんかも……?


「サーシャは俺たちがなんで戦ってたか、本当に分かってないみたいだ」


「えっ⁉ ……もちろんですが?」


喧嘩して仲直りとか、そういう流れか? 元男として、分からん展開ではない。けど、あの終わりはどっちかって言うと喧嘩別れみたいになってへんやろうか。私は後から手紙出して謝るけど、フロストはそんなことせえへんやろうし……。まーじで、何がしたかったんかわからん。








高評価・ブックマークが執筆の燃料になります。

ブックマークして、次のお話も読んで下さい(強欲)!

それではまた、次のお話でお会いしましょう。(´・ω・)ノシ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。