2話 トレイア家、そして神選者の存在
明日から…はぁ
家族との楽しい時間を過ごした五時間後。
足取りを重くして来た所は、ロタナス王城にある会議室。俺が来た時にはすでに皆は席についていた。そして、ロタナス王国国王の姿も見える。
家族と過ごしていた空間とは真逆のように、全員が緊張感を持ち、周りには装備を着ている警備員。これだけでも気分が悪くなるのに、これからどんなことが起きるか知っている身として、こんな答えが分かっている意味のない会議をする必要性が分からない。
「では、これよりシク・ルガオに突如発生したルーンドバット討伐についての会議を行います。進行は『シク・ルガオの騎士団長ガラドール・トレイア』が務めさせていただきます」
「トレイア」この言葉に、皆は更に緊張感を高める。
トレイア家。
ロタナス王国建国時から仕え、初代当主がディヴァインウォリアーとなり世界から注目されると、代々国を代表する優秀な剣士を輩出しており、国よりもその国に属する貴族が注目されるということがおきた。
昔、優秀な剣士を輩出しようと、一夫多妻制をトレイア家だけ認めていたから、頻繁に子供が生まれ、その度トレイアの血を欲っしている他国からの求婚が後を絶たない。
そして、中には求婚を受けると、国を去る者も居れば、環境から逃げ出し国を出た者も居る。
それ故、トレイアの分家が世界各地に存在する。
「ロタナスの剣トレイア」の血がこれ以上散らばるのはまずいと国王は判断し、一夫多妻制は禁止された。
他国の騎士団長やそれに連なる者は、トレイアの血が入っていることがほとんどというくらい広がっており、他国の戦力強化に協力した形になっている。
そのため、ロタナス王国を支持する国も多い。
世界各地を歩いていて、強者と出会うとトレイアの血縁者なんてことが多々ある。
そして、トレイアの血縁者を全員集めたら、新たな国が出来るのではないかと言われている。
今、俺の目の前にもトレイアの分家の一人であり、シク・ルガオの騎士団長である。
「兄よ。この事態、どうしようと考えている」
十分間くらい俺抜きで話していたが、急にガラドールが俺に振って来た。まぁ、もうそろそろだと思っていたが。
「え~まぁ、俺が行けばすぐに済む話だといつも思ってるけど」
「ディヴァインウォリアーである兄が少しでも行動すれば、他国から警戒されますっていつも言ってますよね」
ディヴァインウォリアー。神に選ばれし者。この称号のようなものを皆は羨ましがる。だが、俺は嫌いだ。身体能力・知力・魔力などが上がるわけではない。ただ、自分専用の武器が手に入り、絶対的な地位を獲得できる。
だが、この称号を貰った者が、決して最強などではない。この称号は神に選ばれた誇りなどではなく、忘れることが出来ない呪いのようなものだ。なんせ、ディヴァインウォリアーは『圧倒的な力を持ちながら大事なものを失った』奴らなのだから。
「じゃあ、いつも言っているように皆頑張ってくれ」
ロタナス王国は数多くの大国や小国と関係を持っている。
その中でも、このシク・ルガオという国とは、当時のトレイア家の次男というトレイアの血縁者を初めて他国に出した国であり、昔から関係を持っている。
「ご当主様の命令。承りました」
進行のガラドールそう言うと、周りに座っているロタナス王国の国王以外の軍事関係の重臣が立ち上がり、俺に向かって頭を下げた。
これもいつも通りの光景過ぎて何も感じない。
もう、この流れが定型になっている。本当に俺が来ないといけない理由が分からない。
ディヴァインウォリアーの言葉なんて、俺からすれば何言ってんだって話だ。皆、神選者という上辺だけの言葉しか見ずに、その本当の意味を理解しようとしない。
これもいつも通りに、俺はその場で立ち上がり、そのまま会議室を出た。
会議時間たったの十二分。俺の言葉一つで決まってしまう。これが、ディヴァインウォリアー。人間の希望と言われる九人しかいない者の地位。




