18話 セレティア親衛隊とボッチの俺
扉を開けると倒れていた皆が起き上がっていた。そして、拘束されていたシュバルナも拘束から解放されている。
「あれがヒュパ救王国の冒険者なの?…弱すぎじゃない?」
「鎖国国家の弊害だな。こればかりは仕方ない」
俺はセレティアと階段をおりて皆の前に現れる。
すると、皆は目を見開き…セレティアの方を見た。
あれ?俺のことは視界に入っていないのか?
そう思わせるほど、皆が俺の方に一切目もくれず、セレティアの方を見ている。
「おい。俺も居るんだぞ」
そう言うと、皆がまた目を見開いた。
「か、カラン!!どこにいたんだ!?そ、それにこのお人は?!」
「俺はこいつを呼ぶために一旦帰った…てか、俺よりもこいつのことがそんなに気になるのか?」
「そ、そりゃ!こんな女神みたいな人がい、居るなんて!!」
め、女神ね…
俺はセレティアに視線を向ける。
確かに今の佇まいは女神とは思わないが、それに近しいなにかが…やっぱり感じないわ。すまん。
俺もセレティアを女神と思いたいが、どう頑張っても思えそうにない。
「こんな奴に女神は言い過ぎだと思うが…ィ゙ッ!」
目にも止まらなない速さで俺の溝うちに鋭い拳が入ってきた。
それに俺は片膝をついた。
だが、皆は俺を心配するどころか逆に歓喜した。
「おぉ!あの鉄人カランが片膝をついたぞ!!」
「あぁ!ギルド総出で殴ってもピンピンしてた奴が、女神の一発でノックアウト!!」
「もうかして、この女神様はカランよりも実力者なのではないか!?」
皆がセレティアを囲って、俺をイラつかせることしか言わない中、ギルド長のオルンとシュバルナが俺のところに来た。
俺は殴られた溝をさすりながら立ち上がる。
「か、カラン、あの人はだ、誰なんだ?」
…オルンが顔を赤くしながら俺に聴いてきた。そして、それはシュバルナも同じで、必死にセレティアから視線を逸らそうとしているが、どうしても目で追ってしまう好きな子現象が起きてしまっている。
おいおい、お前ら。
お前らが顔を赤くしてるやつはただの戦闘狂の貴族だぞ。
…そう言いたいがまた殴られたそうだからちゃんと紹介しておく。
「セレティアだ」
「せ、セレティアさんか。いい名前だな」
すると、シュバルナが肘でつついてきた。
「ということは、そのセレティアさんが…?」
「流石、シュバルナ。察しがいいな」
俺は笑いながら、セレティアの肩に手を添えた。
「このセレティアが、俺のかわりにお前たち、そしてペリストア農国を救ってくれるヒーローだ」
俺がそう言うと…
「おい!流石の兄貴だからって、俺たちのセレティアさんに触るな!!」
セレティアを囲っていた奴ら全員が俺を敵でも見るような目つきになり、あの時、俺に抱きつこうとしていたやつが、俺の両腕を拘束してセレティアから引き離した。
その光景にセレティアは微笑み、さらに皆は発狂した。
みなさ〜ん、そいつが笑っているのは、自分がもてはやされているのに、俺は拘束されているこの場を面白がっているだけですよ〜。
…男だけならともかく、何で同性の女子たちもそんな反応をするのか分からない。
俺はもう考えるのをやめて、拘束しているやつにもたれながら脱力した状態でオルンに聴いた。
「それで?その国にはいつ行くんだ?…おい!いつ行くんだ!」
「……え、え〜と…セレティアさ〜ん、いつお暇ですかね?」
胡麻をする商人みたいな低い腰でそうセレティアにオルンは聴く。
「ふふ、そうね〜…今日の夜からなら暇よ?」
「では!今日の夜にでもペリストア農国に行けるように準備しときます」
オルンは背筋を伸ばしてそう言うと、走ってギルドを出て行った。
「…じゃあ、帰るか」
皆にセレティアを紹介出来たし、目的は達成できた。
それに、夜ということは家で夕食を食べたいのだろう。
俺が拘束をしている奴を簡単に気絶させて拘束を解き、セレティアに近づこうする。
だが、俺が近づこうとすると、皆が俺を塞ぐように壁になる。
俺はため息を吐いた。
「…セレティア、帰るぞ」
「そうしましょうか」
セレティアがそう言うと、ギルドの空気が変わった。
俺はもうこいつらに付き合うのが疲れたから、セレティアの手を取り、階段を使わずにジャンプして二階に行く。
「おい!なにセレティアさんの手を触ってんだよ!俺も触ったことないのに!!」
「そうよ!それに、さっきの危ないでしょ!!セレティアさんが怪我でもしたらどうするの!?」
セレティアファンからの言葉の暴力が俺に刺さる。
すると、急にセレティアが柵に乗り出して皆に聞こえるように大声で言った。
「皆!カランは私の手をもう何千回も触っているからこんなのノーカンよ!」
…もう、俺、殺されるんじゃね?
そう思わせるような煽りをセレティアがすると、皆は階段を全速力で駆け上がって来た。
俺は『絶対防御』を張ってこっちに来れないようにする。…こんなことで神から貰ったものを使うなんて情けない。
「お前、覚えとけよ?」
「あら?私は事実を言っただけよ?」
俺はセレティアの言葉を無視してそのまま部屋に入り、厳重に鍵を締めて、転移の魔法陣で帰った。
マジでこの姉、ヤバすぎる。




