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転生当主は世界最強の一柱  作者: 北猫新夜


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12話 公爵家の訪問

 「本当にトイレに行っていただけなんだな?」


 「はい。このセヴァ、カラン様に嘘をつくなど絶対にございません」


 「三十分も格闘したわりには、汗の一つもかいていないようだが?」


 「…格闘は二十分くらいで終わったのですが、残り十分は第二波に備えていたためです。結局、第二波は来なかったのですが」


 そう、腹を擦りながら言うセヴァ。


 俺は今、セヴァと本当に他愛も無い、無駄な口論を繰り広げている。


 俺は朝食を済ませてトイレに行こうとした。そして、そのトイレには鍵が掛けられていた。

 

 うちのトイレは一階は雇っている従業員専用、二階は来客専用、三階の俺たちの寝室があるフロアは俺やセヴァ、トレイア家の者専用。

 そして、男性と女性で分けているから、この中にセヴァが入っていることは簡単に予想できる。


 俺はそのトイレの扉を軽く二回ノックした。

 すると、粘ると思っていたが、すんなりとセヴァは出て来てくれた。


 「もう朝食の時間は終わったぞ」


 「え、そんなぁ…この腹がッ、この腹が急に痛くなってしまって」


 セヴァのくさい演技に、俺は何も言わずに自室へ歩き出し、そのまま入った。

 セヴァは俺の後ろを付いてきた。


 俺は椅子に腰を下ろし、セヴァは机の前で直立不動。

 ここから、数秒の沈黙の後、先程の会話に繋がる。


 「…セヴァ、一つ言っておくが、俺はあの件を否定したわけじゃない。ただ、俺が教えるのを否定したわけで、セヴァが教えるなら勝手にすればいい」


 「…何の話ですか?」


 「はぁ、お前は運が悪い。朝早くにセヴァが二本の剣を持って出て行くのをセレティアが見ていたんだ。となると、昨日の少年の所に行くんだなと分かる」


 「…すみません。昨日からずっとあの子を育ててみたいという感情が抑えられず」


 「なら、これからはその感情を爆発させていいぞ」


 「…では、これからは堂々とレギネの所へ行ってもいいのですか?…本当に?」


 「だから、言ってるだろ。俺はセヴァが教えることに関しては否定していない。」


 「本当に?本当にいいんですか?」


 「あぁ、行ってこい行ってこい」


 俺はそう言って、溜めていた事務作業に取り掛かった。

 そして、セヴァは俺に一礼して、部屋を出て行った。


 はぁ、確認しすぎだ。あそこまで言われると、何だが断ってやりたくなった。

 まぁ、そんな事をすると更に面倒くさくなるからやめた。

 

 それよりは今日はある人と会わないといけないから、その前にこの作業を終わらせないといけない。

 

 三枚、二枚、最後の一枚…はい!終了!!やっぱり、俺は事務作業は向いていない。絶対にこの家で育ったからだ。

 書かれている内容に目を通して、そこにサインをするだけの簡単な仕事だが、トレイアの血は事務作業を受け付けない。


 約束の時間までもう少し。

 俺は客人を迎え入れるために門まで向かう。

 

 俺が着くと既に、セアとミーが待機していた。

 俺はミーをセアと挟むように並んだ。

  

 「あ、カラン様。昨日のエッグタルト、めちゃくちゃ美味しかったです」


 「なら良かった。今度の会議に持っていこうと思ってたからな」


 そんな会話を門番としていたら、俺のズボンをミーが引っ張っていた。


 「エッグタルトってなぁに?」

 

 「スイショートのスイーツだよ。食べなかったのか?」


 「うん。あの時は、セレティアおばさんが全部決めてたから」


 「そうなのか。じゃあ、これが終わった後に買いに行こうか」


 「うん!楽しみ!!」


 あぁ〜癒される。

 ミーの素直な笑顔と喜んでいる声だけで、俺の生きていく希望になってくれる。

 やはり、親子というものはこうあるべきだな。


 俺はミーの頭を撫でて前を向くように促した。


 そして、徐々に聞こえてくる馬車が走ってくる音。

 その音を聞いて、身だしなみを再度確認する。うん、完璧だ。

 

 横目に見て、ミーはいつも通りの調子そうだが、セアは緊張しているのか落ち着かない様子だ。

 まぁ、これに関しては色々としょうがない。


 それから数秒して、一台の馬車が俺たちの前に止まった。

 馬車の外装は、侯爵家のトレイア家の馬車よりも高級感がある。装飾というより、芸術的な高級感。俺的にこれはポイントが高い。流石だ。


 馬車に追走していた二人の騎士が騎乗していた馬から降り、俺たちに一礼してから、馬車の扉を開けた。

 すると、中からは男性一人、女性一人、そしてミーと同い年の男児が一人ずつ降りてきた。


 「この度はトレイア家との良い縁を結べたこと、嬉しく思う。これから両家は更に繁栄するだろう」


 そう言うのは、公爵家のアスロメア家当主。

 こういう時の言葉は、定型文過ぎて本当に思っているのか分からない。

 だが、一応はトレイア家だ。相手も相手だと思うが、トレイア家と縁を結べるのは良いことではある。


 「私もアスロメア家と縁を持てたこと、嬉しく思います。これからこの縁が更に深めていきましょう」


 そして、俺はアスロメア家当主と握手を交わした。

 

 「では、この先は中で」


 俺はそう言って、皆を家の中へ促す。

 ここを過ぎれば、後は楽しい時間になる。


 アスロメア家当主にも伝わったのか、苦笑いのようなちょっと笑えてない顔をしている。


 ミーの肩を持って、俺の方に寄せさせて、アスロメア家が先頭で行けるようにする。

 そして、俺たちはアスロメア家の後ろを歩いて行き、家の中に入った。

 

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