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長期休暇②

それから十日後祝賀の祭典は滞りなく終了し、最前線に行っていた兵士達は三グループに分かれそれぞれ一グループずつ休暇を取ることが決まった。


ランド、アル、ルカの三人もそれぞれのグループに別れ休暇をとることになった。


アルもルカも休暇を久しぶりに実家で過ごすため、それぞれの三十日間の休暇の初日には城を出て行ったが十日ほどして、城でゆっくりしたほうが落ち着くと早々に城に戻って来た。


もちろん残留を決め、残りの休暇を城で過ごし、いつもどおりの勤務に2人とも戻ってきた。


最後のグループにはランドがいたが、ランドは休暇が始まっても実家には戻らず、休暇も取ろうとしないので、見かねたアルとルカがどこかでのんびりしてこいと無理やりランドの休暇届けを提出した。


ランドは2人に抗議したが内心では感謝していた。

実は行きたい場所があったのだ。ランドはさっそく旅支度をし、休暇を利用してラールノダの伝説に関することを詳しく調べ直すつもりでいたのだ。


ランドは自分が城を出発する日をあえてマルーシャには何も伝えていなかった。

姿を消すわけではなく、休暇を過ごすだけだからどこに行くかはあえて言う必要がないだろうとマルーシャには何も伝えていなかった。


だがマルーシャはそんなランドのことを見抜いてか、どこから聞きつけてきたのかランドが馬屋に行くと既に乗馬服と旅支度を調え待っていた。


「マルーシャ、お前なんでそこにいるんだ? それにその格好はどうした?」


「私も軍人だったのよ。ランドと同じグループの休暇を過ごすことにしたのよ」

そう言うマルーシャにランドは大きなため息をつくとマルーシャの説得にかかった。


「マルーシャ…お前が休暇をどう過ごそうとお前の自由だ。だが俺について行こうと考えているんだったら諦めるんだな。今回は俺一人で行くつもりだ。休暇が終ったら必ず戻ってくる」


「そんなこと言って、一人であっちこっちいくつもりなんでしょう。サミュのところや、シアフィスの森のご先祖様の墓参りに行くんだったら連れて行ってくれる約束でしょう。それに私の約束忘れたわけじゃないでしょうね。なんでも一つ願いを聞いてくれる約束でしょ」


「まったく…お前にはかなわないな。陛下の許可はもらったんだろうな」


「ええ、今回はきちんと話したわよ、お父様もランドと一緒なら安心だから行っていいって。重臣達にはうまく言い訳しておいてくれるっておっしゃっていたわ」


笑顔で言うマルーシャにランドは諦め顔で馬の支度をはじめた。

こんな時は何を言っても聞かないのはわかっていたし、本当のところマルーシャを旅に連れて行く方が城に残すより安心して旅が出来るかもしれないと思い直したからだ。


「ぐずぐずしていないで自分の馬の支度は自分でしろよ。俺の旅についてこれないようだったらすぐ城に戻るからな」


「いいわ。そんなことにはなりませんから」


マルーシャはあわてて自分の馬に鞍を付け旅支度をはじめた。マルーシャは休暇が取れればランドは一人で行き先も言わずどこかに行くんじゃないか心配だったのだ。

すぐ戻ってくると言い聞かせても、いてもたってもいられなかったのだ。


準備が整った二人はそれぞれの愛馬に乗り2人は並んで城を出て行った。

城門でアルとルカが見送りに出ていた。


しゃべったのはこいつらだなとランドは2人に笑いながらも睨み返し手を振った。


「やっぱりマルーシャのお守りはランドじゃないとな。昔の二の舞はごめんだよな」

2人を見送りながらルカがアルに話しかけた。


「俺達はいいけど…あいつは災難なんじゃないのか、せっかくの休暇がマルーシャが一緒だと思うように行動できないんじゃないのか?」

アルがランドを気の毒そうに眺めながら言うと、ルカが笑いながら言い返した。


「じゃあお前はランドが戻る間マルーシャの愚痴を延々と聞きながらご機嫌取りのお守りをする自信があるのか?」


「…それもそうだな。あいつには悪いが…これが最善だな」

2人は見えなくなるまでランドとマルーシャを見送ると、肩を組んで笑いながら城内に戻って行った。



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