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終戦と新たなる決意②

ラールシア軍がバルデ城を襲撃して三十日後にフィスノダ国の各地の代表者を集め、新しく統治にあたるレクトの紹介と、今後のラールシア国の支配下になるフィスノダ国の統治の方針などを説明する会が開かれた。その最後にマルーシャは出席したフィスノダ国民の代表の人達に向かってラールシア国の王女として一言発言した。


「わたくしは明日、ラールシアに戻ります。その後、ここにいるレクト・アズラルが変わって暫くの間、この国の統治にあたることになりました」


マルーシャがそう言うとレクトが立ち上がり、フィスノダ国の代表者達に一礼し、また座りなおした。

それを確認してからマルーシャは少し間をおいてしゃべりだした。


「皆様、この場を少しお借りしまして、わたくしの新しくできた夢の話をさせてもらってもよろしいでしょうか?」


マルーシャがそう言うと会場中が静まり返った。マルーシャは会場中を見渡してから深呼吸をして話を続けた。


「ラールシアとフィスノダは隣国にも関わらず、長い歴史の間幾度となく争いを続けてまいりました。戦いとは、勝敗関係なく、どちらの国にも悲しむ人が必ずでます。もうこんな戦いは終わりにいたしましょう。わたくしは戦いからは何も生まれないと思っておりました。けれど戦いを通してわたくしの心の中に一つの夢が生まれました。それは、わたくし達が生まれる遥か昔、このドノーエ大陸に一つの王国があったという伝説があります。その名をラールノダ王国、わたくしはその国があった当時のような世界を目指したいと思うようになったのです。いつの日にか両国が本当の意味で一つになれる時がきましたならば、自分の住みたい場所に住み、自分のやりたい仕事を自由に選び、自由に行き来できる国をつくることができればいいなという夢を抱きました。これはわたくし個人のただの夢です。実現はしないかもしれませんが、少なくとも、全ての人が明日に希望が持てる国になるようお互いに頑張っていきましょう」


マルーシャが話し終わると大歓声が沸き起こった。マルーシャは驚いて倒れそうになる瞬間、ランドがマルーシャを後ろから受け止め、そっとマルーシャの耳元に囁いた。

「ありがとう」


マルーシャはなぜランドが自分にありがとうを言ったのか不思議に思いながらも、その後すぐ涙を流しながらマルーシャの周りに押し寄せ握手を求めるフィスノダの人達にもみくちゃにされながらも、フィスノダの人々の温かさに触れ、とめどなく涙が流れた。


フィスノダ国の人々もまた、長く苦しい弾圧の日々から解放されて、心の底から戦争の終結を喜び、平和を願っていたのだと感じることができ、暖かい涙が溢れ出してきて止まらなかった。

 


翌朝、バルデ城に奇襲攻撃に行ったラールシア軍の兵達とマルーシャはバルデ城を出発した。その際都中に鐘の音が鳴り響いた。バルデ城の外には早朝にも関わらず、長いフツ王の弾圧から解放してくれたラールシア軍を見送ろうと、国中から人々がバルデ城に集まってきていた。


バルデの都は人々でうめつくされていた。涙を流し手を振る者や、両手を合わせ頭を下げている者、さまざまであったが、みな長い苦しみが終わったことを心から喜んでいるようであった。マルーシャ達はそんな人々に見送られながらバルデ城を後にした。



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