バルデ城侵入②
※残酷なシーンが一部あります。苦手な方は飛ばしてください。
深夜とあって、城内は静まりかえっていたバルデ城内がラールシア軍の突然の侵入で一気にざわつきだした。全ての兵士達は厳戒態勢で鎧を身に着け城内に散らばり侵入者の捜索を開始し始めた。
その頃には銀色の鎧のラールシア兵は使用人通路を通りバルデ城内の上階付近に散らばりフツ王を捜し始めていた。
だがラールシア軍が城内に散らばるまでに不思議なことに明々と灯されている使用人通路にはラールシア軍の侵入に気付いて騒ぎが大きくなるどころか使用人らしきフィスノダ人が一人も部屋からでてくる気配がなかった。
ランド達四人は騒ぎが起きる前に最上階にのぼりつめ、フツ王を捜していたが、騒ぎが大きくなるにつれてなぜか下の方が騒がしくなってきた。
「敵に見つかったようだな。たくっ! あいつら道を間違えて下にいっちまったようだな。一刻も早く見つけないとやばいな…ここからはふたてに別れるぞ。俺とマルーシャはこっちの通路を行く。お前らはそっちの通路を捜せ」
「わかった、気をつけろよ」
一緒に行動していたアルとルカはランドの支持通り別の通路に消えて行った。
ランドもそれを確認すると、後ろをちらりと向き、マルーシャに遅れずについて来いと眼で合図をおくった。
二人は走り出しフツ王を捜した。突然ランドの目の前にフィスノダ兵が姿を現した。
「よくこのバルデ城に侵入できたものだな。しかし兵士の中に女がいるとは…こいつを仕留めればその女は俺達のもんだなヘッヘッヘッ」
筋肉質の小柄な男と長身の大男達は不気味な笑い声をだしながら二人に近づいてきた。ランドは剣を構え直し鋭い視線を放った。二人のフィスノダ兵はジリジリと間隔をつめて剣を振るうタイミングを計っているようだ。
ランドが一瞬振り向いた瞬間、男達はいっせいに攻撃を仕掛けてきた。ランドは短剣を左手で鞘から抜き、二人の剣を受け止め同時に力任せに跳ね返し、男達がバランスを崩した隙に両方の剣で男達の体に剣を突き立てた。
それと同時に血しぶきをあげ男達は倒れこんだ。ランドはすぐに後ろを振り向くと少し離れたところにマルーシャがフィスノダ兵に囲まれ丸腰になって戦っていた。
マルーシャの剣を地面に振り落としたフィスノダ兵は、勝利を確信したかのようなにやけた顔つきになり舌なめずりをしている。
マルーシャの右手からは血がしたたっていたがとっさにブーツの中に仕込んである短剣を抜き胸のあたりで構えた。
「貴様らー!」
ランドはものすごい速さでマルーシャの前に立ちはだかり、そのままフィスノダ兵の体を両断した。数人いたフィスノダ軍はランドの怒りに満ちた攻撃で一瞬で地面に倒れこんだ。
マルーシャは唇をぐっとかみ締め短剣をブーツに戻し、床に落ちてしまっていた自分の剣をケガをしていない左手で拾い上げた。
「大丈夫か?」
「ええ、ごめんなさい」
「謝るな! 俺達は一心同体だ」
ランドはマル―シャを抱きしめると、耳元で囁いた。
「お前はどんなことがあっても俺が守ってやる。だから側を離れるな!」
「わかったわ」
マルーシャはランドの今の言葉で決意を新たにした。手が震えていたがその震えが収まった。
一人じゃない、マル―シャは自分に言い聞かせた。それをみて安心したかのようにランドはマルーシャから一歩さがるとマルーシャの右手の傷の部分に腰につけていた布を抜き取り傷口をきつく縛り止血した。
「右手は大丈夫か? 剣は握れるか?」
「かすっただけだから大丈夫よ」
「よし急ぐぞ! ここまできてフツ王を逃がすわけにいかないからな。必ず奴をうちとるぞ、ラールシアとこの国の未来の為にもな」
ランドの言葉にマル―シャも大きく頷いた。
(そうよ、私は私の使命を果たすためにここまできたんだから)
いよいよ決着の時が近づいていた。




