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スーリア王妃の死②

「ここは…ハッ! お母様!」


「マルーシャス様、お気付きになられましたか? ここはマルーシャス様の寝室でございます。マルーシャス様は王妃様の寝室でお倒れになられてしまわれたので、ランシェルド様がここまで運んでこられたのです。ランシェルド様がマルーシャス様はお疲れなので、お気が付かれるまでそのままにしておくようにとおっしゃられましたので…」

マルーシャが気が付くと、着ていた軍服からいつも城で寝る時に着るドレスに着替えていた。


ベッドのそばの椅子に腰掛けていたマルーシャ付きの世話係のエセルがすぐにベッドに歩み寄り、涙で泣きはらした顔をあわててぬぐいながら涙声で静かに言った。


マルーシャは混乱した頭で自分に何が起こったのか必死に思い起こそうとした。

そしてようやく、スーリア王妃が目の前で息を引き取ったことを思い出した。


不思議と涙は流れてこなかった。ただ手にはスーリア王妃から受け継いだ赤い宝玉がしっかり握りしめてあった。

(マルーシャ…マルーシャ…)

ふと、マルーシャの耳にスーリア王妃のやさしい声が聞こえた気がした。


マルーシャはあわててベッドから飛び起きると、フラフラと声のする窓の方に歩いて行こうとして、エセルの声に遮られ正気を取り戻した。


「マルーシャス様、どうかなさいましたか? 外はまだ雨が降り続いております。スーリア王妃様の葬儀は明日執り行われることになりましたのでもう少しお休みになられた方がよろしいのではありませんか? 本日は何もお召し上がりになられていらっしゃらないとお聞きいたしました。ひとまず、何かお飲み物でもお持ちいたしましょうか?」


そう言って駆け寄ってきたエセルにマルーシャはあわてて答えた。

「エセル! 今は何もいらないわ。私なら大丈夫よ。暫くしたら自分でベッドに戻るからもうさがってもいいわ。もしランドを見かけたら、私は大丈夫って言っておいて、どうせじっとしていられなくて爆弾騒ぎの真相を突き止めるとか言って、城中をうろうろしているでしょうから」


マルーシャはエセルにウィンクして無理に笑顔をしてみせた。


「かしこまりました。ランシェルド様をお見かけしましたらお伝えしておきます。あっそれから念の為、部屋の外には兵士の方が数人警備の為見張りについておりますので、部屋を出られる際はともにお連れくださいとのランシェルド様のご伝言でございます。何か御用がありましたら呼び鈴をお鳴らしくださいませ」


エセルはマルーシャの笑顔を見て安心したように頭を下げて部屋をでて行った。

それを見届けたマルーシャは、暫くの間静まり返った部屋の窓辺に佇んでいた。

マルーシャはそのまま暫くスーリア王妃から譲り受けた赤の宝玉を見詰めた。


どれぐらいの時間そうしていたのか、ふと気が付くとマルーシャはこっそりと続き部屋の扉から見張りの兵士に気づかれないように注意を払いながら部屋から抜け出して人がいない静まり返っている城の秘密の階段をかけおりていた。


人と会わずに城の外に出るのには慣れている。マル―シャは城の中でお気に入りの場所に来た。そこは南側の城壁に囲まれたラミド城の中で一番南側に建っている塔でここはあまり人が来ない場所で倉庫としても今はあまり使われていない塔と城壁の間にあるスペースなのだが、人があまり来ない場所で昔からマ―シャやランドたちが勉強や練習をさぼる場所だった。


マル―シャは塔の壁に背を付けてその場にしゃがみ込んだ。


「お母様どうして戦場にいた私が生きていて、一番安全な城にいるお母様が殺されなきゃいけないの? 私が無理に戦場なんかに行ったりしなければお母様が亡くなることもなかったのかな」


とめどなく流れてくる涙をぬぐうこともせずじっとその場にしゃがみこんで、ポケットに入れていた赤の宝玉を右手でじっと見つめていた。


その時、赤の宝玉が急に光だし、一定方向に光が指示した。


「あの方角は確か旧礼拝堂がある場所じゃなかったかしら」

マルーシャはそう呟いたかと思うと、急にその場から走りだした。



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