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雨乞いの儀式③

その後、ラバンナおばさんのパンはお昼過ぎには完売してしまった。

四人はその後、村のあちこちで販売している出店を回りながら遅い昼食を食べ歩いた。


ニット帽子を被って、男物の服をきているマルーシャを村人や都から来ている人々の誰も、王女様だとは気づく者がいなかった。


やがて夕方が近づき、マルーシャはラバンナお婆さんの家で着替えを済ますと、幌馬車に乗り込みラバンナお婆さんが御者になり雨乞いの儀式と祭りの会場である泉のある広場に向かった。


マルーシャ達が到着すると、広場の中央には夜に備えて、いたるところにたいまつが準備され、中央には丸太が四角く交互に重ねられ、会場中を炎で明るく照らし出す準備が整えられていた。


そして広場の奥の岸壁の下の泉の場所には昼間にはなかった机が置かれ、その上には白い布がかけられ、果物やお供えする食べ物がたくさん置かれていた。

マルーシャ達を乗せた幌馬車は、その泉のすぐそばにつけられた。


広場にはすでに集まっている人々の注目が注がれたが、幌馬車が到着するとすぐに待ち構えていた祭りの実行委員たちにより、すぐに白い大きな布で泉と幌馬車を取り囲み、周囲から幌馬車が見えないように取り囲んだ。


これは毎年恒例のことで、神に美酒を捧げる少女の姿は直前までみてはいけないという言い伝えがあるので、会場に集まっている者たちも何も言わず本番を待ちかまえるべく様子を見守っていた。



やがて太陽が完全に西の空から姿を消し、闇が辺りを包みこみ始めると、最初に泉の両横に設置されていたかがり火に火がつけられ、白い布で囲われた中から笛の音色が奏でられた。


これはマルーシャの発案で、いつも荷物の中に小さな笛を入れているアルに吹くように言ったのだ、今までの雨乞いの祭りではない指向に一瞬辺りは静寂に包まれた。


そして、白い布がとりのぞかれると、そこに姿を表したのは、白いレースのロングドレスに身を包み、頭には黄金色のティアラをのせたラールシア国の王女マルーシャス王女が姿を表したのだ。


その瞬間、会場にいたすべての人達からどよめきが起こった。

そんな中マルーシャが泉の前の祭壇にゆっくり歩きだすと、周囲は再び静寂に変わり、アルの奏でる笛の音が静寂の中厳かな雰囲気を漂わせた。


マルーシャが手に美酒の入った水瓶を持ち、祭壇へと先頭を歩きだすと、その後を、白の正装姿のランドとルカの二人は白い器のようなものを両手でもちその後に続いた。

そして最後にアルが笛の音色を奏でながら一番後ろを歩き祭壇に向かった。


マルーシャが祭壇につくと、後ろの三人がマルーシャのすぐ後ろに一列に並んだのを気配で感じとると、ちらりと後ろに合図をおくると、アルの笛の音が止み、マルーシャが手に持っている水瓶を頭の方まで持ち上げると、泉に向かって頭をさげた。すると、後ろの三人も同時に頭を下げた。


しばらく拝礼が続き、マルーシャが頭を上げると、三人も頭をあげ、マルーシャの言葉を待った。


「天におわせられます水の神ラグーナ様、ここに持ちます美酒をもって、どうか我らの願いをお聞きくださいますようお願い申し上げます。聖なる水の恵を我らにお与えくださいますようお願い申し上げます」


マルーシャの言葉が静まり返った辺りに響いた。

マルーシャは言葉の後に、自分が持っている水瓶の中の酒を乾いた泉の前まで歩み寄りひざまずいて水瓶の中の酒を半分だけ注ぎいれると、その水瓶に今度はランドが持っていた乳白色の聖水を注ぎ入れてから、続いてルカが持つもう一つの聖水を注ぎ入れた。


酒と二つの聖水が混ざると、中から白い霧がその水瓶から立ち上った。

マルーシャはそれを泉に注ぎ入れると、乾ききった泉の中に聖水は飲み込まれていった。


その直後、ゴゴゴゴゴーという音と共に、乾いていた泉の底から聖なる水が沸き上がってきた。すると、今まで星空が出ていた天の空が急に黒い雲がたちこめ、天から一粒のしずくがマルーシャの水瓶の中に零れ落ちた。


そのすぐ直後、大粒の雨が辺り広場一面にほんの少しの間降り注いだ。人々は自分が手にしていたお椀を天に向かって大きくかかげた。

雨は一瞬でやみ、一人一人のお椀の中には一滴分ぐらいずつしか入ってはいなかった。

 


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