地底人⑤
「おいルカしっかりしろ何があったんだ?」
マルーシャの足元で気絶しているルカに駆け寄り肩を揺らしているアルが言った。
ランドもマルーシャのそばまでかけ寄ると、周囲を警戒するかのように鋭い視線を向けてマルーシャに向かって睨みつけた。
「マルーシャ、勝手な行動して何かあったらどうするつもりだったんだ!」
「いいじゃない、そのおかげでこの場所を見つけることができたんだから」
「何を言っているんだ。ここはただの地下水脈だ。本当の聖水は別の通路の先にあったぞ。だいたいお婆の言った言葉を忘れたのか?」
「えっ?」
「聖水は乳白色だって言っていただろうが、この水も白いが白さが違うだろ。確かにこんな場所にこんな大きな洞窟が広がっていたのには驚きだけどな」
ランドはまだ先がずっと続いている地下洞窟に視線を向けて言った。
「そうだったかしら? じゃあランドが行った道の方にあったの聖水?」
マルーシャはランドに向って聞き返すとランドはポケットから聖水入りの小瓶を取り出し見せた。
「でも、あなたは知らないでしょ。その聖水だけじゃ、スシュル湖の水は元に戻らないのよ」
「どうしてそういいきれるんだ」
「そっそれは…ちっ地底人に聞いたのよ」
「はあ?」
「ああっ! 信じていないでしょ。ルカに聞けばわかるわよ。私ここで会ったんだから。どうしてだか私の正体を知っていたようだけど、彼教えてくれたわ。スシュル湖の水を元に戻すにはここの二つの聖水のほかにえっと確か神の涙が必要なんだっていっていたわ」
「神の涙? なんだそれ」
「あなたがこなければ、もっと詳しく聞き出せたのに」
「はあ? このまま俺がこなかったら、ここから出られなくなっていたかもしれないんだぞ」
「ここからでられない?」
「海水が満潮に向っているからだよ。ここにくるまでに少し下っている場所があっただろう? あそこが水没しているんだよ。早くしないと入り口まで海水の中に沈んでしまうんだよマルーシャ」
ランドの代わりにアルがマルーシャに説明した。ランドはその間にも気絶したままのルカを背中に背負いすでに歩きだしていた。
マルーシャはランドのその態度にさっきあの少年にもらった容器のことは言いそびれてしまった。
マルーシャは仕方なく、その容器をポケットにしまいこみアルと共にランドの後を追った。
だけどすぐあわてて引き返し、マルーシャは背中のリュックから空の小瓶を取り出すと手が触れないようにそっとその地下水の水を汲み取ると、水の水滴を素手でさわらないように布でふき取りリュックの中にしまいこんだ。




