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第1話 約束の地へ

村を旅立ってから数時間。

俺たちは森の中を歩いていた。


「ヴァルディ。」


前を歩いていたマロンが俺の隣へやって来る。


「これからどこに行くの?」


俺は少し前を見ながら答えた。


「まずは七竜のところ。」


「……。」


「……。」


すると同時に二人の足が止まる。


「…………。」


「…………。」


二人は固まったまま動かない。


「えっ?」


「は?」


しばらく沈黙が続いたあと――


「はぁぁぁぁっ!?」


ガルドが思わず大声を上げた。


「ちょ、ちょっと待て!」


「今、七竜って言ったのか!?」


マロンも目を丸くする。


「七竜って……あのおとぎ話の!?」


俺は首を傾げる。

おとぎ話…あいつそこまですごい奴だったのか。


「そんなにすごい奴なんですか?」


「いやいやいや!」


ガルドは頭を抱えた。


「七竜なんて子供に聞かせる昔話の存在だぞ!」


「本当にいるのか!?」


「この前会いましたけども…」


「会ったぁ!?」


今度は二人の声がぴったり重なった。


「お、お前……。」


ガルドが信じられないという顔で俺を見る。


「七竜に会ったのか?」


「はい…。森で偶然…」


ガルドは大きく息を吐く。


「……おい。」


「七竜なんざ、一生会えねぇって言われてるやつだ。」


マロンは目を輝かせる。


「でもすごいね!」


「本当に七竜なんだ!」


「早く会ってみたい!」


その無邪気な笑顔に思わず笑ってしまう。


「もう少しで着くよ。」


森をさらに進む。

見慣れた景色が少しずつ増えていく。

やがて。

目の前へ、空を突き抜けるほど巨大な一本の樹が姿を現した。


「うわぁ……。」


マロンが思わず声を漏らす。


「こりゃ村じゃ有名な場所だぞ?」


ガルドはこの場所のことを知っているようだ。


「これがなぁ。」


俺はゆっくり息を吸う。

そして竜の気配を発動する。

その瞬間。


ゴォォォォ……


風が森中を駆け抜けた。木々が大きく揺れる。

葉が舞い上がる。空気が一変した。

マロンは思わず俺の後ろへ隠れる。


「な、何……?」


ガルドも無意識に剣へ手を掛けた。


すると。


巨大樹の上から、穏やかな声が響く。


「……来たか。」


その声と同時に、一陣の風が舞い降りる。

無数の羽が空を舞い、その中心へ一体の巨大な竜がゆっくりと降り立った。

銀白色の鱗。

風を纏う大きな翼。

優しくも威厳ある金色の瞳。


「久しいな、トカゲ」


俺は自然と笑みを浮かべた。


「約束通り来たよ。今はヴァルディって名前」


その様子を見たガルドとマロンは、ただ呆然と立ち尽くしていた。


「おとぎ話じゃなかったんだ…」

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