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第37話 平凡種のトカゲだった俺は、最強目指して旅に出る。

翌朝。

村にはいつも通りの朝が来ていた。

鳥の鳴き声。人々の話し声。

昨日までの騒ぎが嘘のように、穏やかな時間が流れている。

俺は村の外れで、マロンを待っていた。


「ヴァルディ!」


元気な声が聞こえる。

振り向くと、マロンが走ってきた。


「おはよう!」


「おはよう。」


「昨日はちゃんと眠れた?」


「うん!」


「森の主を倒したんだもん!」


「今日はいっぱい寝てもいいかなって思ったけど……。」


マロンは笑う。


「なんか早く起きちゃった!」


その笑顔を見ると、本当にこの子は強いと思う。

少し前まで、両親を失った寂しさを抱えていたなんて想像できない。


「マロン。」


「ん?」


俺は少し間を置く。


「話があるんだ。」


「話?」


マロンが首を傾げる。


「うん。」


「村長がな。」


「俺たちと一緒に旅へ来ないかって。」


一瞬。

マロンの目が大きく開く。


「……え?」


「本当に?」


「うん。」


「でも、無理に決めなくていい。」


「この村に残るって選択もあるから。」


そう言うと、マロンは首を横に振った。


「行きたい。」


迷いのない返事だった。


「ヴァルディとガルドさんと一緒にいた時。」


「すごく楽しかった。」


「もっと色んな場所を見てみたい。」


「だから……。」


「連れて行ってほしい。」


「いいかな?」


その言葉に、俺は少し笑う。


「分かった。」


「これからよろしくね。」


「うん!」


マロンは嬉しそうに頷いた。

その日の昼。村の広場。

村人たちが集まっていた。


「本当に行くのかい?」


「寂しくなるなぁ。」


「でも、頑張ってこい!」


みんな優しい顔で笑っている。

ガルドは少し離れた場所で腕を組んでいた。


「ったく。」


「朝から騒がしい村だ。」


と言っていた、ガルドにおばさんが


「あんたも行くんだから前に出な!」


この2人のやり取りを見れなくなるのは少しかなしい。

そして。

村長が前へ出る。


「ヴァルディ。」


「少し渡したいものがある。」


そう言って、懐から古びた布を取り出す。

ゆっくり開く。

中にあったのは、一つの仮面だった。


「これは……?」


「わしの一族に代々伝わるものじゃ。」


村長は優しく笑う。


「昔、旅へ出た者が使っていたらしい。」


「お主はこれから、人の多い場所へ行くじゃろう。」


「その姿では、困ることもある。」


俺は仮面を見る。確かに。

この姿のまま人間の街へ行けば、問題は多い。


「でも……。」


「これは村長さんの大切な物ですよね。」


「俺が受け取っていいものなのか……。」


村長は目を細める。


「フォッフォッフォ。」


「大切なものだからこそじゃ。」


「必要な者へ渡すんじゃよ。」


「それに。」


「お主はもう、ただの旅人で魔物ではない。」


「この村を守った、大切な仲間じゃ。」


俺は少し黙る。

そして。


「……ありがとうございます。」


仮面を受け取る。

パッドが反応する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《幻紋の面》

ランク:古代級

スキル

《認識阻害》


装備者に対する認識を変化させる。

外見による違和感を自然なものとして処理させる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「幻紋の面……。」


俺は大切にしまう。

その時。


「村長!」


マロンの声が響いた。

村長が振り向く。


「ん?」


次の瞬間。

マロンが走る。

そして。

ぎゅっ。


「フォッ……。」


村長が驚いた声を漏らす。

マロンはそのまま顔を上げた。

少しだけ震える声。

でも、笑っていた。


「今までありがとう。」


「……お父さん。」


その一言。

村長の表情が止まる。

村人たちも静かになる。

しばらくして。

村長はいつものように笑おうとした。


「フォッ……フォッフォッ……。」


でも。

一滴の涙がこぼれる。


「……そう呼んでくれるか。」


「嬉しいのう。」


村長はマロンの頭を優しく撫でる。


「元気でな。」


「無理だけはするんじゃないぞ。」


「うん!」


マロンは笑顔で頷く。

そして俺たちは歩き出す。

村人たちが手を振る。


「気を付けろよ!」


「また帰ってこい!」


「ヴァルディ!」


「マロン!」


「ガルドさん!」


俺たちは振り返る。

そして手を振り返す。

村長も笑顔で手を振っていた。その笑顔は。

今まで見た中で一番、嬉しそうだった。

こうして。

俺たちは新しい旅へ向けて歩き始めた。

皆さん!今回の話で第1章が終了します!また第2章を出しますが、

一気に出したいので遅れるかもです。またよろしくお願いします!


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