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第30話 鎖の演奏

ドンッ!!

俺とサブロークハントが真正面からぶつかる。


ギィィィン!!

刃尾と大剣。

火花が散り、衝撃が森中へ響いた。


「……っ!」


重い。

前よりずっと重い。

それでも押し負けない。


「おぉぉぉっ!!」


力を込める。

サブロークハントが一歩下がる。


(押した!)


その瞬間。

横から巨大な影。


「どけ。」


ガルドだった。

ブォン!!

ボロボロのグレートソードが唸りを上げる。

サブロークハントは後ろへ飛び退く。

ズドォン!!

剣が地面へめり込み、大地が大きく揺れた。


「まだだ!」


俺はすぐに壁を蹴る。

木を駆け上がり、一気に頭上へ。


「《刃尾》!!」


ガキィン!!

今度は肩へ直撃。

サブロークハントの鎧が削れる。

だが。

まだ浅い。


「グルル……。」


低く唸る。

次の瞬間。

ブンッ!!

大剣を横薙ぎ。

俺はしゃがんで避ける。

その上をガルドが飛び越えた。


「はぁぁぁっ!!」


剣と剣がぶつかる。

ギィィィィン!!

互角。

サブロークハントも力ではガルドに引けを取らない。


「ヴァルディ!」


「右!」


「はい!」


俺はすぐ動く。

壁を蹴る。

木を蹴る。

右側へ回り込み、死角へ。

ガルドが正面。俺が側面。

以前とは違う。


「《刃尾》!」


ガキン!!

脇腹へ命中。サブロークハントが体勢を崩す。その隙を逃さない。

ガルドの大剣が振り下ろされる。


ドゴォン!!


衝撃で鎧が大きく変形した。


「グルガッ!!」


初めてサブロークハントが苦しそうな声を上げる。

俺は思わず拳を握った。


(効いてる!)


そのまま畳み掛ける。俺が前へ。

ガルドが横へ。

攻撃。

回避。

連携。

修行で何度も繰り返した動き。

サブロークハントは徐々に押され始める。


「もう少し!」


マロンが後ろから叫ぶ。


「いけー!」


サブロークハントは数歩後退した。その時だった。

ピタッ。

動きが止まる。


「……?」


サブロークハントがゆっくり腰へ手を伸ばす。

そこには、何重にも巻かれた黒い鎖。

ガチャ……

一本。

また一本。

鎖が解けていく。

ガルドの表情が変わった。


「ヴァルディ。」


「下がれ。」


「え?」


「早くしろ!」


その瞬間だった。

ジャララララララッ!!!

無数の鎖が一斉に宙へ浮かぶ。

まるで意思を持った蛇のように。

何十本もの鎖が空中をうねり始めた。


《チェーンオーケストラ》


パッドが静かに表示する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

固有スキル

・チェーンオーケストラ

・ 自身に身につけられた鎖を自在に操る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「固有スキル……!」


鎖が一斉に襲いかかる。


「くっ!」


一本目を避ける。

二本目を弾く。

だが。

三本目が足へ絡みつく。


「しまっーー」


ブンッ!!

体が宙へ持ち上げられ、そのまま大木へ叩きつけられた。


「ぐぁっ!」


息が詰まる。

さらに。

ジャラッ!!

別の鎖がガルドへ。

ガルドは剣で叩き落とす。

しかし。

一本。

二本。

三本。

次々に襲ってくる。


「チッ。」


大剣では捌ききれない。

鎖は木へ巻き付き。

岩を砕き。

地面をえぐる。

森そのものが敵になったようだった。


「ヴァルディ!」


ガルドが叫ぶ。


「俺が何とかする!だから引きつけろ!」


俺は痛む体を起こし、小さく頷いた。


「……はい!」

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