第3話 進化をしたら牙が出た
「むーん……。」
俺は目の前に浮かぶパッドを見つめた。
そこには、三つの進化先が表示されている。
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【進化】
進化可能な種族を選択してください。
▶ 牙トカゲ
▶ 岩甲トカゲ
▶ 疾風トカゲ
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「どれがいいんだろうな……。」
攻撃が得意そうな牙トカゲ。
防御に優れた岩甲トカゲ。
素早さが売りの疾風トカゲ。
名前だけじゃ、どれが自分に合っているのか分からない。
「説明とかあるのか?」
試しに牙トカゲへ前足で触れてみる。
すると、画面が切り替わった。
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【牙トカゲ】
鋭い牙を持つ近接戦闘型。
攻撃力が上昇します。
ユニークスキルが変化します。
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「おっ、説明あった。」
そのまま岩甲トカゲ、疾風トカゲも確認していく。
どれも悪くない。だからこそ悩む。
「うーん……。」
しばらく考えたあと、俺は静かに頷いた。
「まずは、戦える力が欲しい。」
俺は牙トカゲへ前足を伸ばした。
《進化を開始します》
次の瞬間、身体が眩い光に包まれた。
「うおっ!?」
全身が熱い。
痛いというより、身体の中を何かが駆け巡っているような不思議な感覚だ。
その時だった。
ピキッ。
身体の表面に小さなひびのようなものが走る。
「え……?」
パリッ。
パリパリパリッ――。
鱗が音を立て、古い皮が少しずつ剥がれ始めた。
「ちょ、ちょっと待て!」
思わず身体を見回す。
頭から尻尾の先まで、まるで脱皮するように皮が裂け、新しい鱗がその下から姿を現していく。
痒いような、痛いような、不思議な感覚。
「うぅっ……!」
古い皮は次々と剥がれ落ち、地面へ積もっていく。
やがて最後の一枚が剥がれ落ちると、身体を包んでいた光もゆっくりと消えていった。
恐る恐る前足を動かしてみる。
「……動く。」
どこか違和感はあるが、ちゃんと動ける。
近くの水たまりへ駆け寄り、自分の姿を映した。
「おぉ……。」
身体は一回り大きくなり、口元からは鋭い牙が伸びている。
鱗も少し濃い色になり、前より力強い見た目になっていた。
「これが……牙トカゲ。」
思わず何度も口を開け閉めして牙を確かめる。
鋭い。
さっきまでとは比べものにならないくらい鋭い。
すぐにパッドを開く。
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名前:なし
種族:牙トカゲ
種族ランク:平凡種
ランク:E
レベル:3
HP:20
MP:5
攻撃:8
防御:3
敏捷:6
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【スキル】
・噛みつき Lv2
・尻尾たたき Lv1
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【ユニークスキル】
《刃尾》
尻尾を刃のように硬化させる。
硬化中は斬撃属性の攻撃を行える。
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「ステータスも変わってる。」
攻撃はかなり上がっている。
「《刃尾》……?」
名前からして、尻尾を使うスキルらしい。試しに発動を意識してみる。
すると、尻尾の表面がゆっくりと黒く硬化し、刃物のような光沢を帯び始めた。
「おぉ……。」
軽く近くの枝へ振ってみる。
シュッ。
抵抗なく枝が真っ二つになる。
「すごいな……。」
さっきまでの俺じゃ絶対にできなかった。
「……あ。」
ふとステータスへ目を戻す。
「種族は牙トカゲになったのに、種族ランクは平凡種のままか。」
進化すれば全部変わるわけじゃないらしい。
「まぁ、いっか。」
今は強くなれたことの方が嬉しい。
そう思いながらパッドを閉じると、森の奥から風に乗って何かの鳴き声が聞こえてきた。
俺は自然と、その音のする方へ顔を向けた。
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