第22話 忘れ去られたダンジョン②
カツ……
カツ……
暗闇の奥から、ゆっくりと人影が姿を現した。
ボロボロの鎧。
錆び付いた剣。
朽ち果てた体。
その姿を見た瞬間、ガルドの足が止まる。
「まさか…。」
巨大なグレートソードを握る手が震えていた。
俺はすぐにパッドを向ける。
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死霊兵
ランク:F
状態:アンデッド
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「アンデッド……。」
一体だけじゃない。
その後ろからも。
さらにその後ろからも。
次々と死霊兵が姿を現す。
「囲まれる!」
俺は《刃尾》を発動。
黒い刃へ変わった尻尾を構え、一気に飛び出した。
「はぁっ!」
ギィン!!
一体目を斬り飛ばす。
だが、すぐに二体目。
横から剣が振り下ろされる。
「甘い!」
壁を蹴り、一気に回り込む。
《壁走り》!
進化したスキルのおかげで動きは以前とは比べ物にならない。
ガキン!
首元へ《刃尾》を叩き込む。
頭が転がり落ち、死霊兵は崩れ落ちた。
「まだ来る!」
次々と襲い掛かる死霊兵。
俺は駆け回りながら、一体ずつ倒していく。
「オ、おい…もうやめてくれ…」
敵を倒し続ける俺にガルドは小さい声でつぶやいた。
ただ前だけを見ていた。
「ガルドおじさん!」
マロンが叫ぶ。
しかし返事はない。
その視線の先には、一人の死霊兵がいた。
他とは違う。
大きな盾。
欠けた剣。
胸当てには犬族の紋章。
ガルドは小さく呟く。
「……ジーク。」
俺は振り返る。
知り合いなのか。
ガルドはゆっくり前へ歩いた。
ジークと呼ばれた死霊兵も剣を構える。
そして無言のまま斬りかかってきた。
ガルドは避けるだけだった。攻撃しない。
できていなかった。
「ガルド!」
俺は別の死霊兵を蹴り飛ばしながら駆け寄る。
「危ない!」
ガキィン!!
間一髪、《刃尾》で剣を受け止めた。
衝撃で腕が痺れる。
「くっ……!」
俺はそのまま尻尾を振り抜く。
ジークの剣が弾かれ、体勢を崩した。
「ガウ!」
返事はない。
その時だった。
カツ……
また足音が響く。
今までとは違う。
小さい。
軽い。
静かな足音。
全員がそちらを見る。暗闇の奥から、小さな人影が歩いてきた。
背丈は子どもほど。
服はボロボロ。
小さな木剣を握っている。
ガルドの目が大きく見開かれた。
「……やめろ。」
震えた声が漏れる。
人影がさらに近付く。
ガルドは一歩前へ出た。
「来るな……。」
その声は懇願するようだった。
光がその顔を照らす。
その瞬間。
ガルドが膝をついた。
「…………レオン。」
その名前が静かなダンジョンに響いた。
小さな人影は何も答えない。
ただ、ゆっくりと剣を構えた。
俺はその姿とガルドを交互に見つめる。
誰も動けなかった。
重苦しい沈黙だけが、ダンジョンを包み込んでいた。
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