第14話 助けたのは獣人の少女だった
悲鳴を聞いたあと考えるより先に体が動いていた。
枝を蹴り、《よじ登り》で木から木へ飛び移る。
「今の声……!」
人間?
いや、この森に人がいるとは思えない。
それでも、あの切羽詰まった声は聞き間違えるはずがなかった。
「急げ……!」
木々の間を駆け抜ける。
すると少し先の開けた場所が見えてきた。そこには一人の少女がいた。
茶色の獣耳。
ふわりと揺れる尻尾。
両手には薬草を抱えている。
「獣人……?」
獣人を知ったのはドラクエXIベロニカの着ぐるみ装備で調べた時か。
そんなことを考えていて,ふと少女を見る。
その少女は後ずさりしながら震えていた。
目の前に立っていたのは、一体の魔物。
二本足で立つ、大柄な獣。
全身を鉄の鎧で覆い、片手には大きな剣。
肩には茶色い毛皮のマントを羽織っている。
その姿は、今まで見たどんな魔物とも違っていた。
「何だ…あいつ。」
こいつも獣人なのだろうか?
俺はすぐにパッドを向ける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族:サブロークハント
種族ランク:上位種
ランク:C
レベル:26
《称号》
森の主
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
森の主。
その文字に思わず目を疑う。
「リズクルベアーじゃないのか?」
確かにあの毛はリズクルベアーのものだった。
じゃあ、何でこいつが森の主なんだ。
その時だった。
サブロークハントがゆっくりと剣を構える。
肩の毛皮が風で大きく揺れた。
俺がマントに目を向けるとパッドが再び反応する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
装備:リズクルベアーの鋼毛マント
ランク:C
〈説明〉
リズクルベアーの鋼毛で作られたマント。
高い防御力を持ち、斬撃にも強い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そういうことか。」
思わず息を呑む。
「あの毛は……こいつのマントから落ちたのか。」
完全に勘違いしていた。森の主は熊じゃない。
目の前のこいつだ。
つまり熊もこいつは倒している。
少女が震える声で叫ぶ。
「た、助けて……!」
サブロークハントはゆっくり少女へ歩き出す。
その姿に迷いはない。
「くそっ!」
考える暇なんてなかった。
俺は枝を思い切り蹴り、一直線に飛び出した。
リアクションお待ちしております!




