第12話 強者の痕跡
「……森の主、か。」
蒼天龍が飛び去ってから、しばらくその場を動けなかった。あの圧倒的な存在。
そして最後に残された一言。
『この森の主を倒してみろ。』
「言うのは簡単なんだけどな……。」
思わず苦笑する。
どこにいるかも分からない。
どんな魔物なのかも知らない。
情報が何もないまま探せと言われても困る。
「……まあ、探すしかないか。」
俺は《竜の気配》を解除し、森の中へ戻っていく。
まずは歩きながら周囲を観察する。
あの時のウサギやヘビはたびたび見かけるが、
どれもこの辺りにはほとんどいない。
「やっぱり、あいつがいた場所には近付かないのか。」
魔物にも本能があるらしい。
俺は木へ飛び乗る。
「やっぱり高い所の方が見やすいな。」
《よじ登り》を使い、枝から枝へ移動する。
しばらく進んだところで、不自然な場所を見つけた。
「……何だ?」
木が一本、途中から真っ二つに折れている。
切られたわけじゃない。
何かがぶつかったような跡だった。近付いてみる。
傷口はまだ新しい。
「最近できた傷か。」
その周りにも、大きな足跡がいくつも残っていた。
俺はパッドを向ける。
《解析できません》
「……出ない。」
今までの積み重ねで種族くらい表示してくれると思ったが、
だがやはりダメらしい。
「足跡だけじゃ分からないってことか。」
その時だった。
ガサッ。
草むらが揺れる。
「!」
反射的に《刃尾》を発動する。
しかし現れたのは、小さなウサギ型の魔物だった。
あの時のいっかくうさぎだ。
《個体を確認》
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種族:ホーンラビット
種族ランク:平凡種
ランク:F
レベル:4
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「あ…」
ホーンラビットも俺を見るなり逃げ出そうとする。
「悪い。」
「今の俺も飯は必要なんだ。」
俺は枝を蹴り、一気に飛び降りた。
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