第10話 圧倒的強者に出会った時心は高ぶっていた。
《竜の気配》を解除すると、さっきまで頭を締め付けていたような
圧迫感が少しだけ消えた。
「はぁ……。」
思わずその場へ座り込む。
「本当に何なんだこのスキル」
さっき覚えたばかりのスキル。
便利なのかと思ったら、とんでもないものだったしまだ頭には
奴の居場所がキッチリと記憶してある。
あの気配の主は、この森のどこかにいる。
普通なら近付かない。近付く理由なんてない。
「だけど…」
ここで諦めて知らない第3者になるのは気がかりだ。
「いくしかない」
ここまで強くなってきたし進化だってした。
それなのに、あの存在を感じた瞬間、自分がまた小さなトカゲに戻ったような気分になった。
「やるか!」
俺は《竜の気配》をもう一度発動した。
「ウゥ…」
恐怖が胸を締め付ける。
だが今度は耐えられた。
「……よし。」
気配のする方向へ歩き始める。森の様子が少しずつ変わっていく。
草は短くなり、大木はさらに太くなる。鳥の鳴き声も聞こえない。
魔物の姿も、一匹も見当たらなかった。
「本当に何もいないな…」
この森で、ここまで何もいない場所は初めてだった。
歩き続けること数十分。突然、目の前が開けた。
森の中心とは思えないほど大きな空間。
中央には一本だけ、空へ届きそうなほど巨大な樹が立っていた。
「でか……。」
まるで世界樹だな…にしては小さい気もするが、
そして思わず見上げる。
その時だった。
ゴォォォォォッ!!
猛烈な風が吹き抜ける。
枝が大きく揺れ、木々が悲鳴を上げる。
「な、何だ!?」
反射的に顔を上げた。
空を覆うほど巨大な翼。蒼く輝く鱗。エメラルドのように美しい瞳。
太陽の光を受け、まるで空そのものが飛んでいるようだった。
「……ドラゴン。」
その姿は、俺の知っているどんな生き物よりも大きく、美しかった。
ゆっくりと巨大な樹へ降り立つ。
ズシン……
地面が震える。
その瞬間、《竜の気配》が強く反応した。
「こ,こいつが…」
体は震えている。逃げた方がいい。
本能がそう叫んでいる。
だが同時に心は高揚しあの時の光景が浮かんできた。
今自分の前にあの絶対的強者が立っている。それだけで胸は埋め尽くされた。
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