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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
故郷と龍と信仰と

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書庫と出待ちと鍛練と

邪神卓が面白すぎる

 赤く染まった夕焼けの空。

 流れていく綿雲と、辺り一帯に刻まれた炸裂痕。

 稽古をつけてもらった後、ムクロが最後に放ったアレの練習をしていたのだが………………


「難しすぎるだろ」


 というか、あの赤刃と黒霧が何なのか分からない。

 一応、同じ業を撃てるようになったが、ムクロの方が大分速い。

 年月を重ねれば何かわかるのかもしれないが、少なくとも今は無理だろう。


「……………レン。どうかしたの?」


  仰向けの視野に映る銀髪。

 呆れたように俺を見つめるジト目。


「必殺技が欲しかった」

「………狂った?」

「正気だ」


 手をついて立ち上がり、太刀を仕舞いこむ。

 屋敷の縁側から手招きするアヤメ。

 座敷で談笑する女性陣。

 その方向に足を進めた。





























「それじゃあ作戦会議始めよっか!」

「いきなりだな」


 屈託のない笑顔を振りまくアヤメ。

 その横で、リリアナがムクロに事情を説明していた。

 否定しない会議(ブレインストーミング)の開幕。

 現状わかっていることは2つ。

 一つ目は、敵の目的がリリアナという事。

 理由は不明。

 二つ目は、敵の正体が全く不明という事。

 ……………………うしゃ。


「………………リリアナも砦に連れていくか」

「レン、ソレは危険すぎる」

「残していって連れ去られるよりかは安全だと思うよ?ギンカちゃん」

「……………私も一緒に行きます。どうせ危ないならアヤメさんの傍にいたいので」


 恋する乙女のような表情(かお)で言うリリアナ。

 僅かに潤んだ目元と、微かに赤く染まった頬。

 その視線の先で、幸せそうにはにかむアヤメ。

 気まずい。


「あの、アヤメちゃん?作戦会議をするんだよね?」

「リリアナちゃんに手を出した奴は殺す。それ以外も鬱陶しいから殺す。気に喰わないから残党も殺す。それで十分だよね?」


 感情の抜け落ちた、幽鬼のような声音でアヤメが告げる。

 相変わらず殺意が高いが………………


「それもそうだな」

「レン君?!」

「………私もそう思う」

「ギンカちゃん?!」

「………儂も賛成だ。後悔するくらいなら、いっそ派手に散った方が潔い」

「ムクロさん?!」


 オネットさんが何やら悲鳴を上げているが、気にする必要も無し。

 出立まであと2日。

 ムクロに部屋を借り、準備を進めることにした。























 ムクロに案内されてやってきた大図書館。

 不死者に関する研究や民間伝承についての考察が書かれた論文が、山の様に積まれている。

 リリアナ本人も『心当たりが無い』と言っていた。

 なら、黒獅子という種族自体に原因があるとみるべきだろう。

 引き摺り出した一冊のファイルの名は〔少数民族の信仰と伝承について〕。

 少なくとも、何かの役には立つだろう。

 そう思ったのだが…………………………


「獅子神信仰………ねぇ……………」


 高位の魔物を神として崇め、その恩恵を得る。

 よくある普遍的な民間宗教らしい。

 魔物の連鎖暴走(トレイン)によって村が崩壊し、忘れ去られ、そして消えていった。

 雄叫びを上げる獅子を模した紋章。

 手掛かりはゼロ、振出しに戻る。

 気を取り直して、別の本を手に取った。

 不死者や獣人の変異について書かれた文献。

 最上級の不死者が使う呪いに関する考察と、その弊害について。

 不死者はその身の内に『死』を貯めこみ、ソレを消耗して動く。

 『死』をすり減らして呪いを使い、肉体を修復する。

 『死』が尽きると灰になり、消滅する。

 ………………………МPとHPが一体化したようなものか。

 我が身の事ながら不便なものだ。

 というか意外に危ない橋を渡っていたのか?

 ついうっかり使い過ぎて御臨終の可能性もあるし、消滅しないように気を付けないと。

 まだ消えるには早すぎる。


「ねぇ、お兄ちゃん。何調べてるの?」


 アヤメが話しかけてきた。


「リリアナがターゲットにされた原因。敵の正体は不明」

「汚物は鏖殺し、だね」

「それもそうだな」


 殺意がたっぷりブレンドされた気炎を上げるアヤメ。

 コイツらしいな。

 これ以上調べても、得られるものはなさそうだ。

 本を片付け、ムクロの家に向かった。























 眩い朝の光の中、涼やかな森に佇む。

 眼前に聳え立つ雄大な砦。

 黒々と塗りたくられ、歴戦の風格を漂わせるコレが、今回の攻略対象。

 精鋭20人が挑み、一人しか帰ってこなかったらしいが…………………どうにでもなるか。

 それより。


「……………リリアナ。本当に一緒に来るのか?」

「はい。………………どうせ危ないなら親しい人の傍で居たいので」


 本人が言うのならそれでいいのだろう。

 オネットさんがチェーンソーと弩弓を背負い、アヤメが杖を携える。

 黒腕を取り出すギンカと、護身用と思わしき短剣を腰に差すリリアナ。

 準備は万端、後は突っ込むだけ。


「………………隊長殿、ご武運を」


 神妙な顔で言う鴉羽の少年に礼を言い、前へ進む。

 重厚過ぎる金属板と無数の鋲で封じられた大扉。

 少しばかり尻込みしながらも、思い切って勢いよく門を開け放ち。
































 ───────────────俺の網膜に鋼杭の先端が映った。













次回から探索パート

・出待ち大斧

・曲がり角ショットガン

・落下天井

・落とし罠

・坂になる階段

・転がる巨岩

・精神汚染

 などが含まれます。













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