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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
故郷と龍と信仰と

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砦と罠と機構と

書けてしまった。

 扉を開けると同時に視界に飛び込んできた鋼杭。

 俗に突き殺す振り子(グーテンモルゲン)と呼称されるトラップ。

 板金鎧の騎士を纏めて轢殺するためのソレは、不死とはいえ一介の肉袋を穿つのに過剰な殺傷能力を持つ。

 後ろにはアヤメがいる。

 回避は不可能。

 つまり。


「ッ、アァ!!」


 一歩前に出て杭に貫かれる。

 ゾブリ、と嫌な音を立てて俺の胴を喰い破ったソレを抱え込み、無理矢理引きちぎる。

 一抱え程もある金属塊を握り締め、引き抜く。

 血と臓腑が滴り零れ、肉腫が風穴を塞いだ。

 天井からぶら下がった鉄鎖。

 初っ端から飛ばしてきやがる。

 俺の横を悠々とアヤメが通り過ぎ、ギンカが杭を回収する。

 オネットさんが油断なく弩弓を構え、リリアナが白く輝く短剣を抜き放つ。

 四方を石壁で囲まれた空間。

 明かりの灯された室内には、特に何も見当たらない。

 周囲を警戒しながらゆっくりと歩みを進め───────────────太刀を振るう。

 ギンッ、と甲高い音がして、金属の鏃が地に落ちた。

 壁石がスライドし、そこに開いた風穴から硝煙が立ち上っていた。ダーツトラップかよ。


「レンさん、無事ですか?」

「問題ないから一列になってついてきてくれ」


 というか、さっきの罠の発動条件が分からない。

 ナニカを踏んだような感覚も、伏兵の気配も無かったはず。

 俺には察知できない索敵に引っかかったのか、それとも誰かが動かしたのか。


「……………レン。早く先に行け」

「わかったよ」


 何処か苛立ったように呟くギンカ。大人しく先に進んだ。





























 渡された砦内部の地図によれば、この砦を順路道理に巡ることで、中央の広間に辿り着くらしい。   

 国難たる龍に抗うために造られた大砦。

 そこを攻め落とすには、かなりの時間と兵力を注ぎこむ必要性がある。

 それだけの軍を置いておくなら、中央広間以外にあり得ない。

 不可思議なのは、この砦に軍隊を送り込んだ勢力が特定できない事。

 大軍を動かした形跡も、狼煙も挙げられておらず、声明も無い。

 正体不明の敵勢力に、対龍の切り札が破壊された形となる。

 願わくば『教会』とやらと繋がっていてくれればいいのだが………………………

 そんな事を考えながら、石造りの通路を歩く。

 罠らしきものは一切なし。

 最悪、俺が罠にかかればそれで済む。

 前方には曲がり角。

 曲がった先を覗き込む。

 敵影、ナシ。

 そのまま角を曲がって………………目の前には金属の大筒。

 燧石銃(フリントロック)の光が瞬き。


「悪い」

「ッ?!」


 一言謝って後ろにいたギンカを突き飛ばし、銃身を掴んで額に押し当てる。

 激発。

 轟音。

 脳漿。

 しかし再生するから実質無傷。

 後ろから小突かれた。

 血に塗れた顔をハンカチで拭うギンカ。

 悪いことしたな。


「………私が最後尾を歩く。それでいい?」


 怒り心頭といった様相のギンカが後ろに回る。

 先頭から、俺、アヤメ、オネットさん、リリアナ、ギンカの順番。

 近接が前と後ろにいると考えれば、意外に悪くないのかもしれない。


「ねぇ、お兄ちゃん?ちゃんと身代わりになってよ?」

「それが実兄に言うセリフか」

「問題無いでしょ?」

「それもそうだな」


 我ながら酷い会話だが、事実だから仕方ない。

 砲を引き抜き、放り捨てる。

 薄暗い道を突き進んだ。
























 扉を開けて入った先の部屋には、引き裂かれた無数の屍。

 ふわりと鼻孔をくすぐる血錆のいい香り。

 凄惨な光景に、リリアナがふらりと倒れ込む。

 とても嬉しそうに抱きかかえるアヤメ。

 なにやら大きな刃物で真っ二つに斬られた様なものもあれば、重圧に潰されたように見えるものもある。

 鎧兜を着込んでいるところを見るに、恐らくは先に侵入した精鋭の皆さん。

 南無阿弥陀仏。

 覚悟を決めて一歩踏み込み───────────────ヒュン、と風切り音がして鎖に巻き付かれた。

 天井の隅から伸びた鉄鎖に引き摺られ、宙を舞う。

 ガコン、という駆動音。

 強制乱回転する視界に、壁がスライドするのが見えた。

 その奥に覗く鈍刃。

 壁際から無数の刃がせり出して………………………


「アヤメ!!」

「詠唱簡略─────────【鋼棘:縫針】」


 地面から飛び出た大量の棘が、刃の群れを貫く。

 鎖を振り解いて落下、無事に降り立つ。

 そのまま前へ行き、真下からかち上げられた。

 拉げる体、吹き飛ぶ筋骨。

 世界が回り、直下に見えるは先ほどまで踏んでいたはずの床。

 ……………なるほど、新手のトランポリンか。

 どちゃりと血を噴いて地に落ちる。


「…………………ギンカ。さっき拾った杭貸してくれ」

「わかった」


 渡された大身の鉄杭を振りかぶり、身体強化。

 全力で床面に叩きつける。

 グシャだかバキだかよくわからない断末魔を上げる、クソッタレな機構。

 怨念を込めてもう一発、確実にトドメを刺す。

 天井の隅の鎖めがけて杭を投擲し粉砕。

 側面にもまだ罠がある。

 もったいない気もするが、邪悪を滅するための必要経費だ。

 喰剣と轟呪を重ね掛け、星鎖棘鉄球(モーニングスター)を構えて。


「ウッ、ルオォアァアアァアァァァッッ!!!」


 咆哮を上げて振り回す。

 大量の死体を巻き込みながら命を刈り取る形をしている鉄球で壁を砕き、行呪で突き進んで突貫。

 肉薄の後、勢いを乗せた一撃で機械仕掛けの罠を潰し、引き摺り出す。 

 剥き出しになる諸悪の根源に、零距離から鉄球を打ちつけ鉄拳制裁。

 啞然とする女性陣。


「悪は滅びた」


 屍と瓦礫の山の上で佇む俺と、ソレをジト目で見つめるギンカ。

 我関せずといった様子のアヤメとオネットさん。

 そして一人昏倒したままのリリアナ。

 一気に場が混沌とする中、スクラップと化した機構から火花が散り─────────


















───────────────()()()()













   



爆発オチなんてサイテー










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