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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
故郷と龍と信仰と

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武者と稽古と侍と

遅く短くなってしまった

 爽やかな朝日が照らす中、チュンチュンと鳴き声を上げる雀たち。

 布団の中で穏やかな寝息を立てる()()()に目をやる。

 …………………うん、ギンカ。

 昨日、アヤメとリリアナの部屋に行った直後、顔を真っ赤にして帰ってきた。

 隣の部屋から一晩聞こえてきた艶っぽい声。

 何があったのかなんて、知らない方がいいのだろう。

 手持ち無沙汰になので、食堂に向かう。

 暢気に緑茶を啜るオネットさんと目が合った。


「おはよう、レン君。昨夜は楽しんだかい?」

「なんでそうなる」

「旅先の宿、少年少女がひとつ屋根の下。何も起きない筈は無く………………」

「起きてたまるか」


 親戚のおばちゃんと同じノリのオネットさん。

 ガラリと障子を引いてアヤメが出てきた。

 その奥にチラリと見えた白い肌から慌てて目を逸らす。


「………………どうかしたの?お兄ちゃん」

「いいや、何も」


 不思議そうに俺を見つめるアヤメから、顔を背けた。

 眠たげな目を擦って起き上がるギンカ。

 乱れまくった浴衣を着たリリアナが、呻きながら出てきた。

 扉が開いて、全員分の朝飯が乗った盆が、運ばれてくる。

 下働きの人に礼を言い、朝飯にした。





















 朝食後、屋敷内を探索していると、声を掛けられた。

 後ろを向けば、昨日の鴉羽の少年。


「………………隊長殿。一つ、折り入って頼みがある」


 そんな事を言われたが、全く見当がつかない。


「………なんですか?」

「………………稽古をつけていただきたい」


…………………なるほど、そう来たか。


























 砂利の敷き詰められた中庭。

 小さめの体育館程の広さがあるその場所に、二人組の侍と対峙していた。

 刃渡り3メートルの太郎刀を構えた首無しの少女に、漆塗りの剛弓を携えた鴉羽の少年。

 壁際で見物するリリアナ。

 審判役を務めてくれるようだ。


「用意はいいですか?……………………始め!!」

「シィッ!」


 ギンカの合図と同時に霞むような速さで振るわれた鈍刃を、寸前で撥ね上げる。

 自身の首を掲げたまま、片手で振り回される大刀。

 真っ向から刃をねじ伏せ、下段で足首を刈りに行き───────────────飛んできた鏃をギリギリで躱す。

 自身の羽根を引き抜き、番える少年。

 地味に痛そうだな。

 ………………後衛から狩るか。

 体を軋ませて突貫し、太刀の峰を叩きこもうとして。


「【戦哮】」


 後ろから轟いた名伏し難い咆哮。

 肉が、骨が、音を立てて捻れ、その場に縫い留められる。 

 掲げられた首から溢れ出るどす黒い靄。

 全身が爛れ、肉が腐り落ちた。

 バサリと大きく羽ばたき、宙を舞う少年。

 行呪で一気に距離を詰めようとして、太郎刀に阻まれる。

 なんと見事な連携、実に羨ましい。

 長巻を抜き放ち、急加速して突っ込んでくる少年と、太郎刀を大上段に構えた少女。

 一つの無駄も無い、息のあった連携攻撃。

 だが……………………


「………………少しばかり遅いな」

「ッ?!」


 息を呑む鴉羽の少年。

 繰り出された切先を噛んで受け止め、背負うようにして構えた太刀で、太郎刀の一撃を受け流す。

 動体視力万歳。

 渾身の力で武具を弾き飛ばし、反撃に出ようとして。


「「………………参った」」


 それぞれの得物を取り落とす少年少女。

 訳が分からない。


「参ったと言ったんだ。これ以上は稽古ではなく、殺し合いになる。そうだろう?」


 長巻を鞘に納める少年。………………正直、今一つ暴れ足りないが、仕方ない。礼を言って、その場を後にした。





















 暫く屋敷を探索して、昼飯(和食じゃなかった)を平らげてから割り当てられた部屋に戻ってきた。

 分かってはいたが、この屋敷かなり広い。

 屋敷中を一通り歩き終えたら、もう既に日が西に傾いていた。

 目の前には、うつ伏せで倒れ込んだオネットさん。

 全体的に幾分か煤けて見える。………………何があった。


「おい、生きてるか?」

「………ねぇ、レン君。一つ、聞いていいかな?」


 まさしく息も絶え絶えと言った様子のオネットさん。


「なんだ?」

「雷って………………刀で弾き返せる物だったかな?」

「嘘だろ」


 オネットさん曰く、侍に手合わせしてほしいと言われて戦ったところ、コテンパンにされたらしい。

 矢を避けられ、雷を撃ち返され、チェーンソーを弾き飛ばされ、手も足も出なかったそうな。


「バケモノかよ」


 というかなんで雷が弾ける。

 芦〇衆か?芦〇衆なのか?雷〇しの秘伝書でも読んだのか?


「まぁ、ギリッギリで勝ったけどね」

「バケモノかよ」

「あれ?もう戻ってたんだお兄ちゃん」


 アヤメが帰ってきた。

 ボロボロのギンカが、その後ろを這うように歩いてくる。


「なぁ、何があった?」

「訓練…………かな?もちろん二人とも勝ったけど」

「お前らもか」


 対戦相手の侍が言うには、侍大将からの命令だったらしいが………………………


「相手が悪かったんじゃないか?」

「納得いかない」


 不満そうに呻きを漏らし、床に突っ伏すギンカ。

 そして何か忘れている気がする。……………………


「………………………風呂入ってくるわ」

「えっ?」


























中途半端なのは見逃してください。

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