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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
故郷と龍と信仰と

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街と砦と侍大将と

明日はもしかしたら投稿できないかもしれない。

 眼前に広がる、特徴的な造りの木造の家々。

 黒い瓦で覆われた屋根と、うっすら土埃の舞う大通り。   

 夕焼けの中、種々の獣の耳や尾を持つ人々と、竜車の中ですれ違う。

 興味深そうにこちらを見上げてくる民衆。

 しかしながら、リリアナと同じ種族は見当たらない。


「なぁ、リリアナ。同郷の奴は見つかったか?」

「……………いいえ」

「………そうか」


 暗く沈んだ表情のリリアナ。

 車内に流れる重い空気。

 道の先の囲いの奥に見える平屋敷。

 予定ではあそこで暫く待機してから、砦の奪還作戦に移るのだとか。

 連絡を取るべく、屋敷に向かった。























 門番と思わしき鎧武者に案内されて竜車から降り、屋敷の中に入る。


「………貴公らが『強襲部隊』か?」


 曲がり角からぬるりと現れた、異形の大男。

 昆虫のような複眼に、蠍の尾。

 腰に携えた細身の太刀と、総身に纏った黒金の具足。


「……………はい、魔国から派遣されて来ました」

「そうか、ならついて来い。軍議が始まるまで、まだ時間がある。茶でも出そう」


 キチキチと唸るような声を出して歩いていく大男。

 諦めてその後を追いかけた。























 沈黙を茶請けに緑茶を啜る事、およそ30分。

 ようやく迎えに来た下働きに案内されて屋敷を歩く。

 通されたのは、畳が敷かれた大広間。

 天幕の飾られたその場所に、ずらりと並んだ異形の武者。

 蛇のような目を持つ者もいれば、水牛の角を生やした者も。

 背中からカラスの羽根が飛び出した少年に、小脇に自分の首を抱えた少女。

 百鬼夜行と言われても納得できそうな集団が一斉にこちらを睨みつける。

 そして上座に居座る、蠍の尾を持つ大男。

 お偉いさんだったか。


「申し遅れた。獣国《この国》の〔侍大将〕を務めている、リベル・バルスコルだ。此度の作戦の総指揮を執らせていただく。よろしく頼む」


 まさかの侍大将。


「こちらこそよろしくお願いします」


 頭を下げ、空いていた場所に正座で座る。

 後ろで同じように座る皆。


「………………これより軍議を始める。参謀、資料を」


 黙りこくったやたら陰気なオッサンが、纏められた羊皮紙の束を配り出した。

 配布された資料を読み込む俺を傍に、会議は進む。

 何やら紛々糾々としているが、連隊やら弓里やらよくわからん単語が多すぎて、話についていけない。

 後ろでもぞもぞする女性陣。

 足が痺れたのか?


「……………隊長殿、意見を聞かせていただきたい」


 話を振ってきた侍大将さん。

 急いで詳細を確認。龍に対抗するための砦、内部構造が描かれた地図。

 先遣隊は伝令を残して全滅。

 なんでも、砦内部の罠が変質していたそうな。………………


強襲部隊(自分たち)で先陣を切ります」


 困惑する皆様方、興味深そうに嗤う侍大将。

 よくよく考えたら不死身の斥候に前衛一人。

 後衛二人にお留守番一人。

 完璧な布陣じゃないか。


「……………………隊長殿、余り甘く見ないで貰いたい。先遣隊の者は我らの中でも精鋭であった。20人近い強者が挑み、一人しか帰ってこなかったのだぞ?たったの5人で攻略できるはずが無い」


 怒気を滲ませながら言う、首無しの少女。

 どうやって発音しているのか気になる。


「不死者なら先行して、罠を突破出来るのでは?」

「………………我らの中にも不死者はいるが、致死性の罠を強引に乗り越えられる様な者はおらん。……………せめて、私が真生の不死者(イモータリティ)なら」

「ケイハ、それ以上言わないでくれ………………己が気まずくなる」

「イリバ………でも!!」


 口惜しそうに唇を噛む首無しの少女を抱きしめる、鴉羽の少年。

 二人がどんな関係かは知らないが、恋物語(ラブコメ)の気配がする。

 14キロの砂糖水をイッキ飲みした気分だ。

 爆ぜちまえ。


「隊長殿は死なずであったか」


物珍しいモノでも見た様な表情の侍大将。

 微妙に腹が立つ。


「…………ねぇ、お兄ちゃん。本当に何とかなるの?」


 ひそひそ声で尋ねてくるアヤメ。


「俺が先に行って罠を全部動かしてから壊す。後は砦を襲った連中を殴って帰るだけ。簡単だろ?」

「それは………………まぁ、そうだけど………………」


 アヤメが不満そうに頬を膨らませたが、どっちにしろやるべき事は決まっている。


「隊長殿、砦の攻略は4日後になる。離れに宿を用意してある故、ゆっくり休まれよ………もっとも、辺境の平屋だがな」


 何が可笑しいのか、愉快そうに笑う侍大将。

 従者らしきオッサンに案内されて、離れとやらに向かった。


























 通された離れは、こざっぱりとしていながらも綺麗な部屋だった。

 9畳ほどの大部屋に、5畳ほどの小部屋が3つ。

 食事処とそれぞれの寝室。野外には、男女別の露天風呂まであるそうな。

 さて、差し当たっての問題は………………………


「部屋割り、だな」

「お前は寝なくていいだろ」

「目を閉じて休むぐらいしたいんだよ」


 部屋は3つ、人間は5人。

 つまり………………


「誰かが一緒に寝る必要があるわけだ」

「私がリリアナちゃんと寝るね」

「えっ?」


 笑顔で言うアヤメ、驚くリリアナ。

 アヤメがリリアナを引っ掴んでドナドナしていった。


「悪いけど僕は一人で寝させて貰うね」

「えっ?」


 弩弓を担いで小部屋に入るオネットさん。

 残されたのは俺とギンカ。……………………嘘だろ?


「おい、ギンカ」

「………………癪だけど、アヤメに頼んで一緒に寝させてもらう」

「お休み」

「黙れ」


 殺気すら感じさせる目で睨みつけてくるギンカ。

 一人寂しく、夜を明かした。






NO忍者、YES・NINNZYA
















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