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『魔法が飛ばせないので、杖でぶん殴ることにした ~落ちこぼれ魔法使い、なぜか最強の槌使いと呼ばれる~』  作者: 蝶野摩矢


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25/59

第25話 魔力は有料です

ベルナへ。


戻った。


依頼達成の。


報酬も。


受け取った。


「…………」


俺は。


手の中の金を見る。


増えた。


ちゃんと。


増えた。


「どうだ?」


レオが。


隣から覗き込む。


「増えた」


「そりゃそうだ」


「…………」


俺は。


頭の中で。


計算する。


欲しい杖。


今の金。


今回の報酬。


「…………」


足りない。


もちろん。


一回の依頼で。


買えるとは。


思っていない。


でも。


「あと何回?」


レオが聞く。


「…………」


もう一度。


計算する。


「結構」


「何回だよ」


「考えたくないくらい」


「そうか」


「…………」


もっと。


何か。


ないだろうか。


一気に。


金を稼ぐ方法。


高い依頼。


危険。


安い依頼。


時間がかかる。


「…………」


俺は。


今の杖を見る。


依頼を受ける。


金が増える。


杖を壊す。


金が減る。


「…………」


駄目だ。


「何が?」


ミアが聞く。


「声に出てた?」


「顔に出てた」


最近。


顔まで。


読まれる。


「もっと効率よく稼げないかな」


「働く」


レオが言った。


「それ以外」


「働け」


「もっと楽なやつ」


「働け」


厳しい。


◇


数日後。


俺たちは。


また。


依頼を受けていた。


今回も。


討伐依頼。


そして。


共同依頼。


「また会ったな」


「どうも」


一緒になったのは。


前回と。


同じパーティだった。


向こうの魔法使いが。


俺を見る。


そして。


杖を見る。


「今日は殴るのか?」


「殴りません」


「まだ禁止?」


「杖が高いので」


「まだその理由なんだな」


大事な。


理由だ。


「それより」


俺は。


相手を見る。


「何?」


「魔法飛ぶよね」


「飛ぶけど」


「いいな」


「…………」


相手が。


困った顔をした。


「まだ気にしてるのか?」


「別に」


気にしてない。


ちょっと。


羨ましいだけ。


◇


今回の魔物は。


群れだった。


一匹一匹は。


そこまで強くない。


でも。


数が多い。


「来るぞ!」


レオの声。


ガルムが。


前へ。


盾。


構える。


「ノア!」


「分かってる!」


俺は。


ガルムの背中へ。


杖を当てる。


「《ブースト》!」


「よし!」


前より。


慣れた。


ガルム。


強化。


離す。


ミアへ。


走る。


「いくよ!」


「お願い!」


「《ブースト》!」


ヒュン!!


矢が。


飛ぶ。


また。


ガルム。


「ノア!」


「今行く!」


忙しい。


やっぱり。


魔法使いは。


大変だ。


少し離れた場所では。


もう一人の。


魔法使いが。


魔法を撃ち続けていた。


「《ファイアボール》!」


炎が。


飛ぶ。


ドン!!


一匹。


倒れる。


「《ウインドカッター》!」


風が。


飛ぶ。


また。


倒れる。


「…………」


便利だな。


飛ぶ魔法。


俺も。


炎を出せる。


風も出せる。


でも。


飛ばない。


「ノア!」


「分かってる!」


今は。


ガルム。


◇


戦闘は。


長引いた。


数が。


多い。


倒しても。


まだいる。


向こうの魔法使いも。


何度も。


魔法を撃っていた。


「《ファイア――》」


途中で。


炎が消えた。


「……くそ」


魔法使いが。


膝をつく。


「どうした!?」


仲間が。


駆け寄る。


「魔力切れだ……」


「下がれ!」


「悪い……!」


魔力切れ。


「…………」


俺は。


その言葉を。


聞いた。


魔力が。


ない。


魔法が。


使えない。


「…………」


大変だな。


俺は。


自分を見る。


まだ。


余裕。


かなり。


ある。


「…………」


あっちは。


ない。


俺は。


ある。


「…………」


これ。


渡せないかな。


前に。


魔力を。


他人へ流す方法を。


聞いたことはある。


やったことは。


ない。


でも。


杖を通して。


魔力を。


流す。


支援魔法と。


似たようなもの。


できるかもしれない。


「…………」


貸す。


俺の。


魔力を。


貸す。


「…………」


貸す?


俺は。


魔法使いを見る。


「…………」


これ。


金になる?


「ノア!」


レオが。


叫ぶ。


「何!?」


「今、絶対戦闘と関係ないこと考えてただろ!」


「関係あるよ!」


多分。


かなり。


関係ある。


俺は。


魔法使いのところへ。


走った。


「大丈夫?」


「少し休めば……」


「魔力いる?」


「…………は?」


「貸せるかもしれない」


「魔力を!?」


「うん」


「そんなことできるのか?」


「分からない」


「分からないのかよ!」


「やったことないから」


「今試すのか!?」


「ちょうど魔力ないし」


「俺で試すの!?」


ちょうどいい。


俺は。


杖を。


相手の肩へ当てる。


「ちょっと流すよ」


「ちょっと待――」


魔力を。


流す。


「――っ!」


相手が。


目を見開いた。


「どう?」


「来た……」


「本当?」


「ああ……!」


魔法使いが。


自分の手を見る。


「魔力が戻ってくる……!」


「おお」


できた。


「ノア!」


「何?」


「もう少し頼む!」


「…………」


「ノア?」


「いくら?」


「は?」


「貸しだよ?」


「今それ言う!?」


「俺も杖買わないといけないし」


「戦闘中だぞ!?」


「じゃあ後払いで」


「商売するな!!」


レオの声が。


飛んできた。


仕方ない。


今回は。


後払い。


「じゃあ入れるよ」


「頼む!」


魔力を。


流す。


「ちょっ――!」


「何?」


「多い多い多い!!」


「まだ少しだけど」


「誰基準の少しだ!!」


俺は。


慌てて。


魔力を減らす。


「これくらい?」


「……ああ」


「少なくない?」


「十分だ!」


人に。


魔力を渡すのは。


難しい。


俺なら。


まだまだ。


入るのに。


「よし……!」


魔法使いが。


立ち上がった。


杖を。


構える。


「《ファイアボール》!」


炎が。


生まれる。


そして。


飛んだ。


ドン!!


魔物に。


直撃。


「…………」


俺は。


見ていた。


「ノア!」


レオが叫ぶ。


「何!?」


「ガルム!」


「あ」


忘れてた。


俺は。


走る。


でも。


途中で。


もう一度。


魔法使いを見る。


「《ウインドカッター》!」


飛んだ。


「…………」


俺の。


魔力。


飛んだ。


「ノア!」


「今行ってる!」


ガルムへ。


走る。


杖を。


背中へ。


「《ブースト》!」


「遅い!」


「ごめん!」


「何してた!?」


「俺の魔力が飛んだ」


「人の魔法でな!」


「でも俺の魔力だよ?」


「お前が飛ばしたわけじゃない!」


「…………」


そうだけど。


飛んだ。


ちょっと。


嬉しい。


◇


しばらくして。


最後の魔物が。


倒れた。


「終わった……」


レオが。


剣を下ろす。


俺も。


杖を下ろした。


向こうの魔法使いが。


近づいてくる。


「ノア」


「何?」


「さっきは助かった」


「うん」


「まさか他人に魔力を渡せるとはな」


「俺も知らなかった」


「自分のことだろ?」


最近。


よく言われる。


「本当に助かった。ありがとう」


「うん」


「…………」


「…………」


俺は。


手を出した。


「何?」


「貸し」


「…………」


「魔力の」


「本当に取るの!?」


「杖欲しいし」


「助けた仲間から金取るのか!?」


「仲間?」


「今は共同依頼だろ!」


「じゃあ割引する」


「金は取るんだな!?」


「二割引き」


「…………」


「三割でもいいよ」


「なんで俺が値切ってるみたいになってるんだ!?」


「半額?」


「もういい!」


怒られた。


「ノア」


レオが。


こっちを見る。


「何?」


「変な商売始めるなよ」


「まだ何も言ってない」


「顔で分かる」


「…………」


俺は。


自分の杖を見る。


魔力。


まだ。


かなり残っている。


そして。


財布を見る。


「…………」


これ。


仕事になるかも。



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