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『魔法が飛ばせないので、杖でぶん殴ることにした ~落ちこぼれ魔法使い、なぜか最強の槌使いと呼ばれる~』  作者: 蝶野摩矢


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第24話 触れば大体なんとかなる

ベルナへ。


戻る途中。


俺たちは。


さっきの戦いについて。


話していた。


「ノア」


ミアが。


俺を見る。


「何?」


「他には?」


「他?」


「魔法」


「ああ」


俺は。


考える。


「回復」


「それは知ってる」


「ライト」


「それも知ってる」


「火」


「飛ばない」


「水」


「飛ばない」


「風」


「飛ばない」


「土」


「飛ばない」


「…………」


「…………」


ミアが。


考える。


「やっぱり殴る?」


「戻るな」


レオが。


止めた。


「他にないのか?」


「他……」


何か。


あっただろうか。


攻撃。


回復。


支援。


あとは。


「状態異常とか」


「…………」


レオが。


止まった。


「何?」


「今、何て言った?」


「状態異常」


「使えるのか?」


「使えるよ」


「…………」


「何?」


「お前、まだ何か隠してるのか?」


「隠してないよ」


「なんで言わないんだよ!」


「聞かれなかったから」


「またそれか!!」


聞かれてないものを。


どうしろと。


「何が使える?」


「麻痺とか」


「他は?」


「鈍化」


「他」


「眠気」


「…………」


レオが。


俺を見る。


「結構あるな」


「まあ」


「なんで今まで使わなかった?」


「だって」


俺は。


杖を。


前へ出した。


「当てないと駄目だから」


「…………」


「杖を?」


「うん」


「敵に?」


「うん」


「直接?」


「直接」


「…………」


レオが。


少し考えた。


「それはちょっと分かる」


「でしょ?」


初めて。


分かってもらえた。


「魔法使いが状態異常をかけるために敵まで走っていくのか……」


「そうなるね」


「危ないな」


「だから使ってない」


「それは正しい」


なんか。


嬉しい。


「でも」


ミアが。


俺を見る。


「使えるなら、試してみたいね」


「誰に?」


「魔物」


「…………」


そりゃ。


そうか。


◇


しばらく。


歩く。


森を。


抜けるまでは。


まだ少し。


かかる。


「…………」


ガサッ。


音がした。


全員。


止まる。


茂みの奥。


何かが。


動いた。


「来るぞ」


レオが。


剣に手をかける。


飛び出してきたのは。


一匹の魔物。


さっきの。


大型の魔物に比べれば。


小さい。


「ちょうどいい」


ミアが。


俺を見る。


「…………」


俺も。


魔物を見る。


「やる?」


「やってみよう」


レオが。


剣を抜く。


「危なかったらすぐ助ける」


「分かった」


俺は。


杖を構えた。


魔物を見る。


「…………」


魔物も。


俺を見る。


「…………」


近づかないと。


当てられない。


でも。


近づくと。


攻撃される。


「…………」


一歩。


進む。


魔物が。


唸る。


一歩。


下がる。


「ノア」


「何?」


「なんで下がった?」


「威嚇された」


「状態異常は?」


「今から」


もう一度。


進む。


魔物が。


牙を見せる。


「…………」


止まる。


「ノア」


「何?」


「行け」


「分かってる」


「怖いのか?」


「怖くない」


魔物が。


吠えた。


「うわっ」


「怖いんじゃねえか!」


だって。


普通に。


噛まれそう。


「…………」


これ。


やっぱり。


使えないのでは?


「ガルム」


「何だ?」


「お願いがある」


「嫌な予感がするな」


「ちょっとあれ止めて」


「結局俺か」


ガルムが。


前へ出る。


盾を。


構える。


魔物が。


飛びかかった。


ガン!!


盾で。


受け止める。


「今だ!」


「分かった!」


俺は。


走る。


ガルムの。


横へ。


魔物が。


暴れている。


「動かさないで!」


「やってる!」


「もうちょっと!」


「早くしろ!」


杖を。


伸ばす。


あと。


少し。


「ノア!」


「分かってる!」


杖先が。


魔物の身体へ。


触れた。


「《パラライズ》」


魔力を。


流す。


ビクッ。


魔物の身体が。


止まった。


「…………」


「…………」


ガルムが。


盾の向こうから。


魔物を見る。


俺も。


見る。


動かない。


「効いた」


「効くのかよ」


レオが。


驚いた顔で。


近づいてくる。


「本当に麻痺してるぞ」


「だから使えるって言ったじゃん」


「お前の『使える』は信用しづらいんだよ」


失礼な。


俺は。


杖を離す。


魔物は。


まだ。


動かない。


「離しても大丈夫なんだな」


「少しは残るよ」


「どれくらい?」


「相手による」


「こいつは?」


「分からない」


「分からないのかよ」


試したこと。


ないから。


仕方ない。


「…………」


俺は。


麻痺した魔物を見る。


動かない。


「…………」


杖を見る。


魔物を見る。


杖を。


握り直す。


「ノア」


「何?」


「何する気だ?」


「…………」


「ノア」


「せっかく近くまで来たし」


「殴るな」


「一発だけ」


「駄目だ」


「麻痺してるよ?」


「関係ない!」


「今なら綺麗に入るのに」


「杖を大切に使え!!」


「…………」


仕方ない。


俺は。


杖を下ろした。


その瞬間。


魔物の耳が。


動いた。


「ノア」


「何?」


「麻痺」


「うん」


「切れてないか?」


「…………」


魔物と。


目が合った。


「…………」


「…………」


「切れた」


「離れろ!!」


俺は。


走った。


◇


魔物は。


レオたちが。


すぐに倒した。


「…………」


俺は。


少し離れたところから。


見ていた。


「使えたな」


レオが。


剣をしまう。


「使えた」


「ただ」


「うん」


「危ない」


「うん」


そこは。


俺も。


分かった。


「一人でやるのは厳しいな」


「そうだね」


「ガルムが止めてる時とかなら使えそうだ」


「うん」


「強い相手だと効く時間も短そうだしな」


「多分」


「…………」


レオが。


俺を見る。


「お前、意外と色々できるな」


「でしょ?」


「なんで嬉しそうなんだ」


「魔法使いだから」


「昨日まで殴ってただろ」


「今も殴れるよ」


「殴るな」


早い。


◇


歩きながら。


レオが。


指を折る。


「つまり」


「うん」


「味方に触れば強化」


「うん」


「敵に触れば状態異常」


「うん」


「怪我人に触れば回復」


「うん」


「暗ければライト」


「うん」


「…………」


レオが。


俺を見る。


「お前」


「何?」


「触れば大体なんとかなるんじゃないか?」


「…………」


俺は。


杖を見る。


確かに。


飛ばない。


でも。


触れば。


色々できる。


「魔法使いってそういうもの?」


「お前だけだよ」


「…………」


そうなのか。


「あと」


ミアが。


言った。


「火も出せるよね」


「出せるよ」


「水も?」


「出せる」


「…………」


ミアが。


少し笑った。


「戦闘以外でも便利そう」


「例えば?」


「それは帰ってから考えよう」


「うん」


俺は。


杖を肩に。


担ごうとして。


止めた。


「…………」


「どうした?」


レオが聞く。


「大切に使おうと思って」


「やっと分かったか」


「高かったし」


「理由が金なんだよな」



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