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アパート二階にトラックが降ってきて転生!ハズレスキル『100円ショップ』の日用品チートで建国王へ成り上がる   作者: 月神世一


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EP 9

【炎上×スパチャ】借金返済ライブと乱入者

「……なぁ。お前らの借金の元本、合わせて数百万あるわけだが。時給800円のモップがけで、いつになったら完済できると思ってるんだ?」

タローソンのバックヤード。

借金取りのオロチを撃退した安堵も束の間、太郎の現実的すぎる指摘を受け、ルチアナとカグヤは絶望の表情で崩れ落ちていた。

「計算したら……不眠不休で働いても、数年はかかりますわ……」

「嫌だぁぁっ! 私は天界のコタツでぬくぬくしながら月人君の配信を見たいのよぉっ!」

二人の女神が床を転げ回って泣き叫ぶ。

「泣いても借金は減らないぞ。だが……お前らには、神様特有の『最強の集金ツール』があるだろうが」

太郎が微糖の缶コーヒーを啜りながら、カグヤの胸元を指差した。

「……集金ツール? はっ!? まさか……」

カグヤが自分の胸ポケットから、スワロフスキーでデコられた『エンジェルスマートフォン』を取り出す。

「そう、ゴッドチューブだ。天界の神々という名の『超絶金持ちの太客リスナー』に向けて、謝罪と称したライブ配信をやれ。神のプライドを捨てて同情を引けば、スパチャ(お布施)で一気に稼げるはずだ」

太郎の、元コンビニアルバイターらしからぬ悪魔的なプロデュース提案。

「な、なるほど……! 炎上商法からの同情スパチャ狙いですわね! 流石は太郎様、悪徳プロデューサーの才能がありますわ!」

「やる! やるわ! 月人君のSSRを引くため……じゃなくて、借金を返すために!!」

かくして、タローソンの駐車場の一角に、ビールケースを並べただけの『即席ライブステージ』が設営された。

カグヤが三脚にエンジェルスマートフォンをセットし、配信開始のボタンをタップする。

配信タイトルはズバリ、

『【謝罪】借金まみれの女神二人で、コンビニバイトしながら借金返済ライブします【スパチャ大歓迎♡】』。

「は、始まりましたわ……!」

カグヤが緊張の面持ちでカメラの前に立つ。

シャネリアの高級ジャケットの上に、タローソンの青と白の縞々エプロン。その隣には、ピンクの芋ジャージの上にベストを着たルチアナが、しおらしく(計算高く)俯いている。

『天界の皆様、ならびに下界の信者の皆様……。この度は、私の見栄っ張りなブランド買いと、ルチアナちゃんの自堕落なツケのせいで、多大なるご心配をおかけいたしました……』

カグヤが涙声を作って、深々と頭を下げる。

『神としての自覚が足りませんでした……。今後は心を入れ替え、時給800円の労働で地道に借金を返していく所存です……っ』

ルチアナも「グスッ……ごめんなさい……」と嘘泣きを交える。

すると、天界で暇を持て余していた神々から、怒涛のコメントが滝のように流れ始めた。

【コメント欄】

『うぇーいww カグヤちゃんエプロン似合ってるじゃんww』

『ルチアナの芋ジャージ相変わらずダサくて草』

『最高神が時給800円でコンビニバイトwww 歴史的瞬間だろこれ』

『お前ら裏垢で悪口言い合ってるくせに、こういう時は仲良いなww』

「なっ……! だ、誰がこんなコタツニート女神と仲が良いですの! 私はただ、駐車場代をボッタクられた被害者ですわ!」

コメントにキレたカグヤが、思わず本性を現す。

「はぁ!? あんたが変な見栄張って高級ワインなんか頼むからでしょ! 私の方が弁当売りさばいて店に貢献したわよ!」

ルチアナも本気で言い返し、カメラの前で二人の最高神による『醜い胸ぐらの掴み合い』が勃発した。

しかし、このギリギリのドキュメンタリープロレスが、ゴッドチューブの視聴者たちの琴線に激しく触れたのだ。

【コメント欄】

『出た! 本性www』

『もっとやれ! 髪引っ張れ!』

『借金返済頑張れよ! ほら、恵んでやるから歌でも歌え!』

『ピロリンッ! [戦神アレス]様から 金貨50枚 のスーパーチャット!』

『ピロリンッ! [豊穣神デメテル]様から 金貨100枚 のスーパーチャット!』

画面上に、高額なスパチャのエフェクトが次々と弾け飛ぶ。

ファンタジー世界のゴッドチューブは、スパチャが投げられると、画面上の魔法陣から『物理的な金貨』がチャリンッ!と実体化して降ってくるという親切設計(集金システム)である。

ステージの足元に、バラバラと金貨が降り積もり始めた。

「……よし、食いついたな。お前ら、喧嘩はやめてアイドルっぽくデュエットしろ!」

カメラの死角から、太郎がカンペ用のスケッチブック(『歌え』と書いてある)をバンバンと叩いて指示を出す。

「くっ……! こうなったらヤケクソですわ! ルチアナちゃん、いきますわよ! 天界のヒットソング『ハロー・ゴッド・ワールド』!!」

「アンタの足引っ張らないでよ! ミュージック、スタート!」

二人は即席でフォーメーションを組み、デュエットを開始した。

腐っても最高神である。その歌声は澄み渡り、ステップは完璧。さらには魔法で光の粒子を舞い散らせるというチート演出まで飛び出し、即席のビールケースステージは、瞬く間に熱狂のライブ会場へと変貌した。

『うおおおおっ! カグヤ様美しすぎる!』

『ルチアナのジャージ姿でのキレッキレダンス、ギャップ萌え!』

『スパチャだ! スパチャの雨を降らせろォォォッ!』

チャリン! チャリンチャリンチャリーンッ!!

空中の魔法陣から、滝のような金貨が降り注ぐ。二人の女神は、金貨の雨を浴びながら「ありがとうございますぅーっ♡」と最高の営業スマイルを振りまいていた。

(……フッ。チョロいもんだ。これで借金は全額回収だな)

太郎が腕を組んで満足げに頷いた、まさにその瞬間であった。

「……ちょっと、店長!!」

タローソンの店内から、血相を変えたピンク色の芋ジャージ――リーザが、物凄い勢いで飛び出してきたのだ。

彼女の目は、完全に$マークの形に血走っていた。

「外から物凄い『お金の匂い(チャリンチャリン)』がすると思ったら……! なんですのこの黄金の雨は! ズルイですわ! 私にも、私にもそのスパチャを浴びさせなさいませェェェッ!!」

「おいバカ、配信中に乱入するな!」

太郎が止める間もなく、リーザはビールケースのステージに強引にダイブし、ルチアナとカグヤの間に強引に割り込んだ。

「邪魔よ! なに入ってきてるのよ!」

カグヤが突き飛ばそうとするが、リーザは持ち前のド根性でセンターのポジションをガッチリと死守する。

「天界の皆様ぁぁぁっ! 初めまして、下界のド底辺アイドル、リーザ・シーラン・リヴァイアサンですわーっ!! 聴いてください、私の魂の叫び! 新曲『すっぱいLove & Money 〜時給800円の向こう側〜』!!」

リーザは、神々の配信を完全にジャックし、マイクを持たずに地声で熱唱し始めた。

♪ パンの耳齧り 震える夜も〜

♪ 借金まみれの 神よりマシよ〜

♪ スパチャを寄越せと 私は叫ぶ〜

♪ 100均サンダルで 踏み越えるのさぁぁぁっ!!

そのあまりにも生々しく、そして力強い底辺の歌声は、天界の神々の鼓膜に強烈なカルチャーショックを与えた。

【コメント欄】

『な、なんだこの下界のアイドル!?』

『魂の叫びすぎるww』

『パンの耳齧ってるらしいぞこの子! 応援したくなる!』

『神々を完全に食ってるじゃねぇか! ほら、スパチャだ!!』

『ピロリンッ! [太陽神アポロン]様から 金貨200枚 のスーパーチャット!』

「や、やりましたわ……っ! ついに私にもスパチャが……!」

リーザの頭上の魔法陣から、大量の金貨が降り注ぐ。

しかし、リーザの強欲はこれで終わらなかった。

彼女は背中に背負っていた『お賽銭箱型掃除機(ユニークスキル産物)』のスイッチを、最大出力(MAX)で起動したのだ。

「皆様の愛(現金)は、一円たりとも逃しませんわーっ! 吸引モード・オーバードライブ!!」

『ズゴゴゴゴゴゴゴォォォォォッ!!!』

ダイソンも真っ青の凄まじい吸引力が、ステージ周辺に発生する。

魔法陣から降ってくる金貨はもちろん、すでに床に落ちていたカグヤやルチアナ宛の金貨までもが、竜巻のように巻き上げられ、リーザのお賽銭箱へとダイレクトに吸い込まれていく。

「ち、ちょっとぉぉぉっ!! なに私の借金返済用のスパチャまで吸い込んでますの!? 泥棒アイドル!!」

カグヤが鬼の形相でリーザに飛びかかる。

「落ちたお金は拾った人のものですわ! 弱肉強食! これが下界のルールですのよ!!」

リーザも一歩も引かず、掃除機のノズルでカグヤを牽制する。

「ああもう、私の金貨が! 私のSSRが吸い込まれるぅぅ!」

ルチアナも加わり、ステージの上は『二人の最高神と一人の底辺アイドルによる、金貨を巡る醜い大乱闘』という、前代未聞のカオス空間へと突入した。

しかし。

この神聖さの欠片もない、欲と欲のぶつかり合いこそが、エンターテインメントの最高峰であった。

【コメント欄】

『腹痛いwww 最高すぎるww』

『あの掃除機すげぇ! 俺のスパチャも吸ってみろ!!』

『もっと争え! 金の雨を降らせてやる!』

視聴者数はゴッドチューブの歴代最高記録を更新し、サーバーが悲鳴を上げるほどのスパチャの嵐が吹き荒れた。

太郎はカメラの裏で、腹を抱えて笑い転げていた。

「はーっはっは! いいぞリーザ、もっと吸い込め! カグヤ、顔面崩れてるぞ! あー、最高にバカな絵面だ!」

深夜のタローソン駐車場から発信された、狂乱の借金返済ライブ。

それは結果的に、天界の経済を少しだけ傾かせるほどの莫大な利益を生み出し、大炎上と大盛況のうちに幕を閉じたのである。

***

翌朝。

「……ふぅ。拾い集めるのも一苦労だったな」

太郎が、タローソンのバックヤードに積み上げられた『金貨の山』を見上げて息を吐いた。

「凄いですわ……。私の借金100万円どころか、軽くその十倍はありますのよ……!」

カグヤが、信じられないものを見る目で金貨の山に触れる。

「私のツケの50万なんて、ハナクソみたいな金額ね! これで月人君のガチャが天井まで回せるわーっ!」

ルチアナも歓喜の舞を踊っている。

「コホン。あの、店長。私のお賽銭箱に入った分のスパチャは……」

リーザが揉み手をしながら歩み寄る。

太郎はニヤリと笑い、金貨の山から借金とツケの分を正確に取り分けた後、残りの金貨を三等分して、三つの『給料袋』に押し込んだ。

「よし。お前ら、過酷な深夜シフトと、伝説のライブ配信、よく頑張った。……カグヤはこれでオロチに元本を返してこい。ルチアナのツケは相殺だ」

太郎は、三人に向かって、分厚い給料袋を手渡した。

「ほら、明日は『タローソンの給料日』だからな。これはお前らが身体を張って稼いだ、正真正銘の労働の対価だ。ありがたく受け取れ」

手渡された給料袋の重み。

それは、信者の貢物を質屋で換金した時の冷たい重さでもなく、惰性でクレカを切った時の虚しさでもない。

汗と涙と、そしてバカ騒ぎの果てに手に入れた、『確かな労働の結晶』であった。

「た、太郎様……っ」

カグヤの瞳から、大粒の涙が溢れ出した。

いよいよ次話、狂乱の時給労働編の完結。

懲りない神々と、騒がしくも温かい日常の結末が待っている。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

「リーザの乱入で腹筋崩壊したww」「スパチャを掃除機で吸い込むなwww」「太郎の悪徳プロデューサーっぷり最高!」と少しでも楽しんでいただけましたら、

ページ下部にある【ブックマークに追加】と、

【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価していただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします!(作者が泣いて喜びます!)

次回、いよいよ最終話、第60話『【懲りない神々】初任給と、新たなツケの始まり』!

苦労して手に入れた初任給。感動の結末……と思いきや、駄女神たちが大人しく反省するわけがなかった!?

引き続き、太郎国のドタバタ日常コメディを最後までお楽しみください!

応援よろしくお願いいたします!

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