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33.負の遺産

本日(9/3)18回目の更新

宜しくお願い致します。


「それじゃあ、始めるよ」


 目の前には二体のレイスが浮遊しているが、どちらも魔法はおろか攻撃すらしてこない。

 どうやら少女__ロメリアに対して危害を加えようとするか、害意を持つこと自体がトリガーとなって行動する様だ。


「あの、わたしはどうすれば良いでしょうか」


「そうだね、ロメリアはそのままスキルを維持したままでいいよ。解除したとき君の家族がどうなるのか予想がつかないからね」


 先程ロメリアの名前を尋ねるときに、彼女のスキルについて確認を取った。


 彼女の力は繋げる力。

 その力は物質同士だけでなく、霊体にも作用する。

 戦いに限らず、このスキルは非常に有用だ。


 このスキル、どうやら地下で遭遇したファントムがその場から離れられない特性を有している様に、霊体を指定した物体の周囲に繋いでおくことが出来るらしい。


 惜しいのは物体の外部に霊体を繋いでいる点だ。もし物体の内側に魂を込めることが可能なら、私の《封緘》で霊体も捕獲できた。

 ハイテ村での一件で《封緘》のキューブ内で魂を浄化したように、今回も浄化後の魂と話す時間が作れたかもしれない。


 ロメリアを《封緘》でキューブ内に入れるのも無しだ。

 バルガの件もあったが、二つ以上の魂は同時に《封緘》で回収できない。それは自分の肉体でも同様だ。

 前世では緊急回避用に自身を《封緘》で回収して窮地をしのぐこともあった。


 話が逸れた。

 最後に別れの言葉を伝えられないのは不憫だが仕方がない。


 《浄化》を使用して、両親の霊体を浄化していく。

 

 両親はレイスとなってしまったようだが、《浄化》の進み具合からして一分ほどで浄化できるだろう。


 一分。これから家族を見送る少女には短すぎる時間。

 徐々に霊体は淡い金色の粒子となって天井の遥か上を目掛けて流れていく。


 ロメリアの家族も、私とカラメルも誰一人声を発さず、ロメリアも声を上げずに泣いている。


 やがて霊体は空に溶けたが、浄化が済んだ二人の顔が一瞬元の面影を取り戻す。

 その顔は悲しみに暮れたものではなく、これから頑張って生きていく娘を応援するような、そんな優しい笑顔だった。


 完全に光の粒子が消え去り残ったのは静寂だけ。


 膝をつき泣き出してしまったロメリアには声を掛けずそっとしておく。両親が死んでから長い緊張状態が続いており、碌に寝ていないと言っていたし、泣き疲れたら意識が落ちるはずだ。


 それよりカラメルに地下の捜索結果を伝えておきたい。

 カラメルを呼び、ロメリアから少し離れて話し始める。


「地下を調べてみたけど救出対象はいなかった。食糧庫の足跡が気になったけど、それはあの子のものだったみたいだし安心かな。殆どの部屋が病室だったよ」


「病室か、それはまたゴーストが凄そうだね。しかし事前情報の通りゴーストが多い、これはちょっと異常じゃないか? これも例のアンデットとやらと関係あるのか?」


「いや、ここは元(・)々(・)そういう場所みたいだったよ。地下の隠し階段を下りたらやけに厳重な部屋があってね、原因らしき装置が置いてあった」


「装置? 魔道具か? 死者を集めるようなものだったら破壊しないとだが……」


「いや装置自体はとっくに壊れていたよ。ちょっと怨念や負の念がこびり付いてゴーストに対する誘蛾灯のような役割になっていたようでね、ファントムまでいたし浄化が大変だったよ」


「……ファントムまで発生していたのか」


「ここは昔出現した龍魔王と戦うために建設されたらしいんだが、その際に用いていた装置の様だ。取り扱いに関する説明書きがあったが、碌なものじゃなかったよ。端的に言うと動けなくなった怪我人を分解して魔力として利用する装置だった」


「世界の存亡をかけた戦いとはいえ、仕方がないと片付けたくはないな。怪我人と言えど普通に生きていたんだろ? 犯罪者でもない者をそのように消費するのはな……」


「一応、対象はアンデットになることが確定している者達だったらしい。この辺りに現れたのは”死獄龍”だったらしいから、死者は軒並みアンデットと化していく上に、傷をつけられれば時間経過でアンデット化。許せない気持ちもあるが、当時を知らない私は正直何とも言えないね」


「……そうだな。今私達が__」


 会話の最中、恐らく要塞の外から突然膨大な魔力を感じ取った。

 カラメルも同時に気づいた様で、二人でロメリアを庇うように前に出る


 次の瞬間、要塞が倒壊し私達の視界は闇に染まった。



マルチタスクが難しい。動画見ながら作業ができない。

読んでいただきありがとうございました。

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