24.リーロの朝食、私のお召し物
本日(9/3)9回目更新
宜しくお願い致します。
日が昇り街の方から活気のある声が聞こえてくる中、龍骨の森から戻った私は再び門番と話をしていた。
「……まさかずっとここにいたのか?」
「……そのまさか、もし君が戻ってきたらと考えたらね……仕方ないよね」
「えぇ……」
今まで生きてきて、ここまで心配されたことは無かったため若干困惑する。
心配するにしても別の門番に話を通しておくなりできただろうに。
「まぁ気にしないでよ、どうせ寝れなかっただろうし。それに溜まってた仕事も片付いたしね」
門番はそう言うが、夜な夜な街を出る私が原因であることは明白だ。
仕方がない、少し労ってやろう。
「そうだ、門番君はもう朝食は食べたかな」
「いや、まだだよ。ちなみに俺はリーロだよ。よろしくねブラちゃん」
……ブラちゃん!? なんだ? 私のことなのか!?
分からん。よく考えない方がいいのかも知れない。
早く用事を済ませてしまおう。
「これ、あげるよ。森で採取してきた果物だ。冷やしてあるから美味しいと思う。……それじゃあね」
渡すや否や私は足早に門を後にした。
背後から奇妙な声が響いてきた気がするが、構わず傭兵ギルドへ向かう。
傭兵ギルドに到着するが、既に仕事に出ているためか傭兵の姿はあまりない。
下級の依頼は討伐依頼を除いてわざわざ張り出されないので、直接カウンターに報告しに行く。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。本日はご依頼ですか?」
カウンターにアンナは不在だったようで、初対面のギルド職員が対応してくれる。
年は十五、六といったところか。眩しい笑顔と赤いクセ毛がとてもマッチしていて可愛らしい印象を受ける。
「いや、採取依頼の対象をいくつか集めてきたから、まとめて清算と依頼の達成処理をお願いしたい」
「わ……かりました、では採取物をお預かりします」
私が傭兵であることに若干驚いた様子だったが、業務を止めることなく対応してくれた。
だがカウンターの上に依頼十件分の採取物を積んでいくと彼女の顔色が変わる。
「これはまた大量ですね、しかも……《収納》持ちですか。採取物はざっとみて十種類はありますが、中級への昇級をお考えですか?」
「まだ旅の途中でね、できるだけ早い昇級を考えているよ」
「そうですか……先に教えちゃいますけど、中級への昇級試験はオーク、メタルロックタートル、アークコボルトのいずれかの討伐になります。まずは下級の討伐依頼で腕を上げて、パーティーを組んだ方が良いかもしれません。強制はしませんが、生存率は上がると思うので」
「あ、オークなら昨日倒したから持っているよ」
「うそでしょ!? ……あ、取り乱してごめんなさい。でも、本当に? もしかしてオーク丸々一体《収納》されているんですか?」
「オーク以外にも狩った魔物の死体は回収しているから、その報告と買取もお願いしたい」
「分かりました。ではまず採取物を全て確認させてください。カウンターの左奥にある通路を進むと解体場があるので、適当な場所でお待ちください。直ぐに職員を向かわせますので」
職員さんにお礼を言い、言われるがまま解体場へと足を運ぶ。
てっきりカウンターの裏側へ通じるこの通路は職員専用だと思っていた。
解体場に入り、数人の職員とみられる男たちが魔物の解体を行っているのを眺めつつ、壁際に置かれていた木箱の上に腰かける。
時折職員の方が此方をチラチラと伺っているが、ここで待てと
言われているため動けない。どうしたものかと考えていると、私が来た通路とは別の出入り口からアンナが姿を現し、私を視界に入れると話しかけるために小走りでやって来た。
「待たせたね、ブラックドッグ。何やら一日で結構な成果を上げたそうじゃないか」
「夜通し森を歩き回っていたからね。成果も積もるさ」
「森……まさか夜通し龍骨の森をうろついていたのかい? それで無事だったなら、あんたへの評価を上げておかなきゃいけないね。腕に自信のあるやつでも、万が一があるから夜に探索を行うやつは滅多にいない」
それはそうだろう。寝ずに探索し続けたりしたら翌日の行動に影響が出る上、視界の確保に気を取られ奇襲を受けることもある。
夜行性の魔物を狩るだとか、夜にしか採取できないものを狙っている傭兵でもない限り夜に探索する奴はいないだろう。
「私も報告が終わったら少し休むよ。とりあえず床に魔物の死体を広げてしまっていいのかな?」
「ああ、問題ないよ。ここはそういう場所だからね。それよりも自分の服の心配をした方がいいよ、鎧とかならまだしもその綺麗なお召し物は汚れたら困るだろう」
「それこそ問題ないさ。多少破れようが汚れようが、魔力さえあれば自動で修繕される仕組みが施されているからね」
「……」
アンナが少々羨ましそうな視線を服に向けるが、この服は一点物なので勘弁してほしい。
この服は地味に便利で、においなども一切繊維に絡まず、常に清潔を保ってくれる。
前世でも現在でも入手経路は無く、作成した研究者も行方が知れない。私が目覚めた研究所で拾った手帳にも、効果だけで作成手順などは書かれていなかった。
アンナからの視線を移すべく、私は回収した魔物の死体を床に並べていくのだった。
予約投稿が便利。Twitter告知忘れるけど。普通の投稿でも忘れるけれども。
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