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13. 後始末と右腕

誤字脱字、誤用などありましたら申し訳ありません。

宜しくお願い致します。


 バルガを倒して一件落着、とはいかず。やるべきことはまだ山済みだ。


 だが当面の危機は去り、村人たちも全員守りきれた。

 安堵の息が漏れ、徐々に自身の体について考える余裕が生まれる。


 右腕は肘上五センチから先が吹き飛んでいるが出血は無く、痛みは殆ど無い。


 アンデットに痛覚など無いはずなのだが、私の存在も中々のイレギュラーなのか僅かながら腕に痛みが感じられる。


 そんなことを考えていると、クロウ少年が此方へ駆け寄ってくる。


「ブラックドッグさん! う、腕! 大丈夫なんですか!?」


「ああ、何とか。既に腕の出血は止めているよ。一応回復魔法は使えるから、そんなに心配しないでくれ」


「本当に大丈夫なんですか? 信じますよ?」


「大丈夫、大丈夫。それで早速で申し訳ないのですが、皆さん村へ向かってくれませんか? 大丈夫だとは思いますが、先程の戦闘の衝撃で被害が出てないか確認と、村の皆さんに事情の説明をお願いします」


「それはもちろんだが、……ブラックドッグ君はどうするんだ?」


「私はこのままアンデット達の後処理をします。特にバルガの肉体はしっかり浄化処理しなければ何が起こるか分からないので。それとクロウ少年、作業が終わり次第、野盗達のアジトを調査するから君も来なさい。多分夜が明けてからの作業になるから、今は村へ戻って休むように」


「……眠れる気がしないので、俺も残っていいですか。俺は戦っていないので体力は残っています」


 立て続けに色々なことが起きていた中での先程の戦闘だ。体が疲れていなくとも緊張状態が続いて精神的に疲労は蓄積しているかもしれない。


 私はクロウ少年に念のためだと説得し、村へ戻らせた。


 周囲に誰もいなくなったのを確認して自身に《回復魔法》を使用する。


 まだ魔力は殆ど戻っていないが治るのなら何かしらの兆しが見えるはずだ。


 だが《回復魔法》を使用しても私の右腕は何の反応も示さなかった。


「やはりか……困ったな」


 前世でもアンデットに回復魔法を掛けた場合の実験を行った者がいたが、アンデットに回復魔法を掛けても意味がないという結論に至っていた。


 ……そういえば目覚めた地下施設で拾った手記、その中にアンデットの回復手段について書かれていた気がする。


 キューブから手記を取り出しアンデットの回復手段を確認する。


 やはり《回復魔法》とアンデットの相性は悪く、下手をすると治るどころか怪我や破損が拡大する恐れがあるそうだ。


 だが回復の方法が存在しないわけでは無かった。


 この世界のアンデットは回復魔法は使用しないが、魔力を使用して身体の破損個所等を修復する個体も確認されているようだ。


 物は試し。

 私は早速魔力による身体修復を試みるが、全く修復の感覚が掴めない。


 おかしい。手帳に書いてある、魔力による身体の修復を行えるアンデット達は、切り傷程度なら一瞬で治ると記載されているのだが……


 試しに左腕に、地下施設から拝借した手術用のメスを使って小さな傷をつける。


 今度は小さな切り傷に、魔力で修復を掛けていく。


 すると切り傷は両端から徐々に、微かに治っていく。


 ……どうやらこの体、死んでいるものの何かしらの理由で、アンデットの性質を十全に発揮できていないようだ。


 そうでないなら私によほど修復の才能がないに違いない。


 魔力に余裕があるときに、過剰に魔力を使用すれば修復速度も上がるかもしれないので、気長に試していこう。


 右腕の回復は後回しにするとして、まずはアンデット達の躯の浄化である。


 優先するべきはバルガの遺体の浄化だが魔力が回復していないため、先にアンデット達の躯を回収していく作業を行っていく。


 《封緘》が魔力を消費しない仕様で本当に良かった。もし消費するなら回収にどれほどかかるか分からない。


 目の前にはアンデット達が混入した氷山一つ。

 私は氷魔法で生成した氷に触れ、消えるよう念じる。すると目の前の氷山は、アンデット達の躯を残しきれいさっぱり消失した。


 《氷の殻》を意識的に消すことができたため、氷山も消せると考えたのだが、できてよかった。


 このまままとめて回収してしまいたいが、《封緘》の条件がネックとなり難しい。


 右腕があればまだましなのだが、無いものをねだっても仕方がない。


 私はひたすら草原を歩き回り、アンデット達の躯を回収していった。



*



 アンデットの回収作業が終わる。


 時間的には深夜を回ったころだろうか。


 ここでの作業はあと一つ、バルガの遺体の浄化のみ。


 流石に前世でもこれほどのイレギュラーな個体の浄化は行ったことが無い。


 浄化を掛け始めるが、進みは遅い。


 幸い魔力に余裕ができたので浄化自体は何とかなるが、かかる時間ばかりはどうしようもない。

 変に魔力を込めすぎてまた魔力切れにでもなったら大変なので自重しておくことにした。


 それにしてもこの世界は前世よりもアンデットが多いのだろうか。それとも死者の数がそもそも多いのか。


 まだこの世界に来て二日目なので分からないが、気になるのでおいおい調べていくことにしよう。


 バルガの遺体の浄化が完全に済んだのは、空が白んでくる頃だった。




ここまでお読みいただき、有難うございました。

感想、評価、ブックマーク等していただけたら幸いです。

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