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借金で売られたけどSR旦那引きました。ただしヤンデレ。  作者: からん


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8/12

アリサぁああああ(嫉妬)


「いいだろう、作るぞ。パーティ用の正装を」


「少しは悩んでください、ボス」


アリサの報告を聞いて即答したエドワードに、呆れたようにナタンが言った。セノが呑気に笑っているのも腹立たしい。


「馬鹿言うな、ステラ可愛さに頷いたわけじゃない」


「そうは思えませんがね、一応聞きますよ」


「派手な裏地、小物へのアクセントは実際受けると思う。前時代的なフリルや半ズボン、タイツと言ったパーツ的な部分がなければ嫌味ではないという僕の判断だ。それにまず男から、という流れもいい。男性の服装的規律が緩めば合わせて女性の服装も一気に変わる」


そうつらつらと説明されると思わず成程、と頷いてしまう。そういうのが得意な男なのである。セノは素直に手配するっすねー!と言っていて、ナタンも頷いた。これで流行のきっかけが出来ればミリオン商会は上流階級に対してイニシアティブが取れる。


「奥様への報告は私からしますか?」


「・・・頼む」


「承知いたしました。パーティーを主催する気は?奥様は楽しみにされているようですが」


「ぐ、ぐぬぬ」


ソファの上でもんどりうって歯噛みした。苦渋の決断を迫られているように見えるが、ミリオン商会のレベルでパーティーをしないのも珍しい話なのだ。しかもおそらく悩んでいるのもパーティーを仕切るのは基本的に女主人、つまりステラが表立つことになるからだろう。


ナタンの推測だとダンスパーティーが嫌なのだろう。娘がいなければ女主人が客の相手をすることが多い。それをエドワードが許すはずはない。だがダンスがないと参加者は減るだろう。


「・・・どっかの新興成金貴族は誰でも参加していい晩餐会を主催してたな?」


「まぁ、俺たちとしては正しいパーティーな気がします」


「治安悪くなるっすけどね!」


「うんん・・・着飾るステラは見たい、見せたくない、変な男に目移りされたら相手を殺す自信がある・・・あぁあ~」


可愛らしい悩みかのように口から転がり出ているが内容は物騒極まりない。この男は本当に実行するだけの力があるから厄介なのである。ステラの前では決して見せないだらしない恰好でソファに横になり、呻いた。


ナタンは頭の中で簡単に屋敷でパーティーを主催した際の経費を計算して暇をつぶした。セノは棚をごそごそとして、去年の社交期に送られてきた招待状の束を出してきた。半分以上参加もしなかった招待状だ。


当時エドワードは独身であったために参加すれば女たちが群れになって狙ってきて、商談どころではなかったと愚痴をこぼしていた。そう言いつつも逃げ込むように女性禁制の夕食室へ飛び込みしっかり取引を成立させていたのだから流石といえる。


「主催するかは置いといて、参加はすることにはなるっすよね」


セノがバサッと広げた招待状、参加したやつがこっちで参加しなかったやつこっちっす、と雑に腕で境界を引いて分けた。エドワードはそれをじとっと見つめて、ため息とともに身体を起こした。


そしてひどく緩慢にぺいっぺいっと招待状を何かしらで選別する。

ナタンはより分けられた招待状を受け取って、家名を見た。取引先と、知らない家名がいくつか。指示を待って視線をやれば、エドワードは心底嫌そうに行くやつ、と言った。


「もしも今年も招待状が来れば、行く価値があるパーティーだ。そして、もしも僕から招待状を出すとしたら彼らは必要だ」


ゲストリストに載せておいてくれ、と言うのでナタンはさっそく作業に取り掛かった。当然アリサも知っておく必要があるので共有のため一緒に作業をすれば、エドワードは不満そうに脚を組んだ。


「ステラの報告は終わりか」


「私の淹れるストロベリーティーはとても美味しいので是非パーティーで振舞うべきだとお褒めいただきました」


「・・・他」


「ゴンザレスは甘い物が好きなようだし、私も久々にお菓子を作りたいわ、作ったらアリサも食べてくれる?と言われました」


「僕の分は!」


「奥様次第ですので・・・」


「これだから女の友情は!」


エドワードは頭を抱えてソファに突っ伏した。アリサは平然とした態度でストロベリーティーを淹れましょうか、と聞いていた。エドワードは形容しがたい表情で頷いていたが、この部屋には馴染の人間しかいないので誰も気にしない。


アリサのストロベリーティーを全員で飲み、口々に意見を言う。


「美味いが・・・」


「これは見目がわるいとかではじかれた苺だったな」


「はい、箱ごと大量にありますので腐る前に消費をしなければ」


「いいじゃん、お茶!贅沢って感じするっすよ」


エドワードが試作品であったり商品の前段階だったりするものを屋敷に持ち帰ることがままある。それが食べ物の場合シェフとメイドたちで扱うことが多く、あらゆるアレンジをして再びエドワードの許へ帰って来ることがある。今回もそれにあたるだろう。


「潰してパウンドケーキとジャムにするという案は」


「奥様に試食してもらってアドバイスをいただこうかと」


アリサの返答にエドワードは純粋に何故?と言った顔をした。

大体いつもシェフが一人で頭を抱えるばかりだったはずだ。

ステラを巻き込むことに若干の苛立ちが湧いて眉間に皺がよる。


「奥様は私たちを同じ、金策をするのが得意でございますよ」


ご両親の借金のせいでしょうけど。そうアリサは付け加えた。

元貴族と言っても借金まみれでステラ自身あちこちに仕事を求めて走り回っていた口だ。

私たちとそう変わらない、とはアリサが実際にステラと会話をして導き出した答えだ。


もちろん幼少期の境遇は大きく違うだろうが、大事に宝石箱へしまっておく類のお人形ではないという認識だ。


「・・・そんなこと、わかってる」


エドワードは苦々しくそう吐き捨てた。

わかっていても、ステラという存在を無防備に放置できない。逃げ出さないように囲って安心したい。完璧な箱庭で自分と二人だけで笑いあっていて欲しいと願っている。


「アリサ、お前はもう少しドライな女だと思ってたぞ」


「ご安心を、奥様はもう私を置いて屋敷から逃げることはありません」


「よくやった、でも僕より仲良くはなるな」


「申し訳ございませんが既に遅いです。旦那様こそさっさと仲を深めてください」


エドワードからは負け惜しみのようなうめき声が漏れた。



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