第77話 昼はいつものメンバーで
本日二話目の投稿です
「お兄様……」
「なんだよ」
レイは呆れたようにハルを見つめ、ハルは不機嫌そうに妹を見る。
結局ティアナに殴られたハルの頬には赤い紅葉がついており、言い負かされたティアナは不貞腐れたように頬を膨らませる。
「本当に、仲がよろしいようで……」
「そう思うわよね」
「「だからどこが!?」」
溜め息を吐くレイにテレサは同意し、ハルとティアナは食って掛かる。
いつものテラス席――もはや指定席のような扱いの為、少し遅れてきても空いている――に、レイは一足早くたどり着き、他のメンバーが来るのを待っていた。
「先に来ていたなら、そりゃ見つからないわよ」
姿勢よく、注文もせずに待っていたレイを見て、ティアナは肩を落とす。
テラス席に来るまで、レイを探すため学園内を見て回った3人は少し疲れが見える笑顔を浮かべる。
「ご苦労なこったな」
レイの正面に座るアルフは、そんな様子の3人を見て口角を上げ嗤う。
レイの次に来たのであろうアルフに、ハルはピクリ、と眉を動かす。
「テメェを誘う予定はねぇんだよ」
「来ちまったんだからいいだろ」
喧嘩腰のハルを笑って受け流すアルフの姿に、5人の中で最年長であることを再認識する。
敵わないと分かり切っている勝負に、ハルは更に機嫌を斜めにし、席に着いた。
「なんで俺も……」
「いいじゃないですか、先生」
3人が職員室に訪れた時、運悪く遭遇してしまったドレットは、テレサに引っ張られながら食堂まで来ていた。
面倒そうに座るドレットに、テレサは嬉しそうな笑みで話しかける。
「賑やかだなぁ、ガキ共!」
「ステイ」
食事をしようと動きださない放課後メンバーに、わざわざ注文を取りに来たブレアは、ティアナによってその場に座らせられる。
「俺の扱い酷すぎません!?」
すぐに立ち上がったブレアは、自分への対応についてティアナに抗議するが、聞く耳を持たない彼女に大きく項垂れる。
「仕事をしろ」
「いってぇ!!」
ドレットから追い打ちをかけられたブレアは、泣きべそをかきながら注文を取る。
「なんだよ……。お嬢さんは結局下着くれないし……」
「ステイ!!」
「自爆しろ!!」
ブレアの発言に、ティアナは再び絶対命令権を行使する。
一方ハルは、自分の言葉が原因にも関わらず、手元にあったフォークをブレアに投げつける。
「きゃうん!」
投げられたフォークは躱すものの、ブレアは強制的に座らせられ、結局フォークも刺さる。
「俺だけひでぇよ……」
「そう言うな。自業自得だ」
突然ブレアの後ろに現れたグラナートは、逃げられる前に魔術を発動した
まず蔦でブレアを拘束し空へと高く頬り投げ、指を鳴らした。
「ぎゃああぁあ!!」
ブレアの悲鳴と共に、その身体は炎に焼かれ始める。
目の前の出来事に、席に座っている6人は口を開けたまま停止する。
「なんだ? お前が言ったんだろ?」
燃えたのは服だけだ、と説明しながら、グラナートはブレアの落とした注文票を拾い上げる。
「これを持っていけばいいのか?」
「え、えぇ……」
淡々と事を進めるグラナートに、レイは引き気味で答える。
首を傾げる彼に、ティアナもまた首を傾げた。
「貴方、誰からコピーしたの?」
見たことの無い魔術に、疑問を口に出すティアナを見て、グラナートは表情を変えずに答えた。
「学園中の整備をして回っている時に、授業の一環で使っていたのが間違って俺の方へ飛んできてな」
整備員として雇われている彼は、学園を自由に闊歩できる権利があり、生徒から魔術をコピーすることも容易いものであった。
「ゆっくりするといい」
そう言い残し、食堂の方へ去るグラナートを見て、生徒5人は声をそろえて呟く。
「相変わらず」
「「「読めない……」」」




