第78話 午後
本日三話目の投稿です
ブレア爆発事件もあり、普段の空気を取り戻しつつあるハルとレイ。
そんな2人に安堵するティアナとテレサは顔を見合わせ笑う。
昼休みが終わり、6人はそれぞれ午後の授業へと移動を始めた。
「次はドレット先生の授業よね」
「えぇ。楽しみね」
「レイは?」
「私は、魔術実践授業です」
ティアナはテレサに確認を取り、ハルはレイへ尋ねる。
ハルに向け微笑むレイに、表情を変えることの無いハルは釘を刺した。
「怪我すんなよ」
「はい」
1つ、お辞儀をした後、レイは足早に教室へと向かう。
その後ろ姿は、どこか危うげなものがあり、ハルは姿が見えなくなるまでレイを見つめていた。
「お前はサボるなよー」
「いいじゃねぇか」
ドレットは不良生徒に注意するも、アルフは軽く流し、レイとは逆方向に歩き出す。
溜め息を吐くドレットを中心にハル達3人も教室へ向かった。
「レイ、大丈夫かしら」
「やっぱり、そう見えるよね……」
強がっている雰囲気がどうしても拭えていないレイを話題に、ティアナとテレサは目配せするように話し出す。
「普段通りに、って振る舞ってはいるけど……」
「無理してるわよね」
教室につき、自分の席座ったティアナとテレサは、レイの話題を止めることなく話し続ける。
ふと、ティアナはハルに視線を送った。
「レイ、大丈夫かしら」
ハルは、自分の席に着いた途端、午前中と同じように全ての表情を消していた。
テレサの零した言葉を受け流しながら、ティアナはハルの表情に、徐に立ち上がる。
「ごめん、テレサ」
「え?」
突然、ティアナはテレサへ詫びを入れ、親友の元を離れた。
テレサが見送る中、ティアナは、窓の外を見つめるハルの隣に座り直す。
「……」
自分が隣に座った事に気付いた様子のないハルに、ティアナは眉間に皺を寄せる。
(いつもだったら、私が近づいただけで警戒するはずなのに。レイに気を取られてたけど、ハルの方も深刻ね)
授業開始を告げる鐘の音と同時に、ドレットが教室へと入ってくる。
普段目の前にいるはずのティアナがいないことに気付いたドレットは、テレサに視線を送る。
テレサの指さす方へ視線を向けたドレットは、ハルの隣に座る彼女を見つけた。
「あー……」
自分から移動したのであろうティアナに、ドレットは何事もないかのように授業を開始する。
ドレットの気遣いに気付くこともなく、ティアナはハルへと声をかけた。
「ハル」
しかし、名前を呼んでもハルは全く反応を示さない。
ティアナは制服を引っ張り、強引にハルを振り向かせた。
「ハル」
ようやく自分を見たハルの眼は、どこか虚ろで、普段の輝きが損なわれていた。
ティアナはその瞳に哀しげ表情を浮かべ、再度呼びかける。
「ハル」
「なんでいるんだ?」
驚いた様子もなく、自分を毛嫌うこともないハルに、ティアナは口を閉ざしそうになるが、ハルへの言葉を紡ぎ続けた。
「あんたも平気じゃないんでしょう?」




