3話
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教室にまだ誰も登校していない朝の大学の教室に、さっさっと床がこすれる音が響いている。
その少女はほうきを手にし、教室のほこりやごみを集めていく。
(うんうん、綺麗になってるね)
思わず、微笑む。得意である家事の能力がまさか学校でこう活かされるとは想像しなかった。
自分にアドバイスをくれた者に、感謝を向けた。
(優心、ありがとう)
瞬間、教室の扉が開いた。担任教師の上平先生だ。
「あら、三野さん。掃除してくれていたのね、ありがとう。ご苦労様」
「おはようございます。いえいえ」
「ねぇ、三野さん」
「はい?」
「あなた、最近いい事あったでしょ」
「えっ、どうしてわかるんですか?」
「その嬉しそうな顔よ。本当にいい顔している。今までみたきたどの顔よりね」
その言葉に、優愛は更に自信を貰った。
「ありがとうございます」
「本当の事を言っただけよ。何かあったら、いつでも先生に話してね、何でも聞くから」
「はい!ありがとうございます!」
今朝、最初にした事が優心に言われた今の自分に無理なくできる事をするということで、教室の掃除を
始めた。それがまさか初日でこんな結果が出るとは思わなかった。
ただ掃除を感謝されだだけだが、優愛本人とっては、とてもうれしいありがたい言葉だった。
――昼休み、優愛は中庭の掃き掃除をしていた。
落ち葉がたくさん落ちていて、集め甲斐がある。
一定のペースを保ちながら、ほうきを動かす。
「あらぁ、掃除してくれているの?ありがとうね」
肥を掛けたのは用務員の津田であった。
普段から柔らかな物腰で人気のある女性だ。
「いえいえ!こちらこそいつもありがとうございます!」
「あなた、優愛ちゃんで合ってるよね?」
「はい、私の名前覚えていくれていたんですね」
「もちろん。可愛らしい顔しているから印象に残ってるよ」
「か、可愛らしい?私が?」
「ええ」
(ここにもいたんだ。私も認めてくれる人が)
「中庭の掃き掃除してくれたお礼に茶菓子用意するから、ついてきて」
「あっ、はい」
案内された客室のテーブルの上に、香りのいいコーヒーと一つのショートケーキが置かれた。
「本当に頂いていいんですか?」
「いいよ、だってせっかく中庭を綺麗にしてくれたんだから」
「ありがとうございます。いただきます」
「ねぇ、優愛ちゃん食べながらでいいから聞いてほしいんだけど、私はね、ずっとあなたと話しを
してみたいって思っていたの」
「私とですか?」
「うん。上手く言い表すのが難しいけど、最初優愛ちゃん見た時、なんて可愛い顔しているんだろうと
思ったし、何より個性を出せているのが凄いなって思った。地雷系の服ね」
「津田さんは、変に思わなかったですか?私の服」
「とんでもない。あなたに似合っていると思っていたよ」
(優心、ここにもいたよ。私を認めてくれた人が)
「けど、今の優愛ちゃんは以前より自分を出せている気がする。誰か影響を受けた人とかいるの?」
津田の勘の良さに優愛は尊敬の意を持った。
こんな短時間で相手を見通す程するどい事に。
「すごい、わかっちゃうんですね」
「優愛ちゃんって、あくまで私なりの表現だけど、変化があると自然とその雰囲気が出る子なんだと
思う。自分では出しているつもりはなくても、優愛ちゃんの特殊な雰囲気が優愛ちゃんの素敵な所を
周りに伝えているんだと思う」
「つ、津田さん」
「他の人たちにもどんどん分かってもらいたいけどねぇ、こんなかわいくていい子なんだから」
涙が出そうになるのを必死にこらえる。幸い津田は泣きそうな事に気付いていない。
「今日優愛ちゃんと話せてうれしかった。今日は本当にいい日になったし、ありがとう。
これからもよそしくね」
「はい!!こちらこそ!!」
ありがとうございました!!
引き続きよろしくお願い致します!!




