第三十一話 裏切りの連鎖
負傷したハインツの手当てを済ませ、戦いの現場から少しだけ離れたところで俺達は野営をすることを決めた。思わぬ戦闘に時間をとられ予定していた宿場町まで辿り着くのは無理と判断したからだ。
天幕を張り、獣除けの火をおこし簡単な食事を済ませた俺達は今後の方針を話し合った。ハインツの怪我は、命には別状ないものの放置できるほど軽くもなく、また次に戦いになった時には戦力としては数えられないだろうと俺は判断を下した。そのため、朝になれば彼には隊を離脱してもらい王宮に戻って陛下へエメセシル様が襲われたことを報告してもらう予定だ。
「……今回の事で、敵の狙いが陛下、エメセシル様の両方だってことがはっきりしたな」
「ああ……敵の狙いは王位だとみて間違いないだろう」
俺は火を囲みながら、マクシミリアンと今後の作戦を練っていた。ルーシアには昼間の戦闘にショックを受けているエメセシル様とエレナ嬢のケアと世話のために、姫様の天幕に行ってもらっている。ハインツは大事を取らせ早々に休ませていた。
「にしても、エメセシル様がノルズ城砦に向かっていることは一部の人間しか知らないはずなのに、敵はどうして俺達を正確に狙って来れたんだ……?!」
俺は襲撃者らが現れた時から抱いていた疑問をぶちまけた。そうだ、表向きはエメセシル様は保養のためウェスティンに行ったことになっており、実際に姫様が乗ってるようにカモフラージュした別の馬車と近衛騎士隊のメンバーを向かわせているのだ。なのに、敵は正確に俺達の場所を突き止めた。
「陛下の周りか、近衛騎士隊のメンバーに密偵がいるということだろうな……」
「そんな……!仲間を疑えってのか?!」
俺の言葉にマクシミリアンが苦しそうに顔を歪めた。
「……そうでもなければ、この状況は説明出来ないだろう……!」
「一体、何がこの国で起こっているんだよ……!誰が、陛下や姫様を狙っているんだ……!!」
「……。とにかく、警戒を怠らないようにしよう。俺が先に寝ずの番をするから、エリック、お前は先に休め」
未だ姿の見えない得体の知れない敵に、俺の焦燥は募るばかりだ。思わず叫んだ俺の苛立ちを宥めるように、マクシミリアンはハインツが休んでいる俺達用の天幕を指で指し示した。そうだ、分からないものをいつまでも考えていても埒が明かない。今出来ることは明日に備えて、少しでも体を休めることだ。
―――天幕の中で横になっても、戦いの興奮が抜けきっていないためか、高ぶる気を鎮めることが出来ず俺は浅い眠りを繰り返していた。……ルーシアだろうか?一度俺達の様子を見に来た人間の気配がして、俺は完全に目を覚ましてしまう。横には、傷が痛むのか苦痛に顔を歪めながら寝ているハインツの姿があった。俺はため息を吐いて、どうせ寝られないのならマクシミリアンと番を変わろうと天幕の外に出た。
―――ホウ、ホウという上空から奇妙な鳥の鳴き声がして俺は思わず天を仰いだ。夜の闇に紛れるように、一羽の梟が空を舞っていた。梟からひらりと数枚の羽根が落ちて来る。その梟は、まるで飛び立ったばかりかのように地上に近い位置から、一気に高度を上げ王都の方角へと飛んで行く。あの、特徴的な筒を足にくくりつけた梟は―――伝書梟?!
嫌な予感がして、胸騒ぎが抑えられなかった。俺は無意識に梟が飛び立ったであろう位置まで足を向けていた。
「ゆ…‥許して下さい……!私は元々バレン公爵家の者で、公爵にずっと命令されて……!」
天幕から少し離れたところに泊めた馬車の近くにある木々の陰から、慌てたような女の声がして俺は歩調を速めた。
俺が駆け付けると、ルーシアがエメセシル様の侍女エレナの手を後ろ手にねじり上げ、拘束していた。ルーシアに縛り上げられたエレナは体をくの時に曲げ、悲鳴を上げ泣きじゃくっていた。
エレナは今、バレン公爵、と言ったか……?!俺は今聞いたことを疑いながら、二人に駆け寄って行った。
「ルーシア!」
「エリック!……エレナがこの密書を、梟から受け取っていたの。彼女は梟使いだったのよ!!ずっと梟を使って敵に私達の動きを教えていたんだわ!!」
「……何だって?!」
俺が駆け寄ると、ルーシアはエレナを拘束していない方の手で持っていたらしい密書らしき書面を俺に投げて寄越して来た。
そこには、短い文書で端的に反国王派の貴族、一部の騎士らが王宮を制圧し国王陛下を軟禁していること、この書類の書き手が指揮指導をその貴族らに嘆願されているらしいこと、そしてエレナに続けて王女の監視をするように命じる内容が書かれていた。これは……この文書を書いたのは。
俺はその書類の最後に認められたサインと家紋を見て、驚愕した。信じがたいことに、そこにはあのバレン公爵のサインがあった。
「これは……バレン公爵のサインに間違いないな……くそっ、王国で国王陛下を拘束したとあるじゃないか!反国王派の軍の一部がクーデターを起こしたらしいな」
俺が吐き捨てると、ルーシアも苛立ちを隠しきれずエレナを縛り上げたまま俺の持つ書類を睨んだ。
「あの凄腕の男……あいつの目をどこかで見たことがあると思ったのよ……あのトーナメントで暗殺者を捕らえた騎士だわ!」
ルーシアの言葉に、俺も昼間の襲撃者達のリーダー格の男が、トーナメントで侵入者を拘束した騎士と同じ鋭い目を持っていたことを思い出した。
「……最初からグルだったってことだな」
「だから、情報が洩れる前にあの暗殺者も消されたんだわ!変だと思ったのよ、なんで王国軍の人間じゃなく、公爵付きの騎士が取り調べをするんだろうって!」
「とにかく、これ以上エレナを連れて行くことは出来ないな。あとでマクシムにも話して、ハインツと一緒に明日王都へ送り返すしかない。それよりもこうなったら一刻の猶予もなく、テオドール閣下、アレクス王子と合流して王宮奪還と、陛下救出の方法を考えなくちゃな」
「そうね」
翌日早朝、マクシミリアンとも相談した俺達は馬車を並走しながら守るよりも、馬車を引く馬の数を増やして先を急ぐ方が良いと結論付け、馬車を2頭立てから4頭立てに組み直した。そして残った馬でハインツとエレナ、御者らをひとまず王都にも近いハインツの出身領へ身を寄せるように送り出した。御者も返してしまったので、俺とマクシミリアンが交代で馬車を操縦することにする。ルーシアには、馬車内で体力温存のために仮眠を取ってもらっている。エメセシル様もエレナが内通者だったことを知り起きて早々酷いショックを受けている、ルーシアが側についている方が、いくらか安心されるはずだ。
ひとまずマクシミリアンに馬車の操縦を任せた俺は、昨夜エレナから奪い取った密書をもう一度読み直していた。
バレン公爵が今回のクーデターに一枚噛んでいたことが俺にも大きな衝撃を与えていた。剣術の手ほどきを受けて以来、俺はバレン公爵に憧れを抱いていた。その控えめだが風格のある立ち居振る舞い、現役を離れられても決して鍛錬を怠らない実直さ、一人の女性を愛し続ける生き様に感銘を受け、人生の先達として深い尊敬の念を覚えていたのだ。今回の一連の事件が公爵が発起人なのか、それとも別の反国王派勢力に唆されて加担しているのか分からないが、どちらにしてもにわかには信じがたいことだった。権力に目がくらむような人とは、どうしても思えないのに。
しかし俺の願いに反して、手に持っている書類のサインは間違いなく公爵のものだと証明している。
やはり、彼が国王陛下に反意を抱く理由を考えたとしたら、敵国に嫁がされ非業の最期を遂げた公爵の想い人、ルクレツィア様のことか……?!でも、それならば彼女の死から15年以上経った今になって、どうして―――?!
そんな風にいつの間にか深い思考の沼に浸ってしまっていた俺は、いつの間にか予定していた進路とは大きく異なる道を馬車が走っていることに遅ればせながら気付いた。一体今、俺達はどこを走っているんだ?!
動揺した俺は、周囲の地形を見比べ現在位置を推測する。間違いない、ノルズ城砦に向かう道とは大きくずれた道を馬車は走っている。しかもまた別の分かれ道でも、軌道を修正するどころでなくさらに遠ざかる道を、マクシミリアンは選んでいるようだった。俺は戦慄した。
「おい、マクシム?!なんでこの道を行くんだ?!こっちに進んだら、遠回りになるだろう?!」
「こっちでいいんだ。俺に任せてくれ」
焦った俺が、横で馬車を操るマクシミリアンに問いかける。しかし俺の動揺を見越していたように、落ち着き払った様子でマクシミリアンは返事をした。その落ち着きように俺は一瞬自分の見立てが間違っているのかと錯覚を起こす。だが、ノルズへの道であの山脈が正面に来るはずはない、この道は間違っている!
「どうしたの、なにがあったの?」
俺達の会話が聞こえたのか、ルーシアも不安そうに御者台と馬車内を隔てる小窓を開け、顔を覗かせた。
「心配ないよ、ルーシア」
「おい、どういうことだよマクシム、きちんと説明しろよ!」
ルーシアに対してのマクシミリアンの返事も、どこか機械的でよそよそしい。その様子に俺はますます嫌な予感を募らせ、苛立ちを隠せない。駄目だ、今のマクシミリアンはどう考えても様子がおかしい。話を聞こうなんて悠長なこと言ってられない。今は一刻も早くノルズ城砦に辿り着かなければならないのに!
俺はマクシミリアンから馬車を操る手綱を奪おうと身を乗り出す。すると、マクシミリアンは俺を制止するように俺の体を押しのけ、さらに何を思ったのか馬車を止めようと手綱を強く引いた。
「ちょっと、マクシム?!」
「おいっ、何を考えているんだ、マクシム?!」
俺とルーシアの混乱した怒号が重なり合った。
しかし俺達の意図を無視して、とうとうマクシミリアンは馬車を止めてしまった。気が付くと馬車は、広い荒野の中に数本の巨木と小さな小川、そして寂びれた古めかしい水車小屋のある場所に立っていた。
マクシミリアン、一体、何のつもりだ……?こんな場所に何の目的があって、俺達を連れて来たんだ?
マクシミリアンは、俺達の不審な目を受け流し馬車を降り御者台の脇に立った。その視線の先には、例の水車小屋がある。何者かが、潜んでいる……?!
「おい、約束通り、姫は連れて来たぞ。だからバレン公爵に、ニーナの薬を卸すように言ってくれ」
マクシミリアンから飛び出して来た言葉に、俺は耳を疑った。まるで脳天を雷に打たれたような、酷い衝撃だった。
「マクシミリアン!!どういうことだ!!姫様を売るつもりか!!?」
「頼むから抵抗しないでくれ!エリック!俺はお前たちに危害は加えたくない!」
怒りに任せて叫んだ俺に、マクシミリアンはたまりかねたような様子で負けじと声を張り上げた。
「何だと!?」
「おい、聞こえているんだろう!!王女を引き渡しさえすれば、お前らの目的は達成だろう。さっさと姿を現して、連れて行けよ!!」
何かが振り切れたらしいマクシミリアンがなおもその水車小屋に叫び、乱暴に馬車を叩いて示した。水車小屋からは、何の反応もない、と思われたその時―――。
「エリック!!!気を付けて!!!矢だわ!!!」
空気を引き裂くルーシアの鋭い声が馬車内から飛んで来て、俺は反射的に御者台に身を屈めた。と同時に無数の何かが馬車の車体に突き刺さる音が立て続けに鳴った。
「き……っさまら……俺を、騙したのか!!!!」
俺が顔を上げると、血を吐くような声音で呪いの言葉を吐いたマクシミリアンが、懐から細長い何かを取り出した。マクシミリアンの脇腹は飛んで来た矢が掠めたのか、赤いものが滴っていた。
マクシミリアンは取り出した物に、何か石のようなものを打ち付けたかと思うと、間髪入れず水車小屋に投げ入れた。あれは、火薬だ!!
けたたましい爆発音が轟き、水車小屋の石造りの壁が吹き飛ばされ粉砕される。その数瞬後に、隠れていたらしい武装した集団が這い出て来た。
「王女以外は殺せとの命令だ!!覚悟しろ!!」
「くっ……そぉぉおおっっ……!!!」
狂ったように吠えたマクシミリアンが、俺達が反応するよりも早く剣を抜き男達に飛び掛かって行った!
「「マクシム!!」」
俺とルーシアの声が重なる。
俺はマクシミリアンを追い、剣を抜いて御者台から駆け出した。今は、もう何が何だか訳が分からない。マクシミリアンが敵か味方かも。だが、見捨ててはおけない!
「姫様!絶対に馬車から出ないで下さい!!!」
ルーシアも同じ想いなのだろう、俺達の背後から彼女も追ってきているのがその駆けて来る音で伝わって来る。
恐らくは、最初の弓矢での攻撃で俺達を殲滅する計画だったのだろう。一人一人の戦闘能力は、昨日の襲撃者らと比べても劣る、取るに足らないものだった。しかし、疲れが俺達の動きを鈍らせる。
確実に敵の数を減らして行き、決着も間もなく着くか、という瞬間―――。
「覚悟しろ!!」
がれきに身を潜めていたらしい敵のスナイパーが、連射式のクロスボウから矢を放った。その矢の襲撃先には―――ルーシア!!!
「「ルーシア!!」」
無数の矢が太陽光を反射した光に目がくらんだのか、立ち尽くすルーシア。その彼女に、容赦なく、雨のような矢が降り注ぐ―――!!
彼女へと、手を伸ばす―――駄目だ、とても間に合う距離じゃ―――ルーシア!!!!
そこから先は残酷なほど、ひどく時間がゆっくりと流れている気がした。こんな、悪夢が、あってたまるか―――。
瞬きも出来ず、ルーシアを凝視していた俺の視界を遮るものがあった。その影は、ルーシアを庇うように立ち塞がり、襲い来る無数の矢を一身に受けた。
「―――マクシム!!!」
凍り付いている俺を、ルーシアの悲鳴が、現実に引き戻した。我を取り戻した俺は、背中一杯に矢を刺したマクシミリアンと左腿にやはり矢を受け負傷したルーシアの姿を認め、状況をやっと理解した。マクシミリアンが、ルーシアを守ったのだ。夥しい数の矢傷を背に負っているにも関わらず、まるで痛みを感じていないかのようにマクシミリアンは驚くべき速さで、再び敵に向き直り突進して行く。
当然、異常なマクシミリアンの様子も心配だったが、今の俺には何よりも矢傷を受けたルーシアを保護することが第一だった。
「ルーシア!脚は大丈夫か!!」
俺はマクシミリアンが敵を薙ぎ倒す音を背後に感じつつも、ルーシアに一目散に駆け寄り剣を地面に刺して体を支える彼女を抱き起す。一息でその腿の矢を抜くと彼女の傷口から、真っ赤な血が溢れだす。その血の量、色から致命傷ではなく毒も塗られていなかったことを確認した。俺に返事をするように、ルーシアは小さく頷く。そして、再び水車小屋の方に目を向けた彼女の目が、驚愕に見開かれた。
「いやあっ、マクシミリアン、しっかりして!」
―――そこには、最後の敵まで絶命させたらしいマクシミリアンが、力尽きたように倒れ込んでいた。その背に突き刺さったままの矢の傷口からとめどなく血が流れ、血だまりを作っていた。誰がどう見ても、手遅れの状態だった。
俺の支えを受けながらも、ルーシアは痛みを押してマクシミリアンに駆け寄る。気付けば、俺達の様子にただならぬ気配を察したエメセシル様まで馬車から降りて、口元を押さえ絶句していた。
「マクシム、嘘でしょ、気をしっかり持ってよ。死なないで!」
「マクシム……今、手当てをする!動くなよ!」
俺とルーシアが倒れ込んでいるマクシミリアンの傍らに膝をついて、呼びかける。そんな俺達に、マクシミリアンは乾いた笑いを浮かべた。
「……エリック……いいんだ、俺はお前達を裏切ったんだ……、それにもうどうせ助からない」
「喋るな!」
「……いいんだ、いいんだよ……ほんとに……。俺は前から、バレン公爵に弱みを握られていた。……妹の、病は特殊でバレン公爵領地でしか生えない薬草でないと、体調を維持出来ない。……その薬を手に入れるために俺は、奴の言いなりになるしかなかった……。だから2年前の、ユリウス殿下も……俺がっ……殿下の持ち物に毒を……っ」
「兄様も……バレン公爵が……っ?」
途切れ途切れに、命を削るように告白するマクシミリアンの声。その彼から明かされた事の真相に、エメセシル様も悲痛な声で叫んだ。ルーシアも、横でマクシミリアンの体に縋るように泣いている。
「全て、あの男が、王位を手に入れるために……計画していたことです……奴は姫を妻にして、王位を得ようと……。分かっていたのに、俺は……奴の企みに、加担を……っ」
「マクシミリアン!!もう良いのよ、喋っては駄目!!あなたは脅されていたんでしょう、妹さんのために!!決してあなたのせいではないわ!!」
エメセシル様が泣きながら、しかしきっぱりと断言した。騎士の誇りと、愛する家族への想いに板挟みになっていたマクシミリアンを、誰が責めることが出来るだろう。悪いのは、その想いに付け込んだ……!!
「……どうか、ニーナには……俺の死を伝えないで欲しい……ようやく体調が安定しだしたんだ、俺のことで動揺して、また体を壊してはいけない……」
「マクシム、駄目よ、ちゃんと生きてニーナさんをこれからも支えてあげて頂戴!!ねえっ、だから、そんなこと言わないでっ……」
俺は必死に縋るルーシアの声を聞きながら、一目散に応急手当の道具を取り出して来ていた。無駄だと分かってる、こんなことをしても、もう、マクシミリアンは助からない。でも、何もしないでいられなかった。
俺は、一つ一つマクシミリアンの背から矢を抜いて行く。想像を絶する痛みだろうに、マクシミリアンは驚異的な精神力で意識を保っている。どうか、そのまま持ち堪えてくれ!!一縷の望みをかけ、俺は必死で止血の処置をして行く。
「……いいんだ…‥、本当に……ありがとう……ニー……ナ……を……たの……む……」
「マクシムっ!!!」
「…………」
最後に、ごぼり、と血を吐いた後マクシミリアンは眠るように目を閉じた。その顔にさぁっと深い翳がさした。
……うそ……だろう……?あの、いつも俺をからかって遊んでいた、陽気なお前が……。明るくて、頼もしくて、俺達の兄貴分的な存在だった、お前が……こんなあっさり逝ってしまうなんて……。
「マクシムゥゥゥッ…………!!!」
ルーシアの泣き崩れる声を聞きながら、俺は呆然と、手で口元を覆い言葉を無くしていた―――。




