第7章 江戸城跡と心の自由~金運・仕事運
第7章 江戸城跡と心の自由~金運・仕事運
江戸城の巨大な石垣は、「権力とはこういうものだ」と無言で語っている。
その向こうには、丸の内のガラス張りのビル群がそびえ立つ。
オイは、石垣を見上げて言った。
「権力っちゅうのは、石垣みたいにガッチリしとるもんなんかね。
オイの人生はブロック塀どころか、ホームレスの段ボールハウスみたいやけど」
すると、健二が笑い出す。
「段ボールでも雨風しのげれば十分だぞ。
雨にも負けず、風にも負けず。
江戸城だって、最後は火事で燃えたし!」
「健二、歴史のツッコミが辛辣すぎるばい」
オイは皇居のお堀を眺めながら、自分の仕事遍歴を思い返した。
新聞配達、皿洗い、土方、船乗り、工員、警備員、特許事務員、
電気工、清掃員。
そして、いつの間にかサラ金暮らしかよ。
人前で笑って一人むなしく涙流す日が多かったよな。
「オイの仕事運は、後楽園のジェットコースターじゃない。
落ちっぱなしの幼稚園の滑り台やったね」
「落ちる経験は地面の強さを知るためのものだよ。
君は地面と仲良くなりすぎただけです。
ばねは大きく縮めたあと、伸びるときは縮むほどによく伸びるのだ」
「フォローになっとるようで、なっとらん気がするばい」
魂の声がささやく。
《ばねは縮めば伸びる。
苦しい時や我慢の時こそ、未来の大きな飛躍のためのエネルギーを蓄えている。
失敗や逆境、地道な努力の期間は、ばねが最も縮んでいる状態と同じだ。
金運とは財布の厚みではなく、心の波動が引き寄せるものだ》
「波動ねオイの波動は、いつも貧乏ゆすりくらいしか出とらん」
《苦しいときにどれだけ力を溜め込めるかが、次の飛躍の大きさを決定する。
逆境を伸びの力に変えるのだ》
苦難の道を進むことで、そのあと楽観や豊かさがやってくるかのう?
お金ってどこからきてどこへいくんや?
スピ女:「お金ってね、心が縮こまると逃げていくのよ。
逆に、心が自由だと、ふわっと寄ってくるの」
「ふわっと寄ってくる金?
一回でよかけん体験したかぁ!」
オイは、丸の内の高層ビルを見上げた。
「ここで働いとる人々は、みんな成功者なんかね」
ワイズマンが、静かにささやく。
「成功の定義は人それぞれだよ。
脳は報酬系が満たされるときが幸福だけど、
幸福は収入とは必ずしも比例しない」
健二が続ける。
「丸の内の人でも心が自由じゃない人は多いぞ。
逆に、おっちゃんみたいに自由すぎる人はレアだ!」
「オイの自由は、ただの無職の自由やけどな」
オイは石垣に手を触れた。
「権力って、こんなに固いもんなんやね。
日本の政治家はお金も頭も固か。
オイの人生には、女と金とは縁がなかったばってん」
魂の声がまた来た。
《権力は外側の強さだが、幸福は内側の自由から生まれる》
ワイズマンもうなずく。
「君は心の自由だけは誰にも奪われなかった。
それは、どんな権力者よりも強い財産だよ」
オイは、少し照れくさそうに笑った。
「なんか、ちょっとだけ金持ちになった気がするばい」
スピ女が解説する。
「リッチマインドってね、持ってる量じゃなくて、心の余白なんよね」
健二が補う。
「そうそう。おっちゃんは、人生の失敗で心の余白が増えすぎている。
もはやスカスカの宇宙空間みたいになってるよ!」
「おぬし、それホメとるんか、ディスっとるんか、どっちや!」
皇居の風がスーッと吹き抜ける。
オイは、胸の奥がと軽くなるのを感じた。
「オイは金がなくても、自由に考える時間だけはたっぷりあるっちゃね」
魂の声が静かに告げる。
《それこそが、豊かさの第一歩だ》
オイは、石垣に向かって深く頭を下げた。
「よかよかばい、次はよか気分でどこ行くばい」




