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160話

何処からか鳴き声が聞こえた。


多分犬系?

でも此処はもう強者しかいない場所。


犬で浮かぶのはあの二匹と考えていたらその者はゆっくりと向かってきた。


どれ位前のことだっただろうか?

確か、カプリスダンジョン地下160階層とかだったかな?


「――――――――久しいの、お主」

「お久しぶりですねガルムさん」


そこには何時か見た漆黒の犬が1匹。

赤くとても鋭い瞳は特に印象的で覚えていた。



「ほお、我のことを誰からか聞いたか?」

「…………イトウさんというじじいに」

「……………………フン。あの偽の老いぼれめ」


ふーん。結構知り合いなのかしら。

しかし偽の老いぼれってどういう意味?



「……もう一匹はいないんですか?」

「奴は地上へ帰った……しかしお主。凄まじい強さだ。とても美味しそうだ」



「あははは…………戦います?」

「無論だ。遠慮は要らない。……此処はそういう場所だからな!」

「わかりました」



良い勝負をしたら俺の名前とかを教えようと話すガルム。

今なら解る。


この犬。とんでもない強さだった。

だいぶ前に見た時にはそんな事解らなかったなぁ。


まぁ時には知らなくて良かった事とかもあるだろうけど。

あの時の私が今のガルムの強さを知ったら腰を抜かしているというか、ずっと頭を下げていたかも知れない。


震えながら。


「今のオマエなら我の力を示しても問題なかろうて……」


「嫌だなぁ。女の子には優しくしてくださいよぅ。あ、じゃあ私と良い勝負をしたら毛繕いしてあげますね!」


「はっ! …………余裕だな。しかしお主。それだけの修羅場を潜ってきたのだろうな」


一応保険を掛けておく。

もしかしたら見逃してくれるかも知れないし。

負ける気なんて全く無いケドね。


太い前足を地面に叩き付けると大きい音と共に地面がえぐれた。


「よし、始めるか!」


距離凡そ五メートル。大分近い。

漆黒のボディーに燃えるような赤い瞳。


格好良い犬だなぁ。

体つきもバランスが取れていて俊敏性も高く力も強い。


犬のことは知らないから人に置き換えて考えたら中々の人物だと思った。

最近戦った吸血鬼みたいな人よりも強いだろうなぁ。


痛いのとか血みどろはもう嫌だなぁ。

余りダメージ食らっていると心が病んでしまう気がしている今日この頃。

私の場合は実況の失敗も地味に心やられてる気がする。



さぁ…………どう来るかな。

先ずは様子の探り合い。


ある程度の距離を保ちつつ左右に、対角に移動を繰り返す。

保たれていた距離も徐々に近づき近接となった。


どういう攻撃をしてくるのだろう?

見る限りは鋭く大きい足爪。


あれで引っ掻かれたらお肉が抉られるだろうね。

撫でられる位でも私の柔肌は傷付いてしまうに違いない。


多分スピードは相手が上だよねぇ。

という事は必ず攻撃を食らう。

防御を考えないと…………。


来た!

瞬発力を使っての突進。からかぎ爪を振るってきた。


判断は後方へのバックステップ。

対応としての遅れは出るが間に合うが直ぐさま何かが飛んできた。石?


結構スピードがあった為に手を振り弾くがそのすぐ後ろに魔力を帯びたつぶての様なものが石を弾いた手に当たった。


攻撃力は左程無い。手も魔法によりガードしている。

その後うなり声が聞こえ火が10個ぐらいガルムの上に見えたと同時に飛んできた。

大きさは私の拳ぐらい。


そこまで大きくないそれらは軌道が変だった。うん。


躱せない。

恐らく自動追尾。


試しに魔力を纏わせた手でガードしてみたら一応ガードは出来るものの反動が強く。

思い切り弾かれた。


これは火と言うよりも火の球。石の外殻に火が纏っている様な代物。

結構弾くのも辛い。


敵ガルムを見ると更に火を飛ばしてきた。もう火の球だらけだった。

私の選択は同じく火。




水も考えたんだけど水蒸気が出るのを少し嫌った。

即席のファイアボールを適当に投げて相殺を狙った。


私の放ったファイアボールは即席なので頭の大きさ位。

残念ながら自動追尾はしない為、丁度良さそうな所へ置き投げる感じ。


威力、大きさは私のファイアボールの方が上。

相手ガルムの火の球を飲み込みお返しとばかりにガルムへのしを付けて返す。


……しかしのしとばかりのファイアボールは受け取ってくれない。

軽やかにダンスを踊るように躱している。


余程の隙を突かないと私の魔法を当てるのは難しいかも知れない。

何か、良い魔法無かったかなぁ?


魔法の応戦は続くが双方にダメージ無し。

私も先読みと魔法による防御でギリ耐えていた。

疲れるけど物理的なダメージは負っていない。


魔力はタップリあるのでこのまま続けてジリ貧にはならないと思う。

でもこの均衡を打開しないとと考えていた。



先ずはあの火の球を何とかしたい。

…………アレを試してみよう。


ガルムの火の球を避けながら、尚且つ接近戦の牽制プラス呪文詠唱。

この三つを同時に行う。


しかもまだ禄に試したことの無い難しい裏の魔法。

出来るかしら…………。


いや、やるんだ!




「…………すぅー」


ひと呼吸し気合いを入れつつ腹を括った。   


中級四種。この世の中の魔法で一番使い勝手が良いとされている攻撃魔法。

魔法使いと生きるなら先ずはこの中級四種を目指すらしい。

安定していて威力もそれなりに強い。そんな中級四種魔法。

しかし私が今から唱える魔法は真逆。


使い手を選び使い勝手も悪く不安定。しかし威力だけは優れている。

つまりは使い方次第。



よし。



「……紡ぎしマナの根源により解放せし更なる力よ、我を媒介としその真の威力、裏で顕せ。ファイアカッター」


其の呪文は極薄の火の鎌だった。

刃の部分が燃えるように紅くマグマの赤を連想させた。


その数凡そ20個。

私を囲むように発生。

私は鎌の隙間からガルムを視た。


「アイツの全て、切り裂き燃やせ! 紅蓮の鎌!」


私の意を組んだのは七割ほどだった。

二割はその場で消滅した。

残りは私自身に向けられた。さて、どうしようか。


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