155話
結局後手を踏んだら全力で逃げるっていう当初の作戦を台無しにして挑んだ結果の結末。
もはや自業自得。
でもでもきっと違うんだ。
コレは踏まないと先に進めないマスなのだぁー…………。
「そうして人は強くなっていく……」
本屋さんの18禁コーナーから出てくる朋くんを見た時に言われた台詞だ。
当時何を言っているんだコイツって思ってたけど今なら少しだけ解る気がする。
その後走って逃げてたけど。
そうか、私もある意味同じか。
あはは………………。
狙う者と狙われる者。
捕食者と被食者。
狙う方が絶対的に有利なのだ。
後手というのは相手の行動を考えて実行する。
先手は狙って次。先の先。
スナイプしてやる。
黒死鳥の時に覚えたんだ。
あの感覚を思い出せ。
一撃で倒せなくても当てさえすれば次が有利になる。
後手は逃げたいけど。
もう逃げない。
強く。なるんだ。絶対に。そう心に決めた時。
私は自然にニャリと嗤っていたんだ。
『その表情…………ゾクゾクする』『うわ魂握られた』『なんという微笑』『良い笑顔だ。狂気が宿ってやがる……』
『自分を理解した瞬間』『ぶひぃー』『良い子にしますおねがいままもっと……』『約束された何か』『確定演出キター』
実況編集。
カメラワーク編集。
近くの敵、捕捉モード起動。
此処が私で…………コイツか。
……距離にして凡そ15キロメートル。
ロックオン。
移動開始。
腰を少しだけ落としながらの素早い移動。すたたたた。
距離はある。
でも私は止まらないのトランス状態。
次の敵を倒すまで。
「ファイアボール」
捕捉した敵に直ぐに詠唱。
何も考えずにファイアボールを投げつけた。
敵の何かは気が付いたみたいだが完全に回避は無理だろう。
私の放ったファイアボールは敵に普通にヒット。
回避行動が出来なかった様で豪快に燃えている。
「オメデトウゴザイマス。エンパイアを撃破シマシタ……」
「ふん。他愛も無い」
「………………モード解除」
……あー。疲れるコレ。
意識の問題7割増。
体力的には3割増。
ぐらい頑張ってるモードだね。
息切れしなければ今の私の最強ムーブかも。
……でも少し疲れた。
キャラじゃ無いんだそうなんだ。
少し休もうと思った瞬間に第六感。
何も考えずに……
――――――――伏せた。
私の上付近を何かがゴオオと通過した。
それは魔法。
私がさっき使ったファイアボールの魔法。
同じ魔法だったんだ。
私のキューティクルを掠めた気がする。
いあいあ髪の毛は無事だよ。一応さすってみたケドおお怖い。
何が起きた…………というか、誰だ!
岩陰に伏せり周囲を索敵。
何処にいる?
…………いない。
相手もハイドしているっぽい?
……………………みんな。
違和感を探して?
実況編集 全方向!
『わーパノラマだい』『コレはコレで見えにくい』『カメラさんさらっち重視で』『違和感も何も全てが可笑しいってなー』
『←それな』『いやでも幾つの目で見てると思ってんだよ俺たち』『異変を探せ!』『異変ねェー』
『さらっちが映えてる』『火山ステージに佇む少女』『←その眼光は――――容赦なく俺を……』
うーん。見つからない。
違和感何処だ?
……………………。
『アレ…………あれ何か気になる。あの胸の形?』『ホントだ。あんな岩あり得ねーぐらいバインバインだなw』『さらっちには無い代物』『そんなのはままに要らないんだよおおお』
『確かに何となく動いてる気がするw』
……………………あれか。
確かに何か……震えてる気がするね。
うーん。
でもこのステージ基本敵しかいないしなぁ。
うん。容赦は要らない!
「根源より生まれた唯一の始まりセフィロトから重ね合う創造四原種の理よ、今此処に姿を形成し表現せよ。フリーズアロー」
虚空から生成された氷の矢。
数は12本。
スピードは極上。
キラキラと氷飛沫を上げながら隊列を組んで目標に飛んでいった。
凡そ2秒。
300メートル程先の違和感の周囲へと突き刺さる矢。
「…………ヒット」
「ギャーあーーーー」
女性っぽい悲鳴が遠くで聞こえた。
しかしアレを食らって無事とは思えない。
敵ながら天晴れ。
キミの悲鳴は忘れないよ。
知らんけど。
余韻に浸っていたら反撃のフリーズアローが飛んできた。
まさかとは思ったけどギリ避けた私。
危ない危ない。
「痛ったぁーーーー巫山戯んなコノ阿婆擦れーーーー!!」
遠くで誰かが酷い事を言っている気がする。
気のせいでしょ。私あばずれじゃないしー。へへーんだ。




