152話
その審判を名乗るクマは私を見ながら何時までも踊っていた。
もういい加減ジッとしててって思って話したけどクマは止まらない。
私はその微妙に下手な踊りを唯見せられながら色々と考え事をしていた。
……やっぱり誰かに会ったら戦いになるよねぇ。
うーん。まぁ仕方ないか。
死にたくないし。
……此処が本当に199階層かは解らないけど、登りでも下りでも階段が見つかれば階層が書いてあるから次の行動が決まるのになぁ。
でも多分、此処って190階層の何処かだろうとは思うけどね。
何となくだけど雰囲気ではフロアーも広そうだし。
兎に角、移動しますか。
誰かに見つかるよりは先制をしたいからハイドをしながらの移動にした。
ソロリソロリとした動きで周囲を警戒しながら進む私。
ふと後ろを見ると何という事かクマが踊りながら付いてきていた。
「おおい!」
「……………………」
「ねぇちょっと! 付いてくるのは良いけどもう少し何とかならないの?」
私はクマの節操のない動きにイラついて怒り気味に話す。
「…………お気になさらず」
「……いやだから目立つの!」
気にするなって言われてもきにするだろいにー。
コソコソしたい私にとって邪魔以外の何物でも無い。
「ワタシの特殊能力により他の相手にワタシはミエマセンくま」
「あ…………そう」
意外にハイスペックなクマだなこいつめ。
死なないし見えなくも出来る?
ふーん。何だかズルいなぁ。
とりあえず此処は199階層の何処か。
そういう考えのもとで行動してみよう。
と言ってもそんなにこの階層のこと知らないんだよね。
この前少しお散歩したぐらいだし。
しかも殆どの知能有る生き物は待避しているとかなんとか。
もう何かに出会ったら即攻撃でも良いかもしんない状態。
逃げるせよ攻撃するせよ先制を取れなかった時点で結構不味いと思う。
もう感覚も当てにせず後手は逃げ一択でいこっと。
今の私のハイド状態を見つけるのも中々だろうしなぁ。
「うーん……」
後は誰かと戦っている時にとか、その状態を見つけたときとかの少し特殊な状態も
バトルロイヤル的な現状だとあり得るのかしら。
最悪二対一とかムリムリだからね。
「…………ふぅー」
もうそこは自分の運に賭けよう。
大体だけど方針は決まった。
至極簡単に行きたい。
「とりあえず私は誰とも戦わずに200階層に帰りたい」
……言葉にして自分の方針を固めてみた。
まぁ飽くまでも方針だけどね。
最悪の最悪で血みどろヒャッハーしてる自分がいても可笑しくない状態なのかも知れないし。
いやいや無いから嫌だからん……。
しかし、その嫌な考えは近い未来を暗示していた訳でもあり。
嫌な予感というのは奇しくも当たったりする訳で。
現実逃避のほんの数歩手前の岐路に立っていた私だった。
後々考えたらだけど此処は分かれ道であり。
私がどれぐらい強くなるかの分岐だったんだ。
でもそんなのは後々考えたらの話でね。
仮に未来を知っていてもそちらを選ぼうとは思いたくない未来。
それがこれから始まろうとしていた。
まだまだ知らんけどな私はこんな場所でもふふふーんとばかりにだだようんノー天気にいたのです。
基本、私は楽観的だった。
死んだら死んだときに考えようぐらいには。
もう少し…………この時、もう少しだけ考えて行動していたら。
あんな二つ名を付けられなかった筈なのにもうもう…………。
これからどうするかを考えていた私はもうとっくに捕捉されていたんだ。
次のダンジョンマスターに一番近いと噂されていた存在に。




