147話
「………………」
「………………」
とりあえずドラゴンの子供らしき子を連れて帰った。
「……コレはお主、何か知っているよな?」
「さぁ? あ、立派な牙が見えますね、可愛い子犬ですよ、この子」
ふふん。可愛いでしょ? とあたりまえにシラを切る私。
この子は可愛い可愛い子犬ですって! 誰が見てもねっ!
「…………その背中から生えてるのは何じゃろうな?」
「…………んん? あぁ、気が付かなかったですね。鳥、うーん。ユニコーンかしら? 亜種かも」
私が付けた羽です。
コスプレって言うんですよ。とかの方が良かったかしら。
「お主の目はダニーフェブラリの穴か? 何処をどう見てもドラゴンだろう。しかも生まれたてじゃのぅ…………ん?」
「……へぇードラゴンって始めて見ました。すーっごく縁起が良いですよねェ! ………………ん?」
「「まさか暴星龍!?」」
そういえばそんな話を聞いた気がする。いやいや、でもそんな偶然。
下手な演技をしていてそんな事に気が付く私。そしてイトウさんだった。
「はぁー不味いのぅ…………」
「……今日もバッタ虫のステーキだからってそんな言い方…………」
「……………………まま」
私を見ながらそんな言葉を発する目の前の生まれたてドラゴンとその言葉に直ぐさま反応するイトウさん。
「…………いやいやまさか、お主がまさかの母親か? ちゃんとして貰わんと母親失格じゃぞ…………」
「え、あ、いやいやないない。流石に私からは生まれませんって。あー今日もバッタ虫のステーキが美味しいなぁもぐもぐ」
「はぁー。全く。とんでもないものを拾ってきてからに。一体どうするつもりなんじゃ?」
「……………………そこはお父さんも一緒に考えてくださいよう!」
「だっだっ……誰がお父さんじゃ!」
流石に洒落は通じない事柄なのかイトウさんは何時もよりプンプンとしていた。
「折角もう少しで巫女様に会えるというのにのぅ。変な不安要素は困るのでのぅ……」
「……………………」
本音100%の独り言がしっかりと聞こえた。
ほうほう。
巫女様ってそんなになのかい。
やはりあの伝説の装備の名前も巫女様の名前なのかしら…………。
いやいや知らなくて良いよそんなのは。
「ミャーミャー」
「………………」
可愛い子犬はそう鳴いた。いやドラゴンだろうけど。
「………………イトウさん。もしかして、もしかすると猫さんだったのかも知れません」
「……お主はコレの何処を見て猫という結論に辿り着くのじゃ?」
目をしぱしぱとさせながら、私を見て何か話しかけてくれているんだ。
「いやだって『みゃーみゃー』って……」
「…………ちゃんと面倒は見るのじゃぞ?」
「わ、解ってますって! 大丈夫。今まで幾度となく昆虫を飼ってきた経験が私にはあります!」
「ほほぅ…………ちゃんと育てられたのかの? 意外じゃが……」
「いえいえ……例外なく全滅です。でですがそういうノウハウがあるので私は大丈夫です!」
「……お主、やはり恐ろしいのぅ」
胸を張ってフフンと豪語しておいたらイトウさんに恐れられた。
ふふん。
「わぁー。ドラゴンの子供だね、さらちゃん」
「うん。やっぱりそうだよね。ドラゴンだよね?」
ミミックの女王様ナルちゃんが子供ドラゴンの頭を撫でている。
「んーと、お名前は?」
「あ……………………」
名前、そうだ。名前を付けていなかった。
すっかりそんなこと忘れていたよう。
ドラゴンの子供だからなぁー。
ちっちゃくて白いドラゴンの子。多分まだ生まれて数日ぐらい?
ドラちゃん……シロちゃん。うーん違う。何かしっくり来ないなぁ。
「うーん…………」
私が悩んでいるとそこにイトウさんが来た。
何を悩んでおるのじゃと声を掛けられたので相談する事にした。
「いとーさん。この子の名前がまだなんですよ。何か……ありませんか?」
「……何故ワシが…………むーう。……ドラちゃんとかどうじゃろ?」
「安易過ぎますって!」
「そか? …………じゃあシロちゃんはどうじゃろ?」
「…………いやいや無い無い(笑)」
……このじじい。私と一緒かい! 改めて自分のネーミングセンスを解らせられた。
「じゃあお主は何が浮かんだんじゃ?」
「ええっ……そ、それは秘密ですケドぉ…………」
お主だってワシと似たような感じなんじゃろ? ホレホレとからかわれた。
うーん。何か、無いかなぁと考えていて思い出した。
「……この子。リアちゃんにしましよう」
「…………ふむ」
「確か最近イトウさんフェブラリーが何とかとか言ってませんでしたっけ?」
「ん…………あぁ、ダニーフェブラリの穴のことか?」
「そ、そうそうソレですよう。それはどういう意味なんですか?」
「昔の有名だった賢者、いや、大賢者様が残したと言われ伝えられている本の事じゃ」
「んん?」
「その本はの。本を貫通する穴が開いていての。その本を読んでいくとどうしても大事な所が穴で読めないんじゃ」
「…………変わった本ですね」
「まぁ役に立ちそうな本なのじゃが誰も読み紐解けないんじゃよ」
「な、なるほど…………っと、あぁ、んーまぁ私が思い付いたのはフェブラリーという神様の名前なんです」
「……それが、リアと?」
「ええと、正確にはアリア……いや、アーリアだったかな。でも言いやすいからリアで」
「そうじゃの、母親なお前が決めるのなら良いのでは無いか?」
「いやいやそれは。まぁ良いよ、うん。決まり! キミの名前は『リア』だよ。よろしくね!」
「みゃーみゃー」
私に名前を呼ばれて、部屋の中を跳ねる様に飛んでは着地を繰り返し、何となくだけど嬉しそうにしているリア。
気に入ってくれたかな。
よきよき。




