第十四話:『不満足な演算装置と略奪された地図』
第十四話:『不満足な演算装置と略奪された地図』
洞窟の奥、やはり豪奢な台座の上に鎮座していた二つ目の宝石。
マッドがそれを乱暴に掴み取ると、脳内に直接、頼りないノイズのような声が響いた。
『……なに……?』
「なんだこれは! 前回の宝石の半分しかサイズがないじゃないか!」
これでは二つ合わせても、二号機のメインシステムに要求される総処理容量に届かない。
マッドは『……なに?』と同じ呟きを繰り返す宝石を、苛立ちまぎれに白衣のポケットへとねじ込んだ。
そのまま、周囲に転がるめぼしい希少鉱石の数々を一通り【分解】スキルで手際よく採取し、足早に洞窟を後にする。
村に戻ると、四天王ガイアの呪縛から解放されたわずかな村人たちが、歓声を上げてマッドを迎えようとした。
しかし、マッドは彼らを視界に入れることすらなく素通りする。
向かったのは、魔王軍が拠点として使用していた村で一番大きな石造りの小屋だった。
バァンと乱暴にドアを蹴り開けて侵入し、迷わず書類や本が雑然と積み上げられた机を漁り始める。
「えぇい、この世界の言語の文字が読めん! だが……おそらくこれが数字の概念か? この記号の羅列は……ふむ、なるほど」
マッドの天才的な頭脳は、書類に書かれた統計データらしき法則性を瞬時に解析していく。
「残りの四天王とやらが駐留している座標さえ分かれば、それでいい」
軍事拠点の印がつけられた地図を乱暴に引き剥がし、ポケットへと詰め込む。
ついでに棚に並んでいた度数の高そうな酒瓶や、日持ちのしそうな干しパンなどを適当に掴んで麻袋に放り投げ、そのまま外へ出た。
「ここから一番近いのは……東だな」
コンパス代わりに自作のウインドウを確認し、東の空を見据える。
背後からは「勇者様!」「我らの英雄!」とマッドを称える村人たちの声が上がっていたが、彼はそれを完全に無視した。
ガシャリと足元のジェットブーツを起動し、爆発的な推進炎を上げて、次の素材が待つ東の空へと飛び立った。




