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バルトの虐殺

【章のあらすじ】

皇帝と皇妃たちに報告が届く。その結果はあまりにも衝撃的だった!

——ピィィィン。


巨大な楕円形テーブルの中央で、青きホログラムスクリーンが明滅している。


凄惨な光景を前に、皇妃たちの身体は小刻みに震えていた。


(あり得ない……これは一体?)


天王星(ウラヌス)を統一した血塗られた過去を持つ皇帝(こうてい)と皇妃たちでさえ、己の息子たちが青き星――地球(ちきゅう)で犯した残虐性の規模を理解できずにいた。


純粋な残虐性。


いかなる大義も存在しない、ただの悪。


それが、彼らの息子たちが青き星で引き起こした現実だった。


スクリーンには、シーザがバルト地方の村で引き起こした、最新の虐殺に関する報告映像が映し出されていた。


シーザに反抗するレジスタンスの一部隊が、辺境の村の警察署を占拠した。


シーザの脅迫は苛烈を極めた。

直ちに撤退して投降しなければ、村ごと頭上から粉砕する、と。


だが、レジスタンスはシーザの体制に屈しなかった。

結果として、彼の軍は重爆撃機を降下させ、警察署を徹底的に爆撃。

一切の容赦なく、更地へと変えた。


——ドゴォォォン!


警察署には、人も、石ころ一つすら残らなかった。

周囲の村人の家屋や小さな農地も広範囲にわたって破壊され、警察署とその周辺にいた者は、レジスタンス含め全滅した。


戦略的価値など皆無の警察署を脅かしたレジスタンスは排除され、作戦の目的自体は既に完了していた。


――にもかかわらず。

シーザの抱える悪意と暴虐はそこでは終わらなかった。

翌日、彼は無慈悲なる作戦を宣言する。


【シーザ領からの悪の摘出作戦】


レジスタンスの数名がその辺境の村の出身であったという理由だけで、シーザは「悪の根源」を罰すると称し、村人ごと村を完全に根絶やしにすることを決定したのだ。


シーザの軍は、小さな村の命綱である川に猛毒を流し込み、村の出入り口を完全に封鎖・包囲した。


川が汚染されたことで、村人たちはすべての飲料水へのアクセスを断たれた。


村に残された水の備蓄は、わずか一週間分しかなかった。


——ズンッ……ズンッ……。


村の静寂を踏みにじる、重々しい軍靴の音。


シーザの直接の命令を受け、直属の部隊「黄金の精鋭」が村に進駐した。


白昼堂々、彼らはすべての寄宿学校に突入し、幼い子供たちを監禁した。

そして、純潔の誓いを立てた女性教師たちを捕らえ、白日の下で惨殺し、生きたまま皮を剥いだ。

村人たちを恐怖で支配するため、その無惨な死体と皮を学校の屋根に吊るしたのだ。


その後、子供を監禁された村の親たちに向けて、通達が出された。

もし子供を返してほしければ、学校の前に集まれ、と。


「己の子供が中にいる者は……受け取りに来い。我々に、返す意志があればの話だがな」


膨大な数の群衆が、学校へと殺到した。


渇きと不安に苛まれる親たちは、腐敗し、皮を剥がれた女性教師たちの死体の前で立ち尽くした。

極限の恐怖、慟哭、そして喉を焼くような渇きの中、天への切実な懇願と共に、我が子の知れぬ運命を待ち続けたのだ。


一日……。


二日……。


そして、三日。


三日三晩、彼らは学校の前に立ち尽くした。

無惨な死体の境界線を越えようとした者は、その場で容赦なく射殺された。


ある者は、極度の緊張と水分不足により、地面に倒れ伏して息絶えた。


またある者は、思考の限界を超え、完全に発狂した。


――そして、四日目の夜。


——ギィィィ。


重厚な鉄の扉が軋む音。


ついに、学校の扉が開かれた。


親たちは息を呑み、乾ききった眼窩に一筋の希望の涙を浮かべた。


しかし……。


子供たちが、彼らの元へ駆け寄ってくることはなかった。


砂埃の舞う地面に、ただ、子供たちが投げ捨てられたのだ。


三日間、親たちが外で必死に懇願し続けていた間……。


中にいた子供たちは、精鋭部隊の監視下で心身ともに徹底的に蹂躙され、ゆっくりと命をすり潰されていたのである。


——ザワッ。


ヴェロニカが大きく息を呑み、絶叫を上げた。


「あり得ません……ッ! この悪逆非道な怪物が……私の胎から生まれたというのですか!? 嘘ですわ!」


スクリーンの中では、崩れ落ちた親たちが絶叫し、粉々に砕けた心で我が子の躯へと群がっていた。


窓の向こうで、「黄金の精鋭」の指揮官たちが冷酷な笑みを浮かべる。


そして、重機関銃の銃口を向けた。


——ダダダダダダダッ!!!


恐怖に顔を歪める親たちへ向けて、無数の銃弾の雨が降り注ぐ。


ホログラムスクリーンが、鮮血の色に染まり上がった。


報告書の最後に、スクリーンへ一文だけが冷酷に表示される。


【全七日間のうちの、第四日目】


残虐の宴は、まだ終わらない。


髪が白髪に変わるほどの絶対的な悪が、まだ残されているのだ。



【作者ノート】

この章を書いている間、私自身も心が痛みました。可能な限りマイルドに表現したつもりですが……皆様から見て、シーザのこの暴虐に正当性はあると思いますか?


もしこの章をお楽しみいただき、次回への期待が高まりましたら、ぜひページ下部から星五つ の評価と、お気に入り(ブックマーク)への追加をお願いいたします!

皆様の応援とコメントが、私が毎日筆を執るための原動力(エーテル)となります!

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