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未来の暴君たち(後編)

【章のあらすじ:閉ざされた扉の奥で、青き星に息子たちがもたらした破滅の全貌を皇帝が聞き届ける。】


シュイィィィン――!


皇帝の宮殿、その医療区画の最深部に位置する隔離室の重厚な金属扉が開いた。


ダァァァァンッ!


「ロキシー」が耐爆ガラスの壁を拳で殴りつけ、牙を剥き出しにして怒号を上げた。


「このクズ野郎! 治療はすっかり終わってんのに、アタシたちには一切口を割らないってのかい! あまつさえ条件をつけて、陛下と直接話したいだなんて……ふざけんじゃねえ! アタシが中に入って、アイツの手足を引きちぎってでも喋らせてやるよ!」


皇帝は彼女の背後に立ち、巨大な山脈のごとく沈黙していた。

彼女を一瞥することすらしない。ただゆっくりと腕を上げ、一本の指で通路の奥を指し示した。


「——下がれ」


ロキシーは一瞬にして怒りを呑み込んだ。深く一礼し、無言のまま退室する。

隔離室の前には、皇帝ただ一人が残された。


ガシャンッ!


皇帝の背後で、重厚な扉が閉ざされる。

部屋の中はひどく冷たく、純白の鋼鉄の壁に囲まれていた。

そして、その中央に……謎の男が座していた。

名を、「ミライ・アルタイル」。


あらゆる力の行使を封じるエーテルの手枷で拘束されている。

最新の医療包帯で覆われたその肉体は、小刻みに震えていた。

彼が力を振り絞るようにして顔を上げると、白目の存在しない漆黒の両眼が、皇帝の瞳と交差した。


皇帝は無造作に金属製のパイプ椅子を引き寄せ、男の正面に腰を下ろした。

足を組み、両手の指を絡め合わせる。その姿からは、絶対者の圧倒的な威圧感が放たれていた。


「余は妻たちの前に立ち……貴様の言葉を信じると宣言した」

低く響く皇帝の声。それだけで、室内の空気がビリビリと震える。

「貴様は広間で言ったな。兄弟たちが地球を切り刻み、自らの母親たちを殺し……そして、この余をも殺したと」


皇帝は言葉を切り、男の魂の底まで見透かすような視線を突き刺した。


「ゆえに、すでに知っている事柄を繰り返す必要はない。余は下らない悲劇を聞くためにここへ来たのではない」

「余が知りたいのは『いかにして』か、だ。詳細を語れ。奴らはどうやって星を分割した? 奴らの王国とは何だ?」


ゴホッ……ガハッ!


アルタイルがひどく咳き込み、純白の床に青い血を吐き出した。

途切れ途切れの息を吸い込み、力弱く、だが絶対的な服従をもって頷く。


「仰せのままに……父上」


ミライ・アルタイルの声はひどく掠れ、砕けており、果てしない苦痛と絶望が滴り落ちていた。


「八人の兄弟たちは、父上の遺産を貪欲に求めました。力をつけるや否や、地球を泥沼の内戦状態へと変貌させたのです。一人一人があの青き星から領土を切り取り、鉄と血による己の帝国を築き上げました……」


(ここから先、アルタイルが語る凄惨な未来の光景が、まるで呪われた映画のフィルムのように、皇帝の脳裏で再生されていく——)


「**第一に……皇太子、シーザ。ヴェロニカ母上の息子です**」


中央ヨーロッパ大陸の光景が浮かび上がる。

息苦しいほどの赤い空。そして、漆黒の煤煙を絶え間なく吐き出し続ける無数の軍需工場。


「シーザは大陸全土を完全支配し、『大ファシズム・ローマ帝国』へと作り変えました。第一の目標は地中海沿岸の全域を占領すること。そこを起点にして、他の兄弟たちの王国を呑み込もうとしていたのです」


アルタイルは息継ぎのために言葉を区切り、再び口を開いた。


「シーザの目には、核爆弾でさえ単なる退屈な『前菜』に過ぎませんでした。彼は数秒で都市をまるごと地図から消し去る電磁兵器(EMPミサイル)の概念を導入したのです。鉄と炎による絶対統治。逆らう勇気をほんのわずかでも見せた者は、ことごとく処刑されました」


アルタイルが暗い瞳を上げる。


「彼は自らの胸に、誇り高き一つの称号を刻み込んでいました。すなわち——『大暴君』と。強大な力、栄光、そして無敵の兵器廠を備えていた。……ですが、唯一の弱点があったのです。終わりのない拡張戦争の資金を賄うための『金』が」


——


「**第二に……ダンテ。イザベラ母上の息子です**」


脳裏に浮かぶ光景が切り替わる。

かつて『アメリカ合衆国』と呼ばれた大陸。果てしなく続く摩天楼、目を射るようなネオンの光、そして欲望の海に沈む無数の娼婦たちの肉体。


「シーザとは対照的に、ダンテはミサイルや戦争には見向きもしませんでした……。むしろ逆に、富を消費することなく、ひたすら蓄積することに病的なまでに執着したのです。彼はこの星で最大の、娯楽と娼婦の帝国を築き上げました」


アルタイルの声が、深い嫌悪に震える。


「己の帝国を巨大な金融センターへと変異させ、世界中の銀行、株式市場、実体通貨から暗号資産に至るまですべてを牛耳りました! そして、歴史上最も強力なメディア帝国を創り上げたのです。果てしなく続く乱痴気騒ぎと、底なしの性欲。彼は人間の魂をゴミのような底値で買い叩き、地球全土を自らの商品に依存する中毒者へと変えました」


——


「**第三に……リリス。カミーユ母上の娘です**」


ここでアルタイルの声が、夜の闇に溶けるように低く沈み込んだ。


鬱蒼と生い茂るアマゾンの密林。視界の隅で蠢く名状しがたい影。そして、血と裏切りの匂いが充満する空間に響き渡る、悪意に満ちた笑い声。


「アマゾンの女帝……。狂気と悪意の塊であり、人間の理解を完全に超越した手口で他者を操る女でした」


アルタイルは皇帝の両目を真っ直ぐに見つめ、震える声で付け加えた。


「彼女です……。父上の暗殺を実行したのは、彼女だったのです」


皇帝の表情に変化はない。

だが、その唇には、身の毛もよだつほど暗く、サディスティックで血生臭い笑みが浮かんでいた。


(カミーユの娘……ほう? この全銀河の支配者たる余を、欺瞞によって罠にはめたというのか……?)


アルタイルは涙を流しながら言葉を紡ぐ。


「はい! 彼女は複数の兄弟と秘密裏に同盟を結びました。そして未来の父上を、複雑怪奇な『矛盾の幻影(パラドックス)』の空間へと誘い込み……『宇宙の記録(アカシャ)』のどこを探しても解毒剤が存在しない、絶対の猛毒を盛ったのです……」


——


皇帝は沈黙したままだった。その双眸は、すべてを凍てつかせる真紅の氷点(ゼロ)のごとく冷え切っている。


「——続けろ」


「**第四に……リュウ。カオリ母上の息子です**」


景色が極東へと飛ぶ。

広大な中国と日本の大地。サイバーパンク的な摩天楼と古めかしい神道の神殿が異様な形で融合し、大地には無数の刀が墓標のように突き刺さっている。


「保守的進化の皇帝。彼は東洋に巨大な帝国を形作りました。他国に類を見ないほど異常な技術的発展を遂げ、雲霞のごとき大軍勢を保有していた……。ですが、彼はただ一つの狂信的な理念に取り憑かれていました。自らの軍を、『至高なる侍の軍団』と呼称することに」


アルタイルは再び咳き込み、脱臼した肩をぎこちなく動かして口元を拭った。


「地上と空の装備において、彼の軍は技術的に最強でした! シーザのミサイル兵器に対抗するための『盾と剣』として、特別に設計されたのです。王国内の規律は極端であり、絶対的な暴政そのもの。たった一度の失敗が、即座に斬首による死を意味しました。リュウの兵士たちは、彼の掲げる歪んだ『誉れ』のためだけに生き、死んでいく、無慈悲な殺戮機械へと成り果てていたのです!」


——


ハァァァ……ッ。


ミライ・アルタイルは深く息を吐き出し、致命的な疲労とともに金属製のパイプ椅子へ背中を預けた。

この凄惨な記憶を語ること自体が、彼の砕け散った魂の残滓を削り取っていた。


「この四人……シーザ、ダンテ、リリス、リュウ……。奴らは人間の死体と血と頭蓋骨の上に自らの帝国を打ち立て、あの青き星を、愛する者を失った未亡人と孤児の泣き叫ぶ地獄へと変えました……」


アルタイルは両目を閉じ、その唇は純粋な恐怖に震え上がった。


「ですが……父上……」


彼はカッと目を開き、室内の空気さえも完全に凍りつくような視線を皇帝に向けた。


「彼ら四人の所業は、いかに残虐であろうと、まだ『欲望』という理解の範疇にありました。……ですが、残る四人……サイラス、ヴィクター、アレス、マリクのやったことは……」

「人間の理解を完全に超えた、身の毛もよだつほどの完全な狂気だったのです……」



【作者ノート】

本作は現在、深刻な反応不足に直面しており、持てる力のすべてを注いで再び盛り上げようと努力しています。成功を共にするパートナーとして、どうかブックマークや継続的なリアクションを通じて、本作の拡散と継続にご協力をお願いします。この作品は、私にとって最も美しい宝物なのですから。


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